NYは「ジューヨーク」と言われていたが、トランプはエルサレムに米国大使館の移設を発表。SIONISMは、どこに行く?/新井信介 「京の風」

HOME > 新井信介 「京の風」 > 時事問題 > NYは「ジューヨーク」と言われていたが、トランプはエルサレムに米国大使館の移設を発表。SIONISMは、どこに行く?

NYは「ジューヨーク」と言われていたが、トランプはエルサレムに米国大使館の移設を発表。SIONISMは、どこに行く?

 こんにちは。今日は朝から、エルサレム事案で、世界は大騒ぎです。

第三次世界大戦を望まないトランプ。そして、ペドフェリアから決別した、世界のエリートたちですが、さて、ここにきて、大きな問題の処理に入ります。

それは、人類文明史の最終章と言ってもいい内容です。

今、世界はこの決定に対し、イスラエルのネタニヤフは大歓迎ですが、それ以外の国は、皆、大反対です。アメリカのポチのクニである日本も、本件ばかりは無条件で追従するのではなく、外務省発表では、日本大使館はテルアビブのままです。

イスラム諸国の大反発は当然ですが、イギリス、フランス、中国も、この決定には反対です。

アメリカではティラーソン国務長官は慎重でしたから、これは、トランプ個人の決定なのでしょう。表向き考えられる理由は、アメリカのメディアを牛耳っているユダヤ系ロビーとの和解です。ロシア事案で揺れるトランプにとって、政権の延命をしたいという思惑でしょう。メディア関係者には、野党の民主党支持者が多いのです。

しかし、この決定を喜ぶ共和党の人もいます。それは、キリスト教の福音派の人たちです。彼らは、「最後の審判」が来ることを信じ、自分は、そのとき神によって救われると考えている人たちです。中東での混乱を望む人々でもあるのです。

しかし、私には、ISISを作り出したアメリカの戦争屋が、ほぼ退治された12月の今のこの時期に、トランプがこれを言い出したことに、もっと深い、人類史的な意味を感じるのです。

それは、今回、11月のトランプの東アジアツアーや、2年前の中国のAIIB創設に、影で動いていた重要人物にキッシンジャーがおり、その彼が5年前に、以下を述べていたからです。

http://www.k2o.co.jp/blog2/2012/10/2022.php

今のイスラエルは、1948年5月に、ムハンマドの血を引くというヨルダン国王の土地に入り込んで、人工的に造られた国です。翌年の1949年以後、中東戦争が起こり、アメリカは常にイスラエルに加担してきましたが、この争いは、1993年のオスロ合意で、イスラエルとパレスチナの両者が、相互に国家を認める、として一応の国際的合意が得られていました。そのとき、仲介役がアメリカだった。

しかし、その合意を、打ち破るのが、今回のトランプの決定なのです。

私には、表のトランプ政権維持とは別に、なにか深い意味、深謀遠慮があるように思えてなりません。

なぜなら、世界は今、ローマ法王にフランシスコが就任してから、人類世界の宗教は、急速に一つに向かいだしているからです。エルサレムは、枝分かれした世界宗教の 扇の要の場所でもあったからです。

 今の宗教界は、それぞれの教義の中にある「神」について、その違いとは、真に実在する「イノチを活かす力」である根源の神に対する、「表現の違い」だと理解し、融和に向かっているからです。

それを推し進めている、その中心が、「十字架には、神はいない」と言った、フランシスコの言説なのです。

この信念は、「COEXIST」という概念で、すべての宗教と、科学まで包摂して、そこにある真理は一つである、としているのです。(このことは別途、書きます。これと「サピエンス全史」が関係するのです)。

人類としてこの知的作業が進んでいた時に、全く逆に、戦前の皇国史観をもとに、国民を「天皇のために死ぬのが美しい」として、株主利益最優先の企業主体の国家体制のために、進んでイノチを差し出せと言ってきたのが、安倍政権と日本会議だったのです。

◎エルサレムの話に戻しましょう。

戦後、ユダヤ教の熱心な信仰をもつユダヤ人が入り込んだパレスチナの地は、旧約聖書に書かれたカナンの地であり、ここには3000年前に、ベニヤミン族のサウル王によって古代イスラエルが造られました。

4000年前に、ウルで生まれたシュメール人のアブラハムが、東トルコのハランで覚醒し、自然現象を客観的に見つめ、数字によって自然現象を測るという、科学性の能力に目覚めます。その子孫たちがヘブライ人と呼ばれ、神の仕組みをとらえて、自分で再現する人間として突出した能力を持ちます。

彼らは、最後の大洪水で壊れたエジプトに招かれ、王国の再建に協力します。その中からモーゼが生まれ、彼のときに「出エジプト」がありました。そして、シナイ山で、[I am that Iam ]というYHWHと会ってから、カナンに到達した。サウルが建国した古代イスラエルは、ペリシテ人ゴリアテの脅威におびえますが、ここで、羊飼いの少年ダビデが活躍し、ゴリアテの首を切り、古代イスラエルの王に迎え入れられました。

 息子ソロモンが王になると大繁栄しますが、その死後、古代イスラエルは、YHWHとの信仰のあり方を巡って、北と南に分裂し、先に北10支族がアッシリアよって、ハランに捕囚され、さらに南2支族がカルディア人の新バビロニアによって、バビロンに捕囚された。12ある個々の支族には、名祖家(神官部族)として、レビ族がいずれにもついていった。

 アッシリアが滅亡するとき、ハランにいた10支族は、追われた国王を庇うなど、初めて異なる部族に対する「愛が生まれた」とされます。しかし、この10支族がそのあと離散し、行く先々で、どこから来たか、と尋ねられると「ハラン地方から」と答えていた。それが、音声で「タガーマ・ハラン」だった。

 一方、バビロンの捕囚を受けた南2支族は、ペルシャ人のキュロス2世によって解放され、そこにいた、ユダとベニヤミン、そして名祖家のレビ族の民は、半数以上、バビロンに残ったが、一部はかつてのカナンの地、すなわち、エルサレム周辺にあつまり、そこで、神殿の再建と、王国の再現を目指した。彼らが造った国はユダ王国で、この中から、イエスがでた。

 このイエスを、人間の預言者(神の言葉を話すもの)とするのが、ユダヤ教と、イスラム教です。

イエスが磔刑になったあと復活し、食事をし、3日後に昇天したという物語から、この人物を、部族を越えた、全人類の救世主だった、とする信仰(ユダヤ教ナザレ派)が広まった。ユダ王国が滅亡する中、最初はこの教えの信者を取り締まる側だったパウロが、ダマスカスで覚醒し、ローマでイエスの教えを広めると、強烈な弾圧の中、殺されたが、イエスを救世主(ギリシャ語で「キリスト」)とする、信仰が広まった。その信仰のシンボルは「サカナ」であり、さらに、イエスを平和の象徴の白い鳩になぞらえるものもいた。

 弾圧対象にしていた「イエスの存在」を、ローマ帝国は、皇帝自ら信者になることで、支配の手段にし、さらに、325年に、その存在を「三位一体」と決定した(ニケーア信条)。

 その上で、ローマ帝国では、自分たちが創り出す神である「イエス像」(イエス・キリスト)以外の信仰を禁止した。唯一、ユダヤ人だけは、神を産んだ民として、その信仰を許し、彼らを特別地域(ゲットー)に押し込めた。

ローマは、ヘブライ語で書かれた「神とユダヤの民」の物語「旧約聖書」と、ギリシャ語で書かれた各地のイエス伝承をまとめた「新約聖書」を、405年にラテン語で一つの物語にまとめ…これを「ウルガタ(一般、普通の意味)」と言い…、ローマ・カトリックの絶対的な教本にした。

以後、この教本に書かれた、「三位一体」の「イエス」なる存在の、唯一の代理人は自分だ、としたのが、495年のローマの総主教だったゲラシウス1世であり、以後、ローマにいる教皇(のちの法王)のお墨付きで、各国の国王や封建領主が、自分の支配の正当性を得た。それが、ヨーロッパの中世だった。

 一方、キュロス2世による解放後もバビロンに残っていた南ユダの人間(ユダ・ベニヤミン・レビ)は、アケメネス朝ペルシャの統治体の整備に協力し、さらに、インドや中国大陸にも入った。パルティア~ササン朝ペルシャ時代には、キリスト教を国教にしたローマのように、ゲットーに閉じ込められることはなかった。

 彼らが、異民族・異部族が混在するペルシャで、自分たちの生き方の処世訓として、499年に「タルムード」をまとめると、その中にある、「神とつながる信仰を持つ、自分たち以外の民族は、動物のごとく扱ってもいい」という一説に、ひかれた白人種の人間がいた。

 これは、本来のイエスのように、真に創造主(天の父)と繋がる生き方(インマヌエル)ではなく、多くの信仰形態がぶつかり合う、他部族の国家の中での、生活生存の知恵だったが、これが、7世紀にイスラムが登場すると、ビザンチンとイスラムの両方の支配地域に行ける教えとして、改めて、ユダヤ教が選択された。この人たちは、進んで、ヘブライ系統の人間と混血し、その中では、旧約聖書と、タルムードをしっかり読み、それに沿った生活をした。それが、白いユダヤ人アシュケナジーだった。

 その人間が、どうして、1897年にスイスのバーゼルに集まって、ジオニズム運動を起こしたのか?それを、世界を「金融ワンワールド」に導こうとする王族たちの政略が、どう利用したのか? これは、今こそ、はっきりさせないといけない問題だ。

さらに、アケメネス朝ペルシャで解放された、元 南ユダ国の人間たち、さらに北10支族の人間には、東に向かって、中国大陸で、秦帝国を作り上げたものもいれば、そこでできた宗教的確信と統治論をもって、日本列島に入った者もいる。

彼らは、カトリックが支配したヨーロッパのように一か所に隔離されることもなく、逆に、「神降ろし」のわざと、国家の統治体制作り=国造りの経験をもって、アジアの各王朝で重用された。

 その中で、日本列島は、どんな形で、彼らを吸収したのか?

 これは、特に、重要になってきた。

8日(日本時間で9日朝)、国連では、日本を議長国にして常任理事会が開かれ、エルサレム問題が話される。

そしてなにより、今上陛下は、再来年4月30日の退位が正式に決まり、日本は翌日から、新しい時代を迎える。

ユダヤ・キリスト・イスラムという三大宗教の聖地でもある、エルサレムと日本の関係を、本欄でもきちんと整理したいと思います。

< 中国が原発をやめて、再生可能エネルギー大国に。クロ現の内容がネットに。日経も原発に疑問。安倍チンの終わりが近い。  |  一覧へ戻る  |  人類世界は今、COEXIST(共存)の時代。これ、地球の最新のおしゃれ。 >

このページのトップへ