時事問題/日々雑感:よくわからないこと?!

時事問題

今年頂いた年賀状:これは面白い!!

 140106_年賀状_守屋汎.jpg

【新年のご挨拶】

 140101_1401_年賀状_会社用_Revised.jpg

【新年のご挨拶】

 121229_年賀状_会社.jpg

日中の「経済交流は国交回復以前の状態」

 先日、中国の地方政府関係者から連絡が有り、「経済交流は国交回復以前の状態」との発言があった。

「国交回復以前」とは穏やかではない表現で、かなりの衝撃だった。しかし、中国側でも日本と何らかの関係を持っている人たちは、(表向きには政府の意を受けた発言をしなければならないとしても)今回の尖閣問題の影響について危機感を持っているということだろう。また、これが「経済交流」だけに限ったことでないのは明らかだ。中国地方政府(特に沿海部)が行う日本企業向けの行政サービスにも影響がありそうで、一部業務の休止ということも検討がされる可能性もあるかもしれない。

問題は、野田首相をはじめ日本の政治家には全く危機感がないことです。日本側から出てくることは、逆に、中国側を刺激することばかりです。玄葉光一郎外相の会見では、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議の際に、「法の支配、平和的アプローチは大変重要な観点だ」とも述べ、南シナ海で領有権問題を抱える東南アジア各国などとともに、中国の海洋進出に自制を促す考えを示した、とのこと。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121031/plc12103112590004-n1.htm

これでは、先の国連総会で、野田首相が行った演説と同じで、また中国を挑発することにもなりかねません。
中国側の主張を全く理解できていないことも非常に憂慮されます。
 
尚、経済についてのみコメントするとすれば、個々人のベースでは、日本に対して特段のイメージを持っていなくても、国全体の方針と異なる行動をとるのは一般的には難しくなってしまう。
先日(10月19日)のレコードチャイナの調査では、尖閣問題が今後の日本車購入に影響を与えるかという問いに、60%が「はい」と回答している。
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=65678
 
既に、日本企業が数多く中国には進出しており、すぐに撤退ということもかなわない状況で、今あるものは何とは続けていかなければならないでしょうが、
新規に何かを行うということは、基本、すべてがストップしそうです。
製造業などでは、バングラデシュやミャンマーなどが注目されていますが、産業インフラということを考えると、多くの企業が進出するにはまだ多少時間がかかりそうです。
最近は、製造業よりも、サービス産業が、国内市場の縮小を受けて、消費市場としての中国に進出し始めていますので、中国人の消費行動の変化は大きな影響が出そうです。
 
以下、関連記事を添付します。日本に「思い知らせるには長い時間が必要」との発信も出ています。
 
<尖閣問題>それでも日本車買えますか?25%が「不安」と回答 (レコードチャイナ 10月19日)
 
・中国自動車工業協会発表の9月期自動車販売台数によると、日本車は前年同月比マイナス40%という大きな落ち込みを見せている。
・重慶晨報は北京、上海、広州、西安、重慶、成都の6都市で調査を実施、尖閣問題が今後の日本車購入に影響があるかとの質問には約60%が「はい」と回答。不安に感じるとの回答は約4分の1。
・ただ、今後は日本車を購入する人が増えるだろうとの回答も63%に達している。
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=65678
 
<尖閣問題>日本経済にどんな影響を及ぼすのか、思い知らせるには長い時間が必要 (レコードチャイナ)
 
2012年10月28日、日本の9月の貿易総額が過去30年で最低の水準となったことを受け、中国国防大学戦略研究所の金一南(ジン・イーナン)所長は「中国と対立するとどういうことになるのか、日本に思い知らせるには長い時間が必要だ」と論じた。中国広播網が伝えた。
 
金氏は、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題が日本経済に重傷を負わせたとの見方が広まっていることに対し、「日本の『国有化』が中日関係の基礎を崩した。しかも、日本はいまだにそれを認めようとしない」と非難した上で、「中国との対立が自らにどれほど大きな損害を与えるのか、日本に心の底から思い知らせるには長い時間が必要だ」と指摘した。
 
また、金氏は日中関係悪化の影響は政治、外交、経済、人の往来など多方面に及ぶとした上で、「痛手を受けた日本がどこまで悔い改めるのか。われわれは客観的かつ冷静に見ていく必要がある。それには、わずか1~2カ月では短すぎる。隣国とのいざこざが自国の経済や発展にどれほど大きな影響を与えるのか、じっくり時間をかけて日本の政治家の目を覚まさせるべきだ」との見方を示した。
http://news.livedoor.com/article/detail/7091141/

「日米同盟深化」「新たな高み」とは?・・・国内的な議論を飛ばしてもよいのか?

5日の新聞に、日米両政府が第三国を加えた「日米プラス1」の枠組みで、アジア太平洋地域の安全保障問題に取り組む姿勢を強めている、という記事が掲載されている。http://www.nikkei.com/access/article/g=9695999693819481E2E6E2E2E08DE2E6E2E7E0E2E3E08297EAE2E2E2

先の野田首相とオバマ大統領のホワイトハウスで行われた首脳会談で、アジア太平洋地域の安全保障における日本の役割強化を誓ったばかりだが、さらにそれを加速する動きだ。

先の首脳会談後の日米共同声明で野田首相は、アジア太平洋地域での日米防衛協力強化によって「日米同盟は新たな高みに達した」と語った。その「高み」とはいったい何なのだろうか?米軍との海外での共同訓練は専守防衛の自衛隊の定義から逸脱しないの?武器扱いされる巡視船をフィリピンにODA供与して大丈夫なのか?それらは憲法第9条の問題に係るような問題ではないのだろうか?国会での議論も何も行われていない。それをいきなり日米首脳会談で合意というのは少々乱暴ではないか?民主党政権になってからの鳩山氏、菅氏もほとんど思いつきといわれるような発言を国内での説明を一切することなくして(海外に向けて)発表してしまうということをやってきたが、野田首相もその意味では全く同じだ。

「日米同盟の深化」を目指しているというのだが、このままでは米国の言うことにただただ追随しているだけではないのか?アジア太平洋地域での影響力を拡大しようとしている米国の言いなりになっているだけではないのか?

今回の「日米プラス1」の枠組みにしても「中国けん制」が目的だと言うが、これが日本の利益になるのだろうか?日本側は米国との関係を強化すれば大丈夫という考えなのだろう。日本からすると米国は「11」の関係だが、米国からすれば日本は「11」ではない。日米首脳会談の直後に中国との戦略会議が行われたように、米国にとっては最早中国との関係の方は重要だろう。その中国との対話を進めるために、日本が利用されているだけではないのか?

石原都知事の尖閣諸島をめぐる発言にしても、日本と中国の関係を刺激するために米国が仕組んだものではないのか?都知事が海外に出て、その発言が注目されるときに、ヘリテージ財団で行われた会見で発言されたものだ。本当に日本「国」のことを考えるのであれば、暗黙裡に助言をして国が購入できるようにすればよいだけだ。中国側にしても、あのような形で発言をされると、反応をせざるを得ない。

野田首相は、先日の日米首脳会談で自身が発言したことの趣旨を本当にしっかりと理解しているのだろうか?また、関係閣僚はどうだろうか?そのうちの1人である防衛大臣は先に問責決議がなされているので状況は推して知るべしか?それにしても国会も含め国内での議論や説明が全くなされるにこのようになし崩し的に物事が進んでいくことは非常に問題だろう。このような事は以前なかっただろうか?

日中韓ASEAN会議:外貨融通・BRICS銀行構想など日本はもっと積極的に対応すべきでは?

今日(54日)の日経新聞には、比較的大きな記事として「日中韓ASEAN会議」が取り上げられていた。http://www.nikkei.com/access/article/g=96959996889DE6E3E2E5E1EBEBE2E2E6E2E7E0E2E3E09797EAE2E2E2

3日の財務相・中央銀行総裁会議で、外貨融通網「チェンマイ・イニシアチブ」(CMI)の拡充を柱とする共同声明が採択され、独自の金融安全網を強化することで、欧州危機の波及回避に域内をあげて連携する姿勢を示した、とのこと。

その記事の内容で、少々驚いたのは、日本が独自枠の拡大に慎重姿勢を示しているということだ。その理由は、日本がIMFとの協調を重視し独自枠の急拡大には慎重姿勢をとっているという。つまり、米国の横顔を見ながら動いているということだ。

そもそも、この「チェンマイ・イニシアチブ」(CMI)は「宮沢構想」とも呼ばれ、1997年のアジア通貨危機を受けて当時の宮沢首相が提案したものだ(もともとのアイデアは当時の榊原財務官)。しかし、米国の強い反対で、当時は一旦つぶされてしまった。

しかし、日本は、米国に追随するばかりでなく、このような提案をもっと積極的に行っていくべきではないのか?

日本が、慎重であろうがなかろうが、このような動きはどんどん進んでいく。3月末にインドで行われたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会合では、新興国のインフラ整備などを支援する新銀行「BRICS銀行」を創設することが合意された。これはすでに昨年の会議で話し合われたことだが、今年になって踏み込んだ対応がなされることになった。

新興国や発展途上国の開発を支援する銀行は既にかなりある。例えば、世界銀行・国際復興開発銀行(IBRD)がそうだし、地域ごとにも米州開発銀行(IADB)、アジア開発銀行(ADB)、アフリカ開発銀行(ADB)や欧州向けにも欧州復興開発銀行(EBRD)がある。更に、それらの国の民間の投資を促進するために国際金融公社(IFC)や多数国間投資保証機関(MIGA)などもある。MIGAの初代長官は野村証券出身の寺澤義男氏だった。

しかし、それらの銀行・機関がしっかりと機能してこなかったことはよく話題として取り上げられる。スティグリッツ教授なども盛んに批判を繰り返している。

新興国サイドでも、IMFや世界銀行などの改革スピードが遅いという主張を行ってきている。IMFの前ストロスカーン専務理事がセクハラ事件で退任した後の専務理事選挙でも、新興国を代表するような人選が行われるべきという主張もなされた。

とはいっても中国は副専務理事(No2)のポジションを獲得するために現専務理事のラガルド氏を推すという取引をしたという。これで、中国は、次回のSDRの再計算で人民元を構成通貨として入れることを狙っているだろう。

BRICS5か国も一枚岩ではないので、事実、中国のプレゼンスが突出することに対する懸念は強い、簡単にBRICS銀行が出来るとは思わない。また、BRICS側もこれをうまく利用して、IMFや世銀などでの発言力を高めようという意図もあるに違いない。

しかし、チェンマイ・イニシアチブの構想が出された時は強く反対して米国が、今回は表立っては反対していない。

日本もそろそろ米国に追随するばかりでなく、新興国や開発途上国のためになるような提案をもっと積極的にしていくべきではないだろうか?

「歳入庁見送り案」も・・・またもや財務省の反対で民主白旗か?!

政府は27日、社会保障と税の一体改革に関する5閣僚会合で、社会保険料と税金を一体的に徴収する「歳入庁」構想の中間報告をまとめた。国税庁と日本年金機構を統合しない「歳入庁見送り案」も含まれる、とのこと。またもや財務省の反対ではやくも民主党が白旗を上げたような状態となっているようだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120427/plc12042722510018-n1.htm

いったい民主党が国民に約束したことで、それが実行されたことに何があるのだろうか?むしろ、消費増税のように、「やらないと約束したこと」ばかりを実行しようとしているように見えるのは、私の感違いだろうか?

「歳入庁構想」は民主党のマニフェストに記載されていたものだが、何故か、その後の2010年参院選のマニフェストからは消えていた。財務省のパワーの源泉の1つでもある国税庁を切り離されては困るという財務省の思惑があることは明らかだ。

民主党が、消費増税の根拠となっている「財政再建」にそれほどまでに固執するのであれば、歳入庁を設立する意義は計り知れないのではないか?また、今回設置することが決まった「行政改革に関する懇談会」で議論する「行革」への項かも計り知れないはずだ。

今夏の電力不足対策には5800億円もの予算が計上されている・・・いったい今まで何をやっていたのだろうか?

政府は23日、原子力発電所の再稼働がない場合の今夏の電力不足予測について検討する需給検証委員会の初会合を開いた、という。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120423/trd12042319240023-n1.htm

しかし、電力の需給が厳しいことは、去年から分かっていたことだ。その対策のために、既に5800億円もの予算が既に計上されている。

その予算は、国家戦略室に設置された「エネルギー・環境会議」によって策定された「エネルギー需給安定行動計画」に記載されているものだ。

その計画通りに行えば、今夏の供給不足は解決されるはずだったのではないか?

原発を再稼働しないのは「集団無理心中」などと脅すのではなく、予算も計上して対応策も決めたのであるから、何をやって何がまだ足りないのかをしっかりと検証して

解決策を立てて欲しいものです。今までの民主党のやり方からすると、非常に悲しいことに、具体的に事を進めているとは思えないのです。

昨年、菅政権の時に余剰電力があるのではないかと調査を行ったことがありました。結果的には、「すぐに使える」余剰電力はそれほどなかった、ということになってしまいました。

それもそうでしょう、自家発電設備などはたくさんあるのですが、電力会社が送電線をつながないなどと邪魔をして、今までは送電することが出来なかったりしたためです。また、設備が老朽化している場合もあったでしょう。しかし、1年もの時間があったわけですから、その間にできることはたくさんあったはずです。

いまからでも遅くはありません。出来ることはとにかくすべて行って、電力不足に備えて頂きたいものです。それとも、原発が稼働しなくても電力が賄えるということがわかってしまっては困るのでしょうか?

民主党がまた「行革議論」の懇談会設置・・・いまさら何を議論するのか?

民主党がまた「行革議論」の懇談会を設置するという。野田政権は、稲盛和夫京セラ名誉会長ら有識者10人による「行政改革に関する懇談会」の設置を決め、民間の知恵を借りて公務員制度改革や規制改革に切り込むことを目的に、ゴールデンウィーク明けに初会合を開くそうです。そこでは、公務員人件費の削減や規制改革などを検討するそうです。

http://www.asahi.com/politics/update/0428/TKY201204280003.html

しかし、検討するという事柄は、既に民主党のマニフェストにも盛り込まれ、消費増税議論の中でも、その実施の前提とも考えられている事柄ばかりのように思われます。ましてや、民主党政権発足以来、「事業仕分け」などを行って、本来であれば、完全とは言わないまでも、かなり状況が改革・改善されていなければいけないはずです。

まあ事業仕分けをしても、すぐその後に当時財務大臣だった野田首相その人が公務員住宅の建設を許可してしまうのですから、「事業仕分け」がただのパフォーマンスにすぎなかったことは明らかです。

513日には、国会提出した行政改革実行法案に盛り込んだ首相の諮問機関「行政構造改革会議」の発足も予定されており、同じような会議ばかり作って一体何をやろうというのでしょうか?

本音としては、「行革の議論」を少しでも早く進め、消費増税などへの理解を得たい考えのようですが、「もう議論するときではない」でしょうし、議論ばかりしても国民はもう騙されません。マニフェストなどで国民に約束してきたことをまず実行するときでしょう。

医療介護など有望産業で雇用1000万人増 国試算・・・しかし、これらの産業は規制でがんじがらめ

経済産業省が、医療介護やヘルスケア、新エネルギーなど将来有望な産業が、2020年までに約1000万人の雇用を生み出すとの試算をまとめた、という。http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0E2E2E19F8DE0E3E2E6E0E2E3E09F9FEAE2E2E2

農林水産省がまとめたならば農業も雇用を生み出す産業として報告されていたことだろう。

輸出主導から内需主導の成長路線に切り換えなければならない、ということが叫ばれてから久しい。それが言われるたびにこれらの産業が成長が期待される産業としてあげられてきたのではなかったか?

しかし、残念なことに、言われたような結果にはなっていない。それは、これらの産業が規制産業であるからだ。福島第一原発事故で明るみに出てきた電力、バブル崩壊とその後のデフレの原因となった銀行、あるいは放送・通信などと同様に様々な規制で業界は保護されており、業界の反対があって規制緩和は進んでいない。TPPの議論でも感情的な議論ばかりで、全く進まないが、規制緩和についての賛成・反対の議論もこのTPPの賛成・反対と同じような議論となっている。

今回の報告書を作成した経済産業省にしても、福島第一原発事故から分かったように、その視線は業界に向いているのであって、決して国民には向いていない。

つまり、業界の利益に反することは行わないということだろう。であれば、次に予想されることは、産業育成のためにということで、新たな予算を請求するということだろう。

今まで何度も同じようなことが繰り返されているはずで、それを実現しようとするならば、規制緩和などを行うことで、利権構造にメスを入れなければならないだろう。

「首相、表明先送りへ」・・・もう、TPP交渉参加はAPECで表明したんじゃなかったのか?

もう何が何だか全くわからないことになっている。

今日の新聞には「TPP交渉参加 推進に陰り」「首相、表明先送りへ」という見出しの記事が出ている。

http://www.nikkei.com/news/category/related-article/tc/g=96958A9693819481E0E2E2E08B8DE0E2E2E6E0E2E3E09797E3E2E2E2;c=DNX;at=DGXZZO0195166008122009000000;cg=312;bu=BFBD9496EABAB5E6B39EB5A18288889AA3B8E2A4BDEBA1B0E498B1A1A89F9AF9BAB1BDE39E9DB4AB85B5A7B7EB95E58A84959D84A1B698E7BC97A8A3E287A8BB94EAA5F987EBB181B9B39AE2EB9D80E290E6B19386B7AAE68AE1BEA788E0919888B6A5AABC8B909BB687B693B9AAA59582E3B18381B9A1B5B6BA868188A4BBA68AB18096999F9EB5B091AAE191B6A5EA86BCEBA6A0B39084E1AAE1BE91A598E0A19AB384A3E7B68B869E9EFDA280EA86B09AF9BF8694E4E4F9859481AAE7959B9E839E9C97BFE79C9E82E4B7A6B79E95A79E9988819396B9869D80BEEB96AAABA0A6E0E3B9E588BFBC9A9D969DB38193BA86B9989C85E6829D9984BEA795B3B09493A684EAB598E7B49E9BE1F9BEBAA5FDE3A480A593BAE29A9C9DBBA7A29A9BE1E0A6B89A82A7B093EBF9B996AAB0B1E3818AB890B5B6E0A6BCE2BAE3EBB8BF87B39091A591BAB39598E1B6B4E28194E2BCB4EABBA0B19A94B3B5B3AAB1E1A8919A9886FDB7A4ABB59697EF

 昨年11月にハワイで開催されたAPECで、野田首相は、TPPの「交渉に参加することを表明」したのではなかったか?(以前の新聞記事にはそう書かれているようなのだが…)

私の記憶では、「日本の表明を呼び水に、カナダ、メキシコも協議入りに動き出した」と報じられていたはずだ…

別に、「TPP参加を決定」したということではなく、「交渉に参加することを表明」しただけだ。それになのに、今回の野田首相の訪米にからんで、いままた、「交渉参加」の表明をする・しないの議論が行われているようだ。日本の交渉参加表明を受けて動き出したカナダやメキシコはどうなってしまうのか?

それとも、昨年のAPECでの発言は,TPP交渉参加の「意向」を伝えただけ」で、交渉参加に向けて関係各国と協議をしていくだけで、「交渉に参加するとの表明はしていない」とでもいうのであろうか?

このようなお役所言葉が、関係各国でしっかりと理解されているのだろうか?少なくとも、カナダやメキシコは理解していなかったのではないか?

それは、日本国内でしか通用しない(政治家はわかっても、国民には分からない)だろうし、とても国際政治の場で通用する議論とは思えない。

昨年あれだけの大騒ぎをしたのに、今ここで「交渉に参加することの表明」(TPPに参加するという表明ではない)をする・しないというところで、ずっと止まったままだったのだろうか?一体何がどうなっているのだろうか?最近は、物忘れも激しくなっているので、数か月前のことはもうよくわからない。新聞やテレビでこのあたりのことをよく解説してもらいたいものだ。

江田憲司著『財務省のマインドコントロール』(その2)...湾岸戦争でコミットメントが遅れのは外務・大蔵省のけんかのせい?!

掲題の書籍を読んでいてまた驚くべき記述を見つけたので「その2」として紹介します。

それは「財務省支配のカラクリ」という章に出てきます(153頁)。

19908月にイラクがクウェートへ侵攻した直後、政府内の外務省と大蔵省のせめぎ合いの中で、政府が打ち出そうとした貢献策について、大蔵省が「事前に聞いていない」、外務省が「いや、話した」といったけんかをして、資金協力へのコミットメントが遅れた、というのです。

その結果は皆さん良くご存じのとおりです。日本は増税してまで130億ドルの資金提供を行ったのに、「Too little, too late」(少なすぎるし、遅すぎる)と批判され、結果、クウェート政府が出した感謝広告には日本の名前は出ませんでした。

江田さんが文字にまでしていることからすると、間違いないのでしょうが、(私の不勉強かもしれませんが)初めてこのような事を知りました。

日本にも情報公開法があり、本来であればこれらの事実関係について確認するすべはあるはずなのですが、ほとんど機能していません。

昨年の福島第一原発の事故では、政府内の会議の議事録がほとんど作成されていないことは既に明らかになっていますし、ひょっとしたら意図的に作成していなかったのではないかとということもうわさされています。

事実を知ろうとした場合にウィキリークスのようなものに頼らなければならないのでしょうか?大変残念です。 

今夏の電力不足は58時間と関電が予測...それでも大飯原発再稼働?!

「関西電力の全原発停止が続いた場合、電力需要が昨夏並みだと、今夏に電力が足りなくなるのは計58時間で全体の2.8%となり、ほとんどの時間は電力不足を回避できる可能性があることが関電の公表データから11日、分かった」という。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012041101001987.html (中日新聞412日)

それでも野田政権は大飯原発の再稼働を目指すようだ。消費税法案の最初から増税ありきと全く同じ構造だ。

大飯原発でも再稼働ありきで、物事を進めているようにしか見えない。

原発がすべてストップしてからでは、原発がなくても電力が賄えることがわかってしまうので、すべてストップする前に何とかして再稼働しようとしているのだろうか?

そうでも考えないと、何故そんなに急いで物事を進めようとしているのかが理解できない。

そのような折、小野俊一という熊本で開業医をされている方(医者になる前は東電の原子力関係の技術者だった方)の勉強会のビデオがYoutubeにアップされ話題になっているようだ。

http://www.youtube.com/watch?v=CSea1GLD2cA&feature=player_embedded#!

実際に東電の原発関係の技術者だった方ですので、原発推進派の意見とその本音がわかりやすく説明されていきます。

福島第一の現在の危険度(「メルトアウト」や「燃料プール」等の問題)からスタートして、津波ではなく、地震による「地盤変動」で原発がかなりダメージを受けていることや、福島では「重要免震棟」が不幸中の幸いに地震の6か月前に出来ていたのですが、今回再稼働の問題がある大飯原発では重要免震棟が無いと言った問題が提起されています。

使用済み燃料棒の危険性の問題も改めて提起されています。

また、大飯原発の再稼働の関係で、仮に再稼働がどうしても必要とした場合の、再稼働に向けての条件整備などが説明されています。

江田憲司著『財務省のマインドコントロール』・・・橋本発言は周到に準備されたものだった?!

江田憲司氏の『財務省のマインドコントロール』に、本の主たる内容からは若干外れるかもしれないが、非常に興味深い内容が書かれていた。

それは「米国債の償還金15兆円をなぜ使わない?」という項に書かれていることで、19976月のデンバーサミット後に、橋本総理がニューヨークに立ち寄った際に行った講演の質疑応答に関わるものだ。講演内容の詳細は後段で記載しますが、「何回か、財務省証券を大幅に売りたいという誘惑にかられたことがある」という橋本総理の「有名」な発言についてです。

この発言を受けて、NYSEの株価は192ドルと、ブラックマンデー以降の最大の下げを記録して、市場に大きな混乱をもたらしました。当時は、「橋本総理は経済音痴」という批判を呼びました。

私も文字通りそのように受け止めていたのですが、実は、周到に準備をしたうえでの発言であったというのです。

江田氏は、当時、橋本総理の政務担当秘書官として立ち会っていたそうで、当時の自身の日記なども紹介しています。その橋本総理の発言は、旧知の財務官経験者との打ち合わせの上で意図的に行ったもので、講演の冒頭で、「金融関係者はいないでしょうね」と冗談めかして言ったのも、相当インパクトのある発言であることがわかっていたからだそうです。

日本の外貨準備は積み上がるばかりで、現在の残高は本年3月末で12900億ドルに達しています。本来の目的からすればこのように巨額の外貨準備など必要ないはずで、必要以上に積み上がったものについてはタイミングを見ながら、適正な水準に調整する必要があるはずです。しかし、今までそのようなことは一切行われてきませんでした。それは、外貨準備が増加することで入ってきた資金で米国債を購入すること自体が目的化してしまったからで、それを減らすという考え自体が否定されてきたからでしょう。

昨年も安住大臣の下で、大きな為替介入が行われましたが、今や為替の市場介入自体が全く意味を成しません。一時的には対ドルでの円安方向へ動かすことは出来ても、時間の経過とともにすぐに戻ってしまいます。円高の原因を「投機的な動き」として、ヘッジファンドなどを批判するのですが、今や、日本政府が為替介入すること自体が、ヘッジファンドに「確実に儲ける機会」を与えてしまっています。今現在では、外貨準備は40%程度の含み資産を抱えているとみられています。つまり40兆円あまりが為替介入によって失われているわけです。

外貨準備の本来の目的やあり方を今一度見直す必要があるでしょう。

そのなかで、時々の政治状況によっても異なるわけですが、今回紹介されているように、少なくとも、公式ではないようですが、「意図的に外貨準備について米国に対してメッセージを送った」ことがあるということが分かったことは、大変興味深いことだと思います。中国のように、日本も、米国ともっと突っ込んだ本音ベースの話をできるようになってほしいものです。

以下、同著のなかから当時の橋本発言を転記させていただきます。

「ここに連邦準備制度理事会やニューヨーク連銀の関係者はいないでしょうね。実は何回か、財務省証券(米国債)を大幅に売りたいという誘惑にかられたことがある。ミッキー・カンター(元米通商代表)とやりあった時や、米国のみなさんが国際基軸通貨としての価値にあまり関心がなかった時だ。(財務省証券を保有することは)確かに資金の面では得な選択ではない。むしろ、証券を売却し、金による外貨準備をする選択もあった。

しかし、仮に日本政府が一度に放出したら、米国経済への影響は大きなものにならないか。財務省証券で外貨を準備している国がいくつかある。それらの国々が、相対的にドルが下落しても保有し続けているので、米国経済は支えられている部分があった。

これが意外に認識されていない。我々が財務省証券を売って金に切り換える誘惑に負けないよう、アメリカからも為替の安定を保つための協力をしていただきたい。」

大鹿靖明著『メルトダウン』・・・原賠法では国も免責される?!

311から1年が経過した。最近、大鹿靖明氏の『メルトダウン』という本を買って読んでいるのですが、第1部の『悪夢の1週間』では、身震いをするような1年前の記憶が思い起こされてきます。

今日、ここでは、第2部『覇者の救済』の中に描かれていた「原子力損害賠償法」(原賠法)第3条の問題について触れてみたいと思います。

これは、原発が事故を起こした際に、電力会社に賠償責任を負わすことを明記する一方で、「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りではない」と、賠償に関する電力会社の免責規定を設けているというものです。東電の「救済」スキーム作成の際は、この免責条項が適用されるのかどうかが、随分議論となりました。

しかし、この『メルトダウン』で解説されていることを見ると、あの議論は一体なんだったのだろうか?と思ってしまいます。というもの、「異常に巨大な天災地変」の際には、電力会社に代わって賠償責任を負う「主体」がいなくなってしまう、というのです。更にいえば、電力会社が免責されるだけでなく、政府もその賠償責任を負わない、というのです。

原賠法では、第16条で、電力会社が単独では耐えられない損害賠償を追う場合には、政府が「必要な援助を行うものとする」と定めています。しかし、第16条の規定を超えるような「異常に巨大な天災地変」が起きた場合、原賠法は第17条で、政府は「被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずる」としか書かれていないとのこと。法案提出時の国会質疑で、中曽根科技庁長官は、「災害救助法程度のことはやるという、最低限のことは言えると思いますが、それ以上は、その時の情勢によって、政府なり国会なりが決めることになるだろうと思います」と答えている。さらに、「第3条におきまする天変地変、動乱という場合には、国は損害賠償をしない、補償してやらないのです。関東大震災の3倍以上の大震災、あるいは戦争、内乱というような場合は、原子力の損害であるとかその他の損害を問わず、国民全体にそういう被害が出てくるものでありますから、これはこの法律による援助その他でなくて、別の観点から国全体としての措置を考えなければならぬと思います」としている。

そのような場合には、国全体に影響が出るから、もはや原賠法の出る幕ではない、その時になったら改めて考えるしかない、というような内容です。行ってみれば、法はそのような事態を想定していなかったということでしょう。

しかし、このような内容は今まで全く語られることはありませんでした。東電やマスコミなどが、このような事実を知らなかったとはとても思えません。東電の「救済」のために、電力会社の免責事項のみが語られるだけでした。しかい、これによって利益を得る人たちが他にもいました。「銀行」です。銀行は、原発事故直後に2兆円もの資金を追加的に貸し込んでいました。もし、法的整理などの事態になると大変なことになります。原賠法の内容が正しく解説されなかったのも、そのような勢力の存在があったからでしょう。

鳩山元首相はイスラエルや米国は訪問しないのだろうか?

鳩山元首相はやはりイランを訪問してしまったようだ。7日にはサレヒ外相と会談し、8日にはアハマディネジャド大統領とも会談する予定とのこと。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120408/plc12040809260004-n1.htm

しかし、何のために訪問したのか全く分からない。

サレヒ外相との会談で鳩山氏は、第2次大戦で広島と長崎に原爆が投下されたことに言及した上で「どの国も大量破壊兵器、特に核兵器を持つべきではない」と述べ、交渉を通じたイラン核問題の解決に期待を示した、とのこと。それに対して、サレヒ氏は、近く再開する見通しの国連安全保障理事会の5常任理事国にドイツを加えた6カ国との協議が「欧米との信頼関係を築く機会になるだろう」とした、とのこと。

何がわからないのかといえば、何故、イランだけを訪問するのかだ。日本に近い北朝鮮では、今まさに核問題が大騒ぎになっている。また、サレヒ氏が言及した国連安全保障理事会の5常任理事国とは、鳩山氏が言及したいわゆる「大量破壊兵器、特に核兵器」の保有国だ。イラン問題に限って言えば、イランだけでなく、関係するイスラエルや米国は何故訪問しないのだろうか?

「全員帰還」崩れる・・・今頃になってやっと認めた?!

福島第一原発事故で立ち入りを制限している区域について、長期にわたり住民の帰宅を認めない区域を設ける案が政府内で浮上してきたという。http://www.nikkei.com/access/article/g=9695999693819691E2E6E2E2E78DE2E6E2E6E0E2E3E09C9CEAE2E2E2

事故から既に1年を経過している。積算放射線量が50ミリシーベルトを超える地域も相当程度存在する。

地元の人たちにはつらい事実だろうが、現在の状況を考えたら、帰宅できると考えていた人たちは少ないのではないでしょうか…

この問題は、事故発生当初の「直ちに問題はない」発言と同様に、事実を伝えないで、ただただ根拠のない発言を繰り返していただけだ。

地元の人たちからすれば、帰りたいという気持ちが強いだけに、政府が「帰れる」といえば、だめかもしれないと思っても、一縷の望みを託してしまうというのはしょうがないでしょう。

しかし、空間線量も高いし、土壌は汚染されているし、原発には高濃度の汚染水や瓦礫が存在するし、また、大きな地震の発生が予想されていますが、もしそれが起こった場合には、福島第一原発の状況がさらに悪化して大惨事につながらないとは言えない状況です。

金銭的な補償問題などがあったのでしょうが、今後のことを考えると、事実をまず地元の人たちや国民にしっかりと説明することから始めなければいけないでしょう。

もし、政府が言うように、「冷温停止」して安定した状態で、また、放射線の問題もないというのであれば、福島の復興のために、国会や中央省庁を、原発に近い場所に移せばよいのではないでしょうか?

それによって、大規模工事が発生しますし、東京から多くの人が移らざるを得なくなり、本来なら減少するはずの人口が逆に増えるかもしれません。

「外遊」というが、本当に「外遊」にしないでほしい・・・政府総体としての対応が必要では?!

以前から違和感を強く感じている言葉に「外遊」がある。これは、政治家など公人の外国訪問に対して使われる言葉だ。

政治家などが外国を訪問するということであれば、しかも公費(国民が収めた税金)ですから、その目的も当然ながら公的な性格のものであると考えるのが普通でしょう。

しかし、通常は、国会が開催されない時期や日本が連休の時期などに、まさに「外遊」するということが多い。時に、ゴルフなどをして国会で問題になったりしている。

政治家の外国訪問については、しっかりとその目的も精査して、目的に沿った形での訪問を行ってほしいし、政治家個々人が勝手に「行きたいところ、行っていないところ」を訪問するのではなく、日本政府総体としてしっかりと国益にかなうように、コントロールしながら行ってほしい。

ところが、自民党政権時代に問題が無かったとは言わないが、民主党政権になってからは、政治家個々人が勝手に発言することが多いのは皆さんもよくご存じのとおりですし、政治家の「外遊」外国訪問でも目に余るものが散見される。

今日は、鳩山元首相がイランを訪問するということで、外相が不快感を示したという記事が流れている。鳩山氏は一体どのような目的で、何を話しに行くのだろう。

首相時代にも、問題発言を繰り返して結果的に対外関係(国内はもちろん)に大きな影響を与えてしまったと思うが、全く反省の色も見せていない。

民主党はもちろんだが、誰か意見する人はいないのだろうか?

→「こんな時期、鳩山氏がイラン訪問へ…外相不快感」http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120404-OYT1T00891.htm

鳩山氏といえば、先月は、中国・北京を訪問して、習近平氏を訪問している。この日は鳩山氏とは別に訪れていた輿石訪中団も習近平氏を訪問しており、鳩山氏の面会は輿石訪中団の20分後だったという。なんと恥ずかしいことか・・・日本政府がこのような事を認めていること自体信じがたい。

それに対して、中国政府は一言も文句を言わず、日本側の事情をしっかりと理解して、20分後だろうが何だろうが、言われて通りにアレンジを行っている。

中国はしっかりと「大人の対応」をしている。この日本と中国の対応を見ていると、悲しいかな、とても中国にはかなわない、という気持ちにさせられる。

→「輿石訪中団と鳩山元首相、別々に習副主席と会談」http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120324-OYT1T00136.htm?from=main4

 

『フクシマの嘘』というドイツで製作されたビデオ・・・日本のテレビでは見たことが無い?

中村忠之さんのブログで『フクシマの嘘』というドイツで製作されたビデオが紹介されていました。

原発に対する考え方は中村さんとは異なりますが、中村さんが言う「排他的なムラ意識」とその問題には賛同できます。

ビデオの内容は、この1年間にネットなどでは盛んに流されてきた情報ですが、「日本特有の原子力ムラ」の問題について映像としてコンパクトにまとめられています。

これを見て気付いたのですが、ネットでは盛んに流されてきた事柄が、テレビなどではこのようにまとまった形では報道されたことが無いということです。

まずは皆さんご覧になってください。

 ⇒パート1  http://www.youtube.com/watch?v=mKPpLpam6P0

 ⇒パート2  http://www.youtube.com/watch?v=uOgoZDDsRkc&feature=youtu.be

非常に気になったのは、菅直人氏がインタビューを受けており、原因及び問題は自身が首相に就任するよりずっと以前から行われてきたことにあると、まるで自分には責任が無いかのような発言を繰り返していることです。首相退任以降、新聞でも繰り返し主張していましたが、海外のメディアに対しても同じことを行っていたわけです。

事故が起こるまでのことに対しては、確かにその通りでしょうが、事故が起こってからのことに対してはどうなのでしょうか?

そのすべてを東電等の隠ぺい体質の問題にすり替えて、自身には全く責任が無いかのような発言をすることには、かなり違和感を感じます。

退任後もご自身は「脱原発」発言をされていましたが、もしそうであるならば、しっかりと行動で示していただきたいものです。

「電気を使えてるのは誰のお蔭ですか?」...東電は何も変わっていない

昨年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故から早一年が経過しました。しかし、残念なことに、瓦礫の処理は全く目途が立ちませんし、原発関係はまだその終息に向けての道のりがはっきりしない状況です。

そのような中で、東京電力に関する驚くべきニュースが入ってきました。4月以降の値上げ(17%)を拒否した場合には、電力の供給を止めるというのです。また、その後再契約をした場合には、さらに高い料金(2割増し)を請求するというのです。

「独占」ということで今日のような地位が認められてきたのです。しかも、今回の事故が起こってからは多額の国民からの税金が投入されています。それにもかかわらず、この無法ぶりです。

昨年4月中旬に、大学を卒業して東京電力に入社した女性のmixiが炎上して話題となりました。その炎上した書き込みの内容は、「東京電力を批判していますが、今電気を使えてるのは誰のお蔭ですか?よく考えてから批判するように!!! 文句あるなら電気使うな!あなたみたいな陰湿な事をいう人間がいるから日本人の質が問われるんです。」というものだった。

結局、東京電力関係者の考え方は、1年たっても何も変わっていなかったのだ。

当初から先の東電の処理案は間違っていると主張してきましたが、どこまで東電のやりたい放題が続くのでしょうか?最近は、「A級戦犯」の東電の勝俣会長と勝財務次官がつるんで、「反国有化」で動いているそうです。ここは、同じく「A級戦犯」の枝野経産大臣に頑張ってもらい、東電を少しでもけん制していただくしかないのでしょうか?

今まで日本では、バブル崩壊後の銀行処理においてもそうだったが、責任の所在を明らかにしないで、その後の対応もなあなあですませてしまう(つまり、「破たん処理はしない」)ことが多かった。しかし、国民にとって重要なことは、東京電力の組織の存続ではありません。電力の供給が継続されることです。役員や従業員が変わっても、株主が変わっても、債権者が変わっても、火力発電所や送電網が無くなるわけではありません。東京電力の処理にあたっては、そのあたりを考慮して行ってもらいたかったのですが・・・

「AIJ投資顧問: 年金2000億円 大半消失」・・・虎の子の年金が失われてしまう

最近は、気分が落ち込むようなニュースが多いのですが、AIJ投資顧問による「年金運用資産2000億円大半消失」というニュースは非常にショッキングなニュースです。

AIJ投資顧問は独立系の投資顧問会社だそうですが、同社の中心顧客は国内の企業年金で、運用受託資産は2000億円余りで、その大部分が消失しているといいます。顧客は企業年金でも、その中心は同業種の企業などが集まって作る「総合型」の厚生年金とのこと。しかも、運用受託した企業年金の数は100余りに達するとのこと。

企業年金が置かれている危機的状況

企業年金の資産運用は1990年のバブル崩壊以降深刻になり(ということは既に20年以上経過しているわけですが)、2000年以降は「代行返上」という言葉が大きく取り上げられ、年金制度改革及び資産運用改革について様々な議論が行われてきました。

その過程で、大企業などが運営する当時「単独・連合型」と言われた企業年金は、(JALや東京電力などを除いて)掛け金の引き上げや給付金の引き下げなどを含む制度改革及び運用目標の見直しなどを含めた資産運用改革を行ってきました。(残念ながら、だからと言って状況が大きく改善したということではありません。)

今回被害にあった総合型企業年金は、その母体が中小企業が中心であることから、掛け金の引き上げ・給付金の引き下げなどの改革は企業年金そのものを存続させるかどうかという議論につながるために、企業年金内部でも本格的な議論や改革が行われずに来てしまいました。総合型の企業年金の常務理事や事務長はほとんどが社会保険庁からの天下りで、企業年金をなくす方向での話(失業することになりますので)はしたがりません。

2000年以降、大手企業が運営する単独・連合型の企業年金は、年金資産の保証利回りをそれまでの5.5%から大きく引き下げてきましたが、総合型はずっと従来の5.5%を維持してきました。しかし、株式市場の低迷などで、5.5%の運用収益は確保できていませんので、ますます積み立て状況は悪化していました。

制度変更が出来ないわけですから、運用収益を稼がないことには、積み立て不足(一般企業でいえば「債務超過」状態)はさらに悪化します。実際、75%程度の企業年金(主として総合型)が積み立て不足となり、厚生労働省から改善要請が出されていた企業年金も多数でていました。

その為に、藁をもつかむような気持ちで、高い収益性をうたう、あるいは(株式市場が低迷を続けていましたので)どのような市場環境でも一定の収益(高収益でなくても)をあげる投資顧問会社への運用受託に走ってしまったというわけです。

AIJ投資顧問という名前自体今回初めて耳にしました。同社は日本証券投資顧問業協会に加盟していますが、会社の概要や運用受託資産の内容については全く報告していませんでした。そのような会社に120以上もの企業年金が運用委託をしていたということは、年金の制度あるいは年金資産運用の置かれている環境がそれほど深刻であることを表しているでしょう。

何故、長期間に亘って気づかれなかったのか?という疑問

何故、運用受託資産が消えてしまったのかは、今後解明されていくことを期待しますが、現時点で、疑問を感じるのは、何故、このような状態になるまで誰にも気づかれなかったのか?ということです。

運用を委託した企業年金には毎月、運用を受託した投資顧問会社から運用状況報告書が提出されています。AIJ投資顧問の場合には、この運用状況報告書が長期間にわたって粉飾が行われていたのでしょう。しかし、年金資産そのものは信託銀行が受託・管理を行っており、投資顧問会社が預かっているわけではありませんので、勝手に流用することも、その資産の運用状況の粉飾は簡単には出来ません。

また、信託銀行からも毎月、資産管理報告書が企業年金に提出されています。通常であれば、企業年金から厚生労働省や年金に加入している会社(事業所)への報告は、この信託銀行が報告している数値がもとになっています。

とすれば、信託銀行は一体何をやっていたのでしょうか?120以上の企業年金がAIJ投資顧問に運用受託していたとすれば、ほとんどの信託銀行がAIJ投資顧問の資産運用管理にかかわっていたはずです。

今回のケースでは、海外のオフショア(例えばケイマン)などで設立したファンドを購入するという形態がとられていたとのこと。ファンドは、AIJ投資顧問が、そのファンドの純資産価額を計算する海外の銀行と結託して実態とは異なる価格を出していたとすると、日本の信託銀行でもわからない、ということになります。

さらに今回の事件で噂されているのは、AIJ投資顧問は、実態的には同じビルに入っているグループ会社のアイティーエム証券と共謀していた可能性が高いらしい、ということです。同社についての記載はまた別の機会にしたいと思いますが、いい情報は何一つ出てきません。

今回の事件が、運用を行った結果として(その運用の失敗によって)運用資産が失われたのか?あるいは、当初から運用会社ばかりか証券会社や海外の銀行などが意図的に運用資産をどこかに流したのか?早期の解明が待たれるところです。

企業年金だけでなく基礎年金である厚生年金も同じ問題を抱えている

今回は新聞にも「企業年金」という文字が、意図的にかもしれませんが、目に留まります。しかし、この制度改革と資産運用改革の問題は、先にも記しましたが、もう20年以上も前から叫ばれてきている問題ですが、根本的な問題解決は全くなされていません。

日本の年金制度は修正積立制度というある意味特殊な形態です。現在積み立てられている資産をどのように運用していくかは、全体の制度がどのようになるかで全く変わってきます。例えば、従前のように5.5%の保証利回りを今後確保していく場合と、現在の経済成長率に合わせて12%を目標としていくのでは、取るべきリスクの水準が全く違ったものになります。また、既に始まってしまっているのですが、年金掛け金よりも年金給付金の方が多くなってくると、毎年、積み立てられた資産からの取り崩しを行わなければならないという状況になり、積立金の資産運用には様々な制約が課せられることになります。

「社会保障と税の一体改革」と言っておきながら、政府は年金の将来像などを明らかにしようとはしません。しかし、前述のように、将来像がどうなるかが明確にならないと、運営・管理の内容については決めることは出来ません。もっと言わせていただけるとすれば、「社会保障と税の一体改革」ではなくて、「経済と財政」という大きな枠組みについて検討しなければならないはずなのです。将来の全体像が示されないと、国民もどのような選択をすべきか判断することが出来ません。現在は、ただたた国民に「白紙の請求書」が突きつけられた状態なのです。

20年以上もかかる新幹線整備事業にどのような意味があるのか?地元は本当に経済効果を期待しているのか?

昨年1226日に、北海道新幹線など未着工の3区間について、今年度中に同時着工する方針が確認された、という。

http://www.nikkei.com/news/article/g=96958A9693819481E0E4E2E0838DE0E4E3E0E0E2E3E39F9FEAE2E2E3?n_cid=DSANY001

北海道新幹線では、「札幌延伸は投資効果が非常に高い事業」とされ、北海道経済連合会の試算によると、札幌延伸に伴う経済効果の純増額で年間1400億円、30年間の税収額累計が1兆5600億円が期待される、とのこと。

しかし、来年度の予算案では、税収が半分にも満たないという厳しい状況の中で、総事業費が3兆円にも上る整備新幹線事業が必要なのだろうか?

私が驚いたのは、北海道新幹線では、開業予定が35年度だということだ。今からすると20年以上も先の話だ。

本当に、建設会社ばかりでなく、地元に経済効果が期待されるのであれば、20年もかけることなく、もっと早く開業できるように、集中的に建設を進めるべきだ。

中国のように、安全性まで無視して、建設しろとまでは言わないが、中国のようなスピード感を持ってやらないと、経済効果も何もないのではないか?

東京札幌間が、現在8時間36分かかるものが、3時間半も短くなると言っているが、20年もたったころには、他の交通機関の状況や、地元の産業・経済あるいは人口などの状況も大きく変わってしまっている可能性が高い。

20年もかけて行う新幹線整備事業に、建設関係者を除く地元の人たちが本当に経済効果を期待しているとは思えない。

これではかつての自民党政権とやっていることは同じだし、民主党がマニフェストで訴えていたこととは正反対なのではないか?

福島県東部のコメ出荷停止と日本の農業問題

本稿では、その原発事故や放射性物質の問題ではなく、この関連記事から見える日本の農業の問題を改めてみてみたい。

この件で、出荷停止になった区域のコメ販売農家は406戸で、作付け面積は約165ヘクタール。コメの生産量は約825トンだ。

1戸当たりの作付け面積は、40アール、1戸当たりの生産量は、2トン(約33俵)となる。

この数値は日本のコメ農家の平均的な数値より極端に小さい・少ないというものではない。(全農地で見ると平均作付け面積は0.7ヘクタールとなる。)

コメ2トンの生産は、約33俵なので、大体20家庭分くらいの食料を生産したことになる。

金額にすると生産者米価の価格にもよるが、11万円とすれば33万円だし、15000円とすれば約50万円だ。

農家を事業単位で考えた場合は、売り上げは50万円となるし、また、生産量とすれば20家庭分の製品しか作れないことになる。

製造業で考えた場合は、売り上げが50万円、20家庭分の製品しか製造できないとすると、事業として成り立つはずがない。

農業が儲からないという点についても、浅川芳裕氏は「日本の農業が復活する45の理由」の中で、生産性の観点から記載している。

農業統計でみると、コメ農家の労働時間は10アールで年間30時間ですが、実際には1015時間で済みます。1ヘクタールでは、わずか150時間です。会社員で言えば、1か月の労働時間でしかありませんから、「儲からない」というのは話が違います。むしろ「働いていない」と言ったほうが良いでしょう。統計でも1ヘクタール未満のコメ農家の収入は時給に換算すると300円です。しかし、10ヘクタール以上のコメ農家では時給3100円となる。

民主党になって、戸別所得補償制度が行われたり、昨年はTPPの問題を巡って推進派と慎重派(この言い方には違和感を感じますが・・・何故反対派と言わないのでしょうか?)との間で激しい批判合戦が行われました。しかし、それらと切り離して、先の数値で現在の日本の農業・農家というものを見た時に、違和感を感じざるをえません。もう何十年にもわたって、日本の農業・農家の競争力を高めようという議論が行われてきましたが、何も変わっていません。

現状を踏まえて、農業・農家の在り方を変えていくべき時なのではないでしょうか?TPPがどうのこうのという以前の問題です。

ポーズだけで終わらせるな特別会計改革法案:次期通常国会提出?

蓮舫行政刷新担当大臣は、NHKのインタビューで、政府の行財政改革の一環として、公共事業を実施するための「社会資本整備事業特別会計」などの特別会計を見直すための法案を、来年の通常国会に提出する考えを示しました、とのこと。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111231/t10014995291000.html

昨年6月には、本年の「通常国会提出は厳しい」としていたのだが、昨年1214日に民主党行政改革調査会が新たに設置されたことなどを受けてのことだと思われる。

民主党は行政改革ということを強く打ち出していたにもかかわらず、この2年間何も行わずに来た。昨年末に決まった消費増税の関係でも議員定数削減と公務員総人件費の削減は「努力目標」とされて、その実現はほとんど期待できなくなっている。

特別会計の見直しにしても、「仕分け」も行われたが、法的な手当てがなされていないので、そこで決定されたことは何等効力を持たず次々と形を変えたりして復活してしまっている。

本件に関しては、野党からも支持する声は強く、民主党がその気になれば簡単にできることだろう。

しかし、2年以上たって、いまさらながらに法案提出というのは、いったいどうしたことなのだろうか?事業仕分けにしても、その結果についての法的拘束力を持たせようと思えば、法案を提出して国会で決議を行えばよいだけだった。しかし、何も行ってきていない。仕分けを行えば、それだけで結果が期待できるような間違った印象を国民に植え付け続けている。

蓮舫大臣が言及した特別会計を見直すための法案の内容はまだわからないが、ポーズだけで終わらないようにしてもらいたいものだ。

「政治家」を職業にするな

昨年1225日に、「NHLスペシャル 永田町・権力の漂流」という番組が放送された。

内容の詳細については、別稿にて触れたいが、政治家の行動が「次の選挙で落ちたくない」という考えに大きく拘束されているという印象を強く持った。

会社での話に置き換えるならば、「会社を首にされたくない」ということだ。

「政治家」が職業となっており、誰でもそうだが、「食べていくためには、何としても今のポジションにとどまらなければならない」という状況となっている。

その為に、「国民の生活が第一」(民主党)などとしながら、実は、政治家の行動は、「選挙に落ちないようにするにはどうしたらよいか」ということが最優先課題となってしまっている。

「国民」など彼ら・彼女らの目線の先にはないのだ。

尚、「職業」となってしまっただけでなく、その職業・地位は世襲もされるようになっている。

以前の調査では、衆議院で見ると480議席中185議席と実に38.5%2世・3世議員となっている。本人は議員にはなりたくなかったが、仕方がなく議員になったものも多いのではないだろうか。

また、十分な勉強もせずに議員になるものも多いだろうし、議員としてふさわしくないものもいるかもしれない。

昨年後半は、オリンパスの事件が話題となったが、以前の経営陣が、その地位に執着するあまりに、問題を隠して先送りすることによって更に問題を大きくしてしまった。そこには、自らが担っている責任やその責任の重さなどについても認識が全くない。現在の政治家もまっったく同じだ。「政治家」という地位に執着するだけで、本来、国民から託された責任についての認識など全くないようだ。逆に、政治家となることで、何か特権階級にでもなったような気持ちでいるのではないだろうか?

そのような議員という地位が世襲されてしまうようなシステムを許してしまっていること自体も問題だ。政治家になるためには、「地盤(支持者)、看板(肩書)、鞄(お金)」が必要と言われるが、そこには「政策」や「目標」などと言ったものはない。世襲議員の多さに見られるように、いくら「国をよくしたい」という強う意識を持った人がいたとしても、政治家になるのは難しい。

「国」のことをしっかりと考えてくれるような人が政治家に選ばれるような形に変えていく必要があるだろう。そのためには、「政治家」という地位を職業としないような考え方がまず必要だ。

政治家としての集大成が増税か?:「国民の生活が第一」はどこへ行った?

昨年末に、民主党税制調査会に初めて野田首相が出席して、「政治家の集大成としてやっている」として消費増税への理解を求めた。

東日本大震災が起こってから程ないころは、国民の多くが復興増税あるいは消費増税にある程度の理解を示していた。

しかし、状況は大きく変わってしまっている。野田政権への支持率よりも不支持率が大きく上回るようになり、増税への反対論も大きくなっている。

それもそうだろう、財務省の言いなりになって、大震災を材料に、大増税路線にひた走っているからだ。

2009年に民主党が政権をとった時には、国会議員の定数削減と、国家公務員の総人件費削減をマニフェストにあげていた。

しかし、この2年間でこれらはほとんど議論されずに来た。これらの政策については野党でも賛成する向きも多く、民主党が本気で取り組めば実現する可能性は高かったはずだ。

それにもかかわらず、本格的な議論は行わず、その後突然、大増税路線に転換してしまった。

消費増税にしても、国民に対して説明をする前に、野田首相が国際会議で国際公約としてしまった。

民主党税制調査会では、慎重派に配慮してか、「努力目標」として、議員定数削減や公務員総人件費削減など「身を切る改革を断行しなければならない」と文言も原案に入れられたとのこと。

しかし、この「努力目標」という言葉は「役所言葉」で、「何も行わない」ということと同義だ。

「増税」ということが「政治家としての集大成」とは何とも情けない。目的と手段が完全に逆転してしまっている。本来の目的は、民主党のマニフェストに即して言えば、「国民の生活が第一」であるべきだ。それを実現するためにどのような手段があるかで、消費増税もその1つの手段ではある。しかし、手段はそればかりではない、松下政経塾を創設した松下幸之助は、歳入を増やすことはもちろんだが、歳出を減らすことの重要性を説いている。野田首相はそれを学んでこなかったのだろうか?

消費税をいくら上げても、問題の根本的解決には至らないことは明らかだ。にもかかわらず、何故、増税一辺倒にひた走るのだろうか?

大阪市長になった橋本氏は年末のインタビューで、今、首相になったらという質問に対して、「まず、政治家が身を切る政策を行うことが必要」と答えている。

国民が、野田政権を支持しないのも、この違いなのだろう。

【新年のご挨拶】

 111231_デザイン_龍体列島.jpg

新年のご挨拶

新春のお慶びを申し上げます。

平素のご厚誼を厚く御礼申し上げます。新年も幸多き年でありますよう心よりお祈り申し上げます。

平成24年元旦

『日本は龍体列島』:<世界に向かってそのエネルギーを解き放て>

111223_写真_日本列島_030503_JAXA_地球が見える.jpg 

(みどりⅡから撮影した日本列島:JAXA

古来、日本列島は龍体で、世界のひな形、と言われます。また、宇宙も相似形をしていると言われ、天(天体)、地(日本・世界)、人(胎児)、とみな同じ(丸い)形をしています。

龍には天を駆け巡る力(エネルギー)が与えられ、天(大気)、地、水を守るといわれ、また、そのエネルギーそのものが龍のかたちとなっています。

古来、日本そして日本人はこの龍(エネルギー)の精神性を持っていると言われるのですが、現状はどうでしょうか?

天を駆け巡るどころか、狭い列島に閉じこもるばかりです。グローバル化と叫ばれてずいぶん経ちますが、その間に日本・日本人は逆に中に閉じこもりがちになっているのではないでしょうか?

それと共にエネルギーもどんどん失われ、無いに等しい状況となっているように思われます。

「呼吸」という言葉に象徴されますが、まずは息を吐かないと(「呼」)、息を「吸」うことは出来ません。

私たちは、この龍体の日本を、そして龍体としての経験と知恵を、外にもっと提供していかなければなりません。

それによって、世界の国々そしてその人々と、共振することが出来るようになるのではないでしょうか?

室伏 昭昌

経済産業省が消費15兆円を創出するための提言:予算獲得のためのポーズか?

経済産業省が、消費15兆円を創出するための提言をまとめたという。

http://www.nikkei.com/news/article/g=96958A9693819481E0EAE2E09C8DE0EAE3E3E0E2E3E39F9FEAE2E2E3?n_cid=DSANY001

2020年までに国内消費15兆円、雇用390万人の創出を目指す経済ビジョンで、医療・子育て、エネルギー、農業・食品などを重点産業と位置付け、規制緩和や税制優遇を実施して産業空洞化に歯止めをかける狙い。

似たような提案はこれまでどれほど出されてきたのだろうか?重点産業と位置付けられているのは、どれも規制産業ばかりだ。TPPの議論でも明らかなように、規制緩和など行う気が無いのは見え見えだ。

予算編成のシーズンでもあるので、取り合えす予算確保のためのポーズとして出したのではないだろうか?

官僚の目は国民や日本のためというような方向には向いていない。

東アジア経済統合、ASEANが研究資金負担:日本が何もしないということを見透かされている

本日の日経新聞に「東アジア経済統合、ASEANが研究資金負担」という小さな記事が載っていた。

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E0E7E2E1888DE0E4E3E3E0E2E3E39797EAE2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000

これは、東南アジア諸国連合(ASEAN10カ国が、これまで日本が大半を負担してきた東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の運営費用を来年度から一部負担することになった、というものだ。ERIAとは、200711月の第3回東アジアサミットの議長声明等を受け、200863日には、ASEAN事務局(ジャカルタ)において設立総会が開催され、正式に設立された国際研究機関で、東アジアの経済統合に資する政策研究および統計資料の整備などを通じた政策提言活動を実施することを目的としている。

ASEAN11月の経済大臣会合で資金拠出を決め、11月のASEAN首脳会合で、日中韓印豪ニュージーランドの6カ国を加えた計16カ国で自由貿易圏の構築を目指す方針で一致した。今後、貿易圏づくりが具体化すれば、ERIAの研究成果を活用する機会も増えると判断したようだ。

もともと、このERIAは、東アジア域内の持続的経済成長のためにということで、2006年に、二階経済産業大臣(当時)が提案した「東アジア版OECD」構想が、実現したものだ。しかし、日本は、本当にこの構想を進める覚悟があるのだろうか?このような多国間交渉に限らず、二国間交渉においても、国内の反対論が強く、ほとんどが全く前に進まない。

現在、問題となっているTPPにしても、もともとは日本が提案したものだ。1979年に、大平首相(当時)が提案した「環太平洋連帯構想」がもととなっている。もう30年も前の話だ。その後、様々な会議や提案などがあったが、その精神は引き継がれて、1994年の「ボゴール宣言」で具体的な目標が示され、先進国は2010年まで、途上国は2020年までに貿易と投資の自由化を行うことが決定されたのだ。また、その翌年には、大阪で開催されたAPECで行動指針が決定された。

現在は、大きな政治問題になっているが、TPPはそもそも日本が提案して、具体的な交渉指針も日本が主導して決定したものだ。しかし、その後は、実現に向けた動きは全くなされずにここまで来てしまっている。

今回の、ERIAに関するASEANの動きも、日本は何もしないのではないかというASEAN側の危機感がもたらしたものではないか?鳩山さんの東アジア共同体構想もそうだったが、日本は口先ばかりのパフォーマンスばかりで、いざとなると何もしないというように見られているのではないか?しかし、今や状況が変わって、日本が何もしないのであれば、日本抜きで物事は進んでしまうだろう。

払い過ぎの年金7兆円、減額が予算編成の焦点に :「微調整」も必要だが、もっと根本的な「世代間調整」を

「年金減額」という言葉が新聞紙面に載るようになった。今までは出ても極めて小さな扱いだったが、政策仕分けでも取り上げられた問題だ。

これは過去の物価下落時に支給額を下げなかったために払い過ぎになっている「特例水準」を本来水準に戻す目的で年金を減額するというもので、いわゆる「物価スライド」と言われるものだ。

本来、公的年金では、物価スライドを適用することになっているのだが、ここ10年以上にわたって、適用されておらず、このために7兆円余りが払い過ぎの状態となっている。http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819691E0E6E2E29A8DE0E6E3E3E0E2E3E39C9CEAE2E2E2;at=ALL

「年金減額」といっても、これはあくまでも政権与党が国民の支持が低下することを恐れて、本来行わなければならない物価スライドという時々の「微調整」を行わなかったがために、払い過ぎになっているというものだ。しかし、「年金減額」というのであれば、もっと本質的な、年金の給付額そのものが適正な金額であるかどうかを議論しなければならないはずだ。

野田首相は、増税を行うための方便として「次世代にツケを先送りしない」というようなことを言っている。しかし、この年金問題の方が問題はより深刻だし、実際問題として「世代間の負担」がきわめて偏った形になってしまっている。高齢者の方々には、大変申し訳ないのですが、現在の賦課方式を現状のまま維持することはもう不可能です。受給年齢をさらに遅くするということなども検討されていますが、それよりも前に、物価スライドというような「微調整」ではなく、もっと根本的な「世代間の負担」についての見直しをするべきではないかと思います。

年金関係については、以前のブログももしよろしければご覧ください。

→→「年金支給開始年齢引き上げ先送りへ:しかし、そもそも論として、約束が違いすぎるのでは?」

→→「年金、デフレの罠 「もらい過ぎ」6年で15兆円: 将来世代への負担の先送りはやめよう」

→→「年金支給開始年齢 引き上げ検討へ:それよりもまずは給付額削減や物価スライドの厳格な適用を」

政策仕分けで電波オークション早期導入が提言:一旦つぶされたオークション帆意識を復活させられるのか、野田首相の真実の姿がこれによってわかる

1121日に行われた政策仕分けで電波オークションの早期導入が提言されたという。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111121/plc11112118020009-n1.htm

政策仕分けについては、昨日のブログでも若干欠かさせていただいたが、政府の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)が21日に開いた「提言型政策仕分け」の2日目の作業で、電波の割当先を競売で決める「周波数オークション」について、導入時期の前倒しと一般財源化が提案された。11月末の会議で確定すれば、数千億円とみられるオークションの収入を早期に政府財源化できるが、制度改正が必要なため、来年実施予定だった3.9世代携帯電話向け周波数の割当先決定が約1年ずれ込むことになる。

3.9世代携帯電話向け周波数については、オークション方式で行うとして、昨年11月に総務省は決定していたのだが、その後、このオークション方式は潰されて恣意的な割り当て方式が採用されることになっていた。もしこれがオークション方式で行われるとすれば、数千億円から、場合によっては1兆円くらいの値段が付けられるのではないかといわれていた。しかし、現在は、前記の恣意的な割り当て方式が行われる予定で、上限価格は2100億円と決められている。しかし、この2100億円の根拠は全く示されていないし、しかもこのお金は国庫に納められるのではなく、総務省などのお間下り先となっている財団法人に入ることになっているという。本来、国庫に入るはずの金を総務省の役人たちが横取りして、自らのポケットに入れようとしているようなものだ。また、この割り当て方式では、ソフトバンクとエーアクセスが名乗りをあげそうだというが、条件設定などからすると、ソフトバンクの可能性が極めて高いようだ。オークション方式を止めたのは、ソフトバンクに応札させるためのようで、その周波数の売却代金はまるでその後褒美あるいは報酬として総務省管轄の財団法人に入るかのようだ。

尚、3.9世代で割り当てられるのは900MHz1セットだが、次の4世代では700MHz帯で2セットが割り当てられる予定だという。これらまで含めると、オークション方式で行って、その代金が国庫に納められるとすれば、復興で必要とされる金額の3分の1くらいの資金が捻出できるかもしれない、という。

この点については経済ジャーナリストの町田徹氏が報じているので以下のリンクからぜひお聞きいただきたい。http://www2.jfn.co.jp/owj/thu/index.php

もし、それが本当のことだとすれば、官僚が、報酬目当てに、特定の企業の便宜を図るために、当初決まっていた政策を変更した、とも言えるし、また、本来、多額の資金が国庫に入るはずだったのに、その資金を国庫ではなく、自らが所管する財団法人に流して、私しているということになる。これは、犯罪にも等しい行為だ。

しかし、問題は、昨日も書いたのだが、政策仕分け自体に法的な権限が全く与えられていないことだ。政策仕分けでは、ただ単に「提言」するだけだ。その場では、官僚もしおらしい態度をしていても、会議が終われば、元に戻ってしまうだけだ。官僚は、また名前を変えて提出すればよいと考えているに違いない。

野田首相は、この政策仕分けの結果を予算編成に反映させていきたいと言っているようだ。そうであるならば、是非、この電波オークションの導入は進めていただきたい。

野田首相になってから、ただただ国民の負担を引き上げることばかりなのだが、すこしはこのような「しろあり」を退治して、国庫への収入が増えることをやってもらいたいものだ。

これへの対応で、野田首相の真の姿がわかることになるだろう。

「政策仕分け」が気が付いたら終わっていた:これこそ「仕分け」たらよい

提案型政策仕分けが、気が付いたら、もう終わってしまっていた。

(気が付いたら閉会式を行っていて、参加者は自画自賛の演説を行っているようだ…)

あまり新聞でも内容を見た記憶がないのだが、気のせいだろうか?

私が見たのは、「朝ずば」で蓮舫氏と古賀氏の議論くらいだ。

しかし、以前にも書いたが、法的な権限が全くないのに、「事業仕分け」だか「政策仕分け」だかよくわからないが、行うこと自体に意味はない。

以前に、「仕分けられた」事業のほとんどがゾンビのように名前を変えて、復活してしまっている。

朝霞の公務員住宅などが良い例だ。

もし、やろうとするならば、以前に仕分けたものが、実際に、どのようになっているかをしっかりと検証してからにしてほしい。

そして、その結果、仕分けたものが、実行されていないという結論だったならば(そうなのだが…)、なぜそうなのかを分析し、

今後の対策を立てて欲しい。

実は、事は簡単で、国会で新しい法案を通して、「仕分け」に法的権限を持たせればよいのだ。仕分けられたものは、法律に従って、廃止ないしは見直しをしなければならない、とすればよいだけだ。そうでなければ、ただのパフォーマンスだと言われてもしょうがない。お金と時間をかけてやることなので、最初から、実行されることはないとわかっていてやることは税金の無駄遣いだと言われてもしょうがない。

また、東日本大震災の復旧は全く進んでいない。本来であれば、こんな無駄な事をやっている時間などないはずだ。

またぞろ出てきた円高対策論:かつてのPKOでは6兆円の損をし、外為特会では、今現在で40兆円超の含み損になっている

1122日の日経によれば、またぞろ公的資金を使った「円高対策論」が出てきているようだ。

http://www.nikkei.com/access/article/g=9695999693819481E0E3E2E0E58DE0E3E3E3E0E2E3E39797E3E2E2E2

1031日の大規模な介入にもかかわらず、円相場は元に戻ってしまい、76/ドル台で高止まりしているため、「有効な円高対策を」との声はやまず、霞が関や日銀が神経をとがらせている、という。

そこで、与党内で、「年金積立金で外債を購入できるのではないか」という構想が浮かんでいる、という。厚生年金と国民年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産額は約120兆円。現在は国内債券での運用が中心だが、その一部を米国債など外国債券に振り向けるという内容だ。GPIFが米国債での運用比率を高めれば、それに伴って円売り・ドル買いの取引が発生して、結果的に円売り介入と同じ効果を生み、円高是正が期待できる、という。

しかし、何度も繰り返すが、たとえGPIFの資産120兆円を使ったとしても、時間がたてば、今回のようにまた元に戻ってしまうだろう。かつてとはちがい、世界の投資マネーの規模は大きいし、円高の根本的原因が解決しない限り市場介入など全く意味がない。

尚、ここで、GPIFという名前が出てくることも問題だ。GPIFは現在問題となっている国民の年金資金の運用管理を行っている組織だ。過去10年以上にわたる低金利と株式市場の低迷で、運用環境が厳しい中、その運用利回りも低迷している。また、近年は、年金給付の金額が増加して、毎年、資金は出超となっている。つまり、総資産は減少している。

しかし、今までもそうだったが、運用環境などが厳しいからといって、むやみにリスクを取った運用は行ってこなかった。その運用は、資産と負債の正確に照らし合わせて運用を行ってきている。

それらを全く無視して、お金があるところなら何でもよいといった感覚で、「円高対策」に利用しようというのは如何なものか?

以前は、GPIFではなく、常に郵貯・簡保の名前が挙がったものだ。既に、かなりの年月が経過して忘れてしまった方や、全くご存知ない方も多いとは思うが、1990年代初めに、バブル崩壊によって株価が下落した際に、その株価を支えるために株価維持政策(PKOPrice Keeping Operation)なるものが行われた。つまり、郵貯・簡保のお金を使って市場から株式を購入したのだ。

之には多額の資金が投入され、1990年代後半や2000年代に入ってから株価が下落した際も、再度同じことを行うべきだという意見も再三あがった。しかし、この政策は御語地に失敗して、郵貯・簡保では6兆円あまりの実損が発生した。機会損失等を考えれば、この23倍くらいの損と考えてもよいだろう。当時は、郵貯・簡保は国有であったわけで、その資金は国民のお金とも言えるし、預金者や保険者のお金ともいえる。

また、GPIF以外にも、日銀が50兆円余りの資金を使って外債を購入したらという案も別途出されている。50兆円といえば、日本の1年間の税収よりも大きな金額だ。既に外為特会では、1年分の税収に匹敵する40兆円の含み損があるのだが、やっても意味のない為替の市場介入に何故このような暴挙が行われているのだろうか?

金融問題といえば、すぐにロックフェラーやラスチャイルドの名前を挙げて、ユダヤの陰謀論が叫ばれることが多いのだが、陰謀でも何でもなく、日本人が、自らの資産を食いつぶそうとしている。国際陰謀論でも何でもない、ただの国内問題だ。無為無策の政治家や官僚によって、国民の大事な資産が食いつぶされようとしている。

 

財務相"納得いくまで介入":為替の市場介入は「トイレのないマンション」:原発と同じ構造

円相場が徐々に水準を切り上げ始めた。安住財務大臣が、「市場がどう思おうと、私としては納得いくまで介入する」と述べて、大規模介入を行ってから半月余りが経過した。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111031/k10013620641000.html

以前から何度となく書いてきたが、為替の市場介入は、全く効果がない。そもそも、市場環境が20年、30年前とは全く異なっている。今回にしても、安住財務大臣が「市場の投機的な動きに対しては断固たる措置を取る」と発言してきたが、円高というよりも他通貨が弱くなっているもので、市場介入を行っても、円高の原因となっている根本的な原因を解決できるわけでも何でもない。

また、今回の介入にあたっての安住財務大臣の発言で、財務省・日銀が目標としている水準が透けて見えてしまったために、円安になった場合には、買い方は安心して買っていけることになってしまった。安住大臣が言及した投機筋を設けさせるために市場介入を行っているようなものだ。

これも何回も書いているが、日本の外為特別会計は、既に保有資産の40%程度、つまり40兆円近い含み損益を抱えている。これは日本の1年間の税収に相当する。

介入によって積み上がったドル資産を、いずれかのタイミングで円に戻して、介入資金の原資となった政府短期証券による借入(つまり借金をして介入を行っている)を返済することが出来ればよいが、日本はそれをしたことがないし、「その選択肢はない」。それは、そのドル資産は、米国債の購入に宛てられ、一旦買ったら、それを売って資金を回収するということは米国との関係上できないからだ。

これは、福島原発事故以降に大きく取り上げられるようになった原子力政策と同じように「トイレのないマンション」、表現が良くないので言い換えれば「出口のないマンション」と言ったところだ。つまり、外為特別会計は、増えこそすれ、減少するということがないわけだ。このままでは、外為特別会計がとんでもない含み損を抱えてしまう可能性が高くなる。既に40兆円の評価損があるのだが、これ以上増えたらどうなるのだろうか?

東京大学大学院経済学研究科の伊藤正直教授は13日に開催された国際シンポジウム「日本の啓示」で、「日本の現在の外貨準備は先進国と比較しても多すぎる、と警鐘を鳴らしている。http://j.people.com.cn/94476/7645504.html

年金支給開始年齢引き上げ先送りへ:しかし、そもそも論として、約束が違いすぎるのでは?

年金の支給開始年齢を68歳から70歳くらいに引き上げるという議論が起こっていたが、とりあえず先送りとなったようだ。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111027/plc11102700090000-n1.htm

その議論と並行して、希望する従業員には65歳まで雇用する義務を企業側に課そうという話が出てきていた。

しかし、これには違和感を感じざるを得ない。というのは、これまでの年金制度では、60歳まで働いたら、それ以降は年金だけで安心して老後を過ごせますよということが盛んに喧伝されて、年金制度が維持・発展されてきたからだ。それがいつの間にか、支給開始年齢に達するまでは働かなければならない、ということになっている。これでは将来の人生設計に関する考え方が根本から変わってきてしまう。もし、70歳まで支給開始年齢が引き上げられたら、70歳まで働かなければならない、ということになるのだろうか?

多分、年金の掛け金もずっと払わされることになるだろうから、男性の場合であれば、平均寿命からすると、50年近く年金の掛け金を払って、受給できるのは10年に満たない、ということになる。一体、この年金制度というのは、誰のための制度なのだろうか?

厚生年金基金や共済年金制度がつくられたのは、公務員の天下り先を確保するためだった、という話を旧厚生省の官僚から聞いたことがある。厚生年金基金でいえば、一番多い時で、2000近い基金が設立されていた。その運営は、理事長、常務理事、事務長などと事務員若干名ということが多い。そのうち、常務理事と事務省は社会保険庁からの天下りがほとんどだ。規模が大きな基金では、常務理事は旧厚生省からの天下りポストになっているところもある。そもそも、設立の認可を出す際に、旧厚生省や社会保険庁から何人という数が決められ、その給与までいくらということが指示されることも多かったそうだ。

80年代以降は、年金と福祉が「車の両輪」と呼ばれ、年金基金が、福祉施設を多額の費用をかけて盛んに建設した。しかし、結局は、バブルが崩壊して、それらの施設は価値が急減したばかりでなく、利用者も増えない中で、赤字を垂れ流し、年金積立金がそれらの赤字の補てんに使われるということになってしまった。

本論からそれてしまったが、年金制度は既に制度疲労を起こしている。抜本的な改革が必要だろう。具体的には、現在の賦課方式について徹底的に議論する必要があるだろう。通常、家計が厳しい場合には、出るお金を何とか減らすことから入って、また、同時に、副業などで何とか少しでも収入を増やそうということが行われるだろう。しかし、現在の年金制度では、通常であれば、真っ先に行われるであろう「出るお金を減らそうという努力」は全く行われていない。それは「給付金額の見直し」のことだが、本来、制度で定められて行われるべきインフレ調整さえ行われていない。そのため、過去10年近くで5兆円以上が余分に支払われている。これは少なくない金額だ。

民主党政権が誕生した時には、いわゆる「埋蔵金」や「人件費削減」などでかなりの財源をねん出すると言っていたが、全く何も行っておらず、結局足りない足りないで、その分をすべて増税で賄おうとしている。この年金制度でも全く同じだ。このようなやり方ではいくらお金を集めても、穴の開いたバケツに水を入れるようなもので、いくらあっても足りない。

緊急経済対策の基金が2兆円使い残し:まだまだ増税前にやることがあるのではないか?

リーマン・ショックを受けた緊急経済対策として2008年度と09年度の国の補正予算で設立された各都道府県の基金を会計検査院が調べたところ、10年度末時点で総額約34000億円の41.4%しか使われず、約2兆円も残っていた、という。この調査の対象となった基金の設立は自民党政権下だが、緊急経済対策などを実施する際の構造的な問題点として今後も点検が必要だ、としている。http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819691E3E5E2E2E58DE3E5E3E2E0E2E3E39C9CEAE2E2E2

これは、地方自治体のニーズを点検せず、国主導で予算を編成した点に問題がある。また、安易に基金を多用した面もあるという。通常、国や地方自治体の予算は単年度で消化するルールに縛られるが、基金を使えば事業実施は複数年度にわたることを認められるため、急を要しない予算が多く計上された、というのだ。これだと、役所の権限や縄張りだけを広げる悪弊を招きやすい。

しかし、2兆円は小さな金額ではない。民主党は、政権を取ってから、それまで声高に叫んでいた「埋蔵金」による歳入捻出と、無駄な予算の削減を全く行っていない。すいかし、このようなニュースに触れると、まだまだやることがありそうな気がしてくるのだが・・・増税するという10兆円くらい簡単にできてそうな気がするのは私だけだろうか?

最近、よくわからず気になること:「16京円相当の金塊」とは?

最近のネット情報で気になっていることですが、金額(数値)のあまりの大きさに驚かされることがあります。

天皇家が李家に預けていた16京円を日本に戻して復興資金として使用するというもので、そのうち8京円が米国に渡されるという話があります。いわゆる「天皇の金塊」に関わるものです。しかし、この数字はあまりにも大きくないでしょうか?

以下、この数値に関して、記載させていただきますので、ご参照ください。

16京円」という金額が出ていますが、よく読むと「16京円相当の金塊」です。

この16京円という数字は、2009年の数値でいえば、世界のGDPの合計値が5806810億ドル)つまり75/$で計算すると4350兆円です。

16京円というのは世界のGDPの合計値の37年分です。

また、金塊として考えた時に、4000/gで計算すると、4000万トンになります。

この4000万トンというのは比重を考慮すると200m3です。金の価格が上がってこの数字ですので、1年くらい前であれば300m3という具合にとんでもない数値になります。

現在の金の地上在庫は(これが正しくないことは明らかですが)、165600トンですので、4000万トンということになると、その240倍です。

尚、現在の世界の産出量は、2440トン/年ですから、4000万トンは、16400年分です。

16京円でも、8京円でも、あるいは1京円でも大変な金額です。もし、それらが使えるのならば、今の世界の金融問題は(数字上は)解決するでしょう。にもかかわらず、それと同時に、世界の危機を煽るような情報を流すというのは、どうしてなのでしょうか?

中国人も乗りたがらない中国高速鉄道(新幹線)

先週末から中国へ出張していました。今回は、上海から入り、現地の社員と合流して、河南省の鄭州までの出張でした。

上海から鄭州までは、私にとっては初めての経験でしたが、夜行寝台列車でした。列車は、上海を夜730分ころに出発して、翌朝5時頃に鄭州駅に到着します。一部屋に上下二段のベッドが左右に二つ並んでいて、4人で一部屋となります。乗る前に、白酒、おつまみや食料を買い込んで、ゆっくりとお酒を飲みながらの旅です。

しかし、上海⇔鄭州間は高速鉄道(新幹線)も開通しています、何も夜行寝台でなくとも・・・と思い、現地の社員に聞いたところ、便が日に3便しかないこともあるのですが、要は、新幹線には乗りたくない、ということなのです。温州での事故のようなことがあったらたまりませんし、ちょっとした故障などで、遅れることも多いようで、時間が計算できないのでいやだと言います。

ちょうど私の出張中に、「時速195キロで居眠り運転」というニュースも飛び込んできました。福建省厦門発浙江省温州行きの高速鉄道で、時速195キロで走行していた列車の運転士が居眠りをしていたと、乗客が証拠写真付きでミニブログ上で「告発」したのです。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111107-00000083-jij-int

25歳の女性が、空調が故障して開け放しになっていた運転席をのぞくと、運転士は背もたれにもたれかかり、熟睡状態だった、というものです。ネット上では、「中国の高速鉄道技術が世界一だと証明した勇ましい運転士」「眠っていれば、人為ミスも起きない。」などと、皮肉なコメントも流されているようです。

経済の拡大に向けて驀進する中国ですが、そのハードとソフトの品質・安全性などにはまだまだ国民の信用を得るには至っていません。ひょっとしたら英会陰にそれらは得られないかもしれません。

PR:中国関係の業務で、お困りのことがございましたら、株式会社K2Oまでご相談ください。→ものづくり支援(コンサルティング)http://www.k2o.co.jp/business/1/

年金、デフレの罠 「もらい過ぎ」6年で15兆円: 将来世代への負担の先送りはやめよう

年金のもらい過ぎが、6年間で15兆円にも上るという。http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0EAE2E0978DE0EAE3E2E0E2E3E39797EAE2E2E2

先にも物価スライドが行われていないことで、5兆円以上が過大に支払われているということが報じられていた。しかし、今回のニュースは、それよりもさらに制度の根本的な問題だ。

自公政権は04年改革で所得代替率を毎年度、小刻みに切り下げ、23年度以降は50.2%に固定すると決めた。それは、年金財政の長期安定性を高めるねらいがあり、2100年ごろまで50.2%を保つと厚生労働省は試算した。それが坂口力厚労相(当時)らが「百年安心」と名づけた経緯だった。しかし、問題は、実際の支給水準が本来水準を下回ってから、04年の改革で導入した所得代替率を下げる制度を発動すると決めている点にある。政治的な理由から、先の物価スライドは、特例法によって行われていない。そのため、所得代替率を引き下げるという制度自体が発動されずに来てしまったことだ。そのために、物価スライドと所得代替率の両方が引き下げられずに、6年間で15兆円も過大に支払われてしまっているのだ。

6年間で15兆円というのは、今回の10年間で10兆円という増税額よりも大きな金額だ。このままで行ったら、今後の増税と同じ期間に、いったいどれだけ過大な給付金額が支払われることになるのだろうか?今後10年間で30兆円くらいの金額に入ってしまいそうだ。

年金制度が出来てから、政治的な理由で、支給額ばかりはどんどん引き上げられてきた。しかし、現在の賦課制度では、もはやそのような水準を維持することが出来ないのは自明だ。

将来世代にツケを回さないようにしようとするならば、一時的な復興資金の為に増税を行うのではなく、賦課制度で運営される年金制度こそが給付と負担のバランスについて議論しなければならないのではないか?

関連する内容は、以下をご参照ください:

109             年金支給開始年齢 引き上げ検討へ:それよりもまずは給付額削減や物価スライドの厳格な適用をhttp://www.k2o.co.jp/blog/2011/10/post-38.php

102             年金減額見送り額5.1兆円:「次世代にツケを回すな」ではなかったのか?http://www.k2o.co.jp/blog/2011/10/51.php

TPP交渉への参加への理解求める:「食料自給率を向上させ、農林漁業を再生させる」のウソ

古川元久国家戦略担当相が29日に青森県外ケ浜町の農業法人を視察後に記者団に対し、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加問題について「貿易立国である日本にとって、高いレベルの経済連携は推進しなければいけない」とした。一方で「食料自給率を向上させ、農林漁業を再生させることもやらなければならない」と述べた、という。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111029/plc11102922430007-n1.htm

今まで、「日本の食糧需給率が低い」ということが盛んに喧伝され、農業保護の重要性が強調されてきた。政府がよく使うのが、総合食料自給率「39%」という数字だ。しかし、これはカロリーベースで数値で、生産額ベースの数値で見ると69%となりほぼ7割が自給できていることになる。更にいえば、このカロリーベースの数値は供給ベースではなく、摂取ベースであることから、供給ベースで見れば10%程度上がるのではないかと言われている。

生産額ベースでみると、野菜や果物はほぼ80%、魚介類は50%程度自給できている、しかし、カロリーベースでは野菜などはほとんど計算に入らない。野菜はビタミンなどは豊富だが、カロリーがほとんどないからだ。 

コメなどは作りすぎで、これだけ減反をやってもまだ毎年余剰米が発生している。また、耕作放棄地が埼玉県の総面積よりも広いことなどを考えれば、贅沢をしなければ十分時給は可能で、政府が騒ぐような状況ではない。

いままでは、自給率が低いということで危機感をあおって、農業者及びその関連事業に多額の補助金を流してきたのだ。

農林漁業を再生させることは極めて重要な政策課題だが、「食糧自給率を向上させる」ということはそもそもからウソだ。また、現在のような「戸別所得補償制度」は農林漁業を再生させるためには全く役に立たない。(現在の制度がダメという意味で、戸別所得補償そのものを否定するものではない)

外債購入50兆円、円高対策基金を: ちぐはぐな円高対策

政府が28日開いた国家戦略会議(議長・野田佳彦首相)で、民間議員の岩田一政日本経済研究センター理事長が、政府・日銀が海外の国債を購入できる50兆円規模の基金を創設すべきだと提言した。外債購入に伴う円売りで過度な円高を防ぐとともに、財政不安に直面する欧州の国債を買い支え、市場の安定につながるとした。http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E0EAE2E0878DE0EAE3E2E0E2E3E39797E0E2E2E2;av=ALL

よくわからないのだが、外為特会というものがありながら、なぜまたここで新しい基金を作らなければならないのだろうか?また、外債を購入することで、円高の流れを変えることが出来るのだろうか?また、円高を阻止したいのか?あるいは(欧州の国債を買うことによる)市場の安定が目的なのか?よくわからない。

外為特会を通じての市場介入の効果が全くないことはすでに明らかになっている。そしてまた、現在のようにじりじりと円高になるようなケースでは、「過度な変動」ということにもならず、市場介入に対する他国の理解は得られないだろう。だから、全く別の器を作って、外債購入をやろうというのだろうか?さらにわからないのは、(a)ただ単に外債を購入することで円高を阻止できるのか?(今までの市場介入は機能していないが…)(b)50兆円だけで足りるのか?(c)為替損が出たらどうするのか?(外為特会は既に40兆円余りの含み損を抱えている)(d)資金はどうやって調達するのか?(外為特会は市場から調達している(要は謝金で賄っている))これから更に国の謝金を50兆円増やすのか?

また、先に政府が発表している円高対策にも疑問を持つことがある。日本企業に資金を融資して、海外企業のM&Aを支援するという対策が発表されている。しかし、これだと、日本企業が海外での生産ないしは事業活動をますます加速化することにならないだろうか?そうすると国内の雇用はますます失われることになり、何のための円高対策なのかよくわからなくなる。そもそも「円高対策」とは国内の雇用を守るということが目的でなかったか?

政府の円高対策とは全く持ってちぐはぐだ。

 

小学校の牛乳から微量の放射性物質:「ブレンド」で隠すのではなく、しっかりと情報公開を

武蔵野市の8小学校で出された給食の牛乳から微量の放射性物質が検出されたという。微量だからということで簡単に問題なしとすることができるのだろうか?http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040900040000-n1.htm

このことにはもっと重大な問題が隠されている。牛乳(原乳)の放射性物質の検査では、他の市町村の原乳と混ぜて検査することが行われているからだ。http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040900040000-n1.htm

これは上記記事にあるように、事故直後の3月末から一般的に行われている。公表もされているのだが、マスコミなどもあまり大きな問題としては取り上げていない。これでは、高濃度の放射性物質が仮に含まれている原乳があったとしても、全体で薄められてしまって、問題のない製品として出荷されてしまう可能性がある。

他の食料品、例えば野菜でも、屁理屈をこねれば、生食用でなく、最初から加工用ということで、他の産地の物と混ぜて加工して出荷してしまえ、という動きが出て来てもおかしくない。

また、これは瓦礫処理でも同じことが言える。日本政府は、1キロあたり8000ベクレルまでの汚染の瓦礫などの焼却処理を認めている。この8000ベクレルという数値自体も問題だが、さらに問題なのは、日本政府は高濃度汚染されたものを汚染のないものと混ぜて汚染レベルを落とすことを許可していることだ。これは、上記の原乳を混ぜて出荷するのと全く同じ発想だ。これだと、8000ベクレルという数値自体が全く意味のないものになってしまう。放射性物質は焼却してもなくなるものではないので、日本政府の高濃度汚染廃棄物の焼却許可により、大気中に放射性物質が放出・拡散されることになる。これでは、放射性物質を更に広い地域に拡散させることになってしまう。これでは、除染の意味もなくなってしまう。

「安全・安心」と言いたいがために、情報を隠したり、わからないようにするのではなく、全てを明らかにして、どうしたらよいかを議論していかなければならないのでは?

ギリシャ問題における民間銀行の責任は?:金融システムの改革が必要なのでは?

欧州連合(EU)は約10時間にも及ぶマラソン交渉のすえ、欧州債務危機の「包括戦略」を取りまとめた。激しい議論の末、民間の負担をどのくらいにするかで最後までもめたのだが、結局、50%とすることで合意したのだ。EU・国際通貨基金(IMF)の報告書によれば、第2次支援で民間が60%負担するとEUIMFの負担増はほとんどない。今回合意した民間負担50%だとEUIMFも負担がある程度増える見通しで「痛み分け」の結果といえる。「もし民間側が自発的に同意しないのであれば、ギリシャが債務不履行(無秩序なデフォルト)に陥るシナリオに反対しない」というメルケル独首相の発言が「最後通牒」になったという。http://www.nikkei.com/news/headline/archive/article/g=96958A9C9381E2E2E3E2E2E3E18DE0E5E3E2E0E2E3E39C9CEAE2E2E2

とりあえず、今回の「包括戦略」によってギリシャ及びユーロの問題は当面の時間稼ぎができたようだ。米国の株式市場は、7~9月期のGDP値の発表の影響もあり、終値で前日比339ドル51セント(2.9%)高の1万2208ドル55セントと、約3カ月ぶりの水準を回復している。

ギリシャの問題だが、もともとは何年にもわたって同国が財政管理をしっかり行ってこず、また、国の競争力を高めることが出来ない中で、財政赤字を膨らませてきた結果であることは間違いない。しかし、今回の交渉過程で、民間側は負担を追うことにかなり抵抗したのだが、民間側には何も責任がないのだろうか?

ギリシャのケースでは、ゴールドマンサックスが同国の公的債務の数値を見かけ上引き下げる行為に手を貸して、巨額の報酬を得ていたことが既に報じられている。もちろん、法的に問題があるというわけではないかもしれないが、EU統計局の基準をわかったうえで、それが厳格化される前に取引(「クロス・カレンシー・スワップ」)が行われており、事実上の、「抜け穴」を用意するような行為であったことは間違いないだろう。(ただし、これはギリシャだけでなく、他の国でも行われたことのようだ。)見方はいろいろあるだろうが、極論すると、粉飾決算に手を貸すような行為ともいえる。ゴールドマンサックスの人間が、それがどのように使われるか、公的債務の数値にどのような影響を与えるのか「全く知らなかった」と言い切れるのだろうか?

これは極端な例としても、ギリシャの公的債務が膨らんでいたことは民間銀行側も当然わかっていながら、資金を提供し続けていたのであるから、今回の危機に際して、何も責任がないということがあるのだろうか?

今回のギリシャ危機でも、結局はギリシャというよりも、民間の銀行の問題に行き着く。民間銀行の資本の積み増しなども決まったのだが、米国に端を発したサブプライムローン問題以降、世界の銀行には、巨額の公的資金が投入された。公的資金というのはとりもなおさず国民の「税金」だ。『国家対巨大銀行』(サイモン・ジョンソン/ジェームズ・クワック共著)に詳しいが、今までにこれだけ多くの資金が、1つの産業に注入されたことはあるのだろうか?しかも、民間銀行は、この20年以上にわたって、規制改革を求めてきて、政府による規制や監督は無いほうが良いのだ、と主張し続けてきたのだ。

サブプライムローン問題以降の金融危機はまだ終息したわけではないが、救済され、生き残った銀行はさらに大きくなって、以前のように収益を上げるようになっている。しかし、金融危機を引き起こした責任を取った経営者は誰もいないし、金融システムそのものも何も変わっていない。

このままでは、儲けたお金はすべて民間銀行(その社員)が手にして、損はすべて国民の税金ということになってしまう。最後は、国(国民)が尻拭いしてくれるとわかっていれば、銀行はどんどんリスクを取って利益追求にまい進するばかりだろう。金融システムの改革が必要なのではないか?

「汚染水を飲む」と口走った園田内閣府政務官:それほど安全なら国会と中央省庁は福島に移転してもらいましょう

園田内閣府政務官が記者会見で「汚染水を飲む」と口走ったそうだ。過去に東電が福島原発56号機内の低濃度汚染の滞留水を敷地内で散水する計画を示したことに対し、記者側から「本当に低濃度なのか」という疑問の声が上がり、やりとりの中で、「必要とあらばパフォーマンスではなく対応したい」「取り寄せて、この場で飲んでもいい」とタンカを切ってみせた、というのだ。

http://gendai.net/articles/view/syakai/133221

記者の挑発に乗せられたという側面はあるかもしれないが、原発事故発生以来、政府は安全・安心を繰り返してきたのだから、そのような発言が出ても本来ならばおかしくはない。

最近も、冷温停止に目途がついたということを発表したり、1号機の非常用復水器の損傷確認されなかったということを発表して、しきりに安全・安心をアピールしようとしている。そのため、新聞やテレビだけ見ていると、報道そのものが減ってきていることもあるし、その報道の楽観的な内容に驚かされる。

しかし、冷温停止といっても、既にメルトスルーしてしまっているのだから、そもそも冷温停止という言葉を使うことすらおかしいはずだ。

それほど安全・安心をアピールしたいのであれば、国会と中央省庁を福島に移転させてはどうか?復興後の公共工事を生み出すことにもなるし、福島での需要創出効果は大きいはずだ。

また、物価は現在では東京よりも安いはずなので、公務員の給与は、民主党が約束したように2割カットも可能になるだろう。そうすれば、今後10年間で給与の2割カットで10兆円を削減することが出来、それだけで復興に必要だとされる資金の90%程度は確保されるので、増税も必要なくなってしまう。

「パンドラの箱」というタイトルの田坂氏の講演:信頼の回復に必要なものは?

Youtubeに田坂広志・前内閣官房参与の日本記者クラブでの講演が掲載されています。「パンドラの箱」というタイトルで、福島第一原発事故を受けて、今後何が問題になるのか、そして解決のために何が必要なのか?ということを話したものです。http://www.youtube.com/watch?v=bMRD3p2nuuI&feature=player_embedded

前菅内閣時代の内閣官房参与ということで、実際に事故対応にも関与していた人だけに、話の内容はよくまとまっているし、現在の問題点の整理としては、非常にわかりやすいものだった。現在の根拠なき楽観論を戒めるとともに、今後は高濃度放射性物質の処理の問題が避けられないとして、それらを解決していくためには、政府・行政が国民から信頼を得なければならないというものです。

1時間余りのものだが、興味のある方は是非ご覧いただきたい。

今後の対応(福島第一原発だけでなく原子力行政全般)で、必要な事として、「安全・安心」はもちろんだが「信頼」が重要、というのは全く同感だ。

しかし、私個人として違和感を覚えたのは、政府と行政に対する信頼が失われたのが、原発事故が起きてしまったため、としていることだ。私個人としては、事故が起きてしまったことは10000歩下がって認める(時間を戻すことは出来ないという意味で)としても、事故後の対応(今現在も含めて)自体が問題だと考えているので、前菅内閣が行った事故後の対応が適切であったかのようなことを平気で言われること自体に違和感を感じざるを得ない。

実際に、同じ内閣官房参与だった小佐古氏は政府対応の問題を指摘して辞任をしている。ここで田坂氏を批判しても意味はないし、田坂氏が言っている「現在の根拠なき楽観が問題」という指摘は全くその通りだと思う。ただそこに、事故後の政府・行政の対応が、国民のイノチを守るという観点からはかなりずれたものであったのではないか?という反省も今後の対応としては重要ではないかと個人的には思うのですが、如何なものでしょうか?それこそがまさに田坂氏の言う「信頼」の回復につながるのではないかと思います。

野田首相が「日本取り巻く安保環境は不透明さ増している」:米国のシナリオに乗っていて大丈夫か?

野田首相が、16日に開催された航空観閲式で、中国の軍事力増強と北朝鮮による度重なる軍事行動は日本の安全保障にとって大きな脅威になっているとの認識を示し、防衛問題でタカ派的として知られる自らの立場を改めて鮮明にした、という。 http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_325836

その結果として、「日米安全保障同盟の重要性は不変」ということを強調している。

今年の防衛白書も、かつての冷戦時代のソ連を想定としていたものを、新たに中国を仮想敵国として、シーレーン防衛にシフトしている。先月には、南シナ海の島嶼における領有権問題に日本が介入しようとしているとして、中国が日本をけん制する動きを見せた。日本は、直接的に同問題に介入するような発言はしていないが、オバマ・野田会談の中で議論されたことが米国からリークされている(日本からは具体的に言及されてはいないが)。

野田政権になってからの政策は対米従属一辺倒になっている。昨日書いた「米国産牛肉の輸入緩和」にしても、野田首相は、国民の健康問題はそっちのけで、米国との関係を重視するために行うということをはっきりと言っている。国民そっちのけにしてでも、米国との関係が重要とはいったい何なんだろうか?(昨日のブログは以下をご覧ください→「米国産牛の輸入制限緩和へ:国民よりも米国との関係の方が優先なのか?」) 

本日の日経新聞のグローバルオピニオンではドナルド・ラムズフェルドが寄稿している。「21世紀の今日、国際社会が抱える問題を1国だけでは解決できない。・・・多国間での協力は不可欠だ。その「協力」は同じような考え方を持つ国同士によるものが基本」としており、「中国が示している拡張主義的なもの」というように、中国をラムズフェルドが言う「連合体」には含めておらず、「連合体」とは相反するものとしている。日本はその「連合体」の重要な一員として「その軍事力と経済力、外交を組み合わせれば、もっと重要な位置づけをされる」として、特に「軍事力」を強調している。

現在の民主党の閣僚は、まさにラムズフェルドが言っていること、つまり米国の描いたシナリオを忠実に実行しているようにしか思えない。そのような中で、野田首相や玄場外相の訪中の日程調整が中国との間で行われているようだが、米国の言いなりになって、中国側をむやみに刺激しておきながら、訪中とは・・・

前原氏「農業予算つける」TPPにも改めて意欲:もう無駄なバラマキはやめてくれ

民主党の前原政調会長が15日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)締結交渉への参加をめぐり、農業保護のための反対論が根強いことを念頭に「自由貿易に入ろうが入るまいが、日本の農業は今のままではダメ」「自民党政権の農業政策を見直し、予算をつけて努力していく」と述べ、農業振興施策に予算を重点配分する考えを表明した、とのこと。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111015/stt11101521180003-n1.htm

「日本の農業は今のままではダメ」というのは全くその通りだが、「予算を付けて努力していく」というのは具体的に何をやっていくのだろうか?民主党になって、農家への戸別所得補償制度を導入したが、これた単なるバラマキで終わっている。この戸別所得補償制度を、小澤氏が言い出した時には、全く違う内容だった。小澤氏は、当初、戸別所得補償制度とTPPを結び付けて提案をしていた。つまり、TPPに参加して、関税をゼロにする。そして、また、減反政策も廃止する。それによって、コメの価格は下がるはずだ。すると影響を受ける農家(特に、農協が組織化している小規模農家)は、効率化を進めざるを得なくなる。これで、「家庭菜園の延長のような農家」はどんどん脱落していくことになる。

しかし、本気で農業に取り組もうという農家(主として大規模農家)に対しては、生産コストと販売額の差額を保障しようというものだった、はずだ。これは、海外でも行われていることだ。しかし、このアイデアは民主党の中で換骨奪胎されていった。

前原氏は「自民党政権の農業政策を見直し」とも言っているが、今や、民主党の農業政策は自民党が提案していた制度よりもバラマキ色が強くなってしまっている。ただでさえ予算がなく、増税路線を突っ走っているのにもかかわらず、新たな利権づくりの為に、これ以上の無駄なバラマキはやめてほしい。

米国産牛の輸入制限緩和へ:国民よりも米国との関係の方が優先なのか?

政府は、BSE問題を受けて2003年から実施している米国産牛肉の輸入規制について、来年前半にも緩和する方針を固めた、とのこと。http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111015-OYT1T01101.htm

現在、「月齢20か月以下」の若い米国産牛の肉に限って輸入している制限を「30か月以下」まで緩和する方向で、野田首相が、11月に行われる見通しの日米首脳会談で、オバマ大統領に緩和を表明する方向、とのこと。

問題は、その理由だ。それは、米国の要望が強いことにや、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた日本の農産品に対する風評被害の除去を各国に訴えるためにも必要だ、と判断したためだという。

国民の健康のためということで、これだけ長い期間にわたって行ってきていることを、それを全く無視して、いきなり米国の要望云々とはどういうことだろうか?日米首脳会談のお土産としても必要ということだろうか?

尚、この問題は、ちょうど1年前に当時の前原外相がクリントン国務長官に約束したことでもある。

 

安住財務相が消費税5%上げを国際公約:国際会議での無責任な発言はもうやめてくれ

安住財務相がG20で消費税を5%引き上げるための関連法案を来年の通常国会に提出すると説明し、日本の財政健全化の取り組みに理解を求め、また、増税と同時に社会保障費の抑制を進め、基礎的財政収支の赤字を2015年度に10年度比で半減、20年度に黒字化することも併せて表明した、とのこと。 http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E7E2E3958DE3E7E3E2E0E2E3E39F9FEAE2E2E2

消費税の増税をめぐっては、景気への悪影響などを理由に与党の民主党内にも反対論がなお残る。国内での議論をそっちのけにして、安住財務相がG20という国際会議で、期限を示して消費税の増税を国際公約したことで、今後の国内の議論に影響を与えるだろう。早速だが、自民党の石原幹事長が、安住財務相の発言を批判したうえで、来年の通常国会で衆議院の解散・総選挙に追い込みたいという考えを表明している。

石原氏の発言も当然だ。民主党の閣僚は、国内での議論をすることなく、国際会議で勝手な公約を繰り返している。民主党政権が誕生してすぐの鳩山元総理のCO2削減目標に始まり、菅前総理の太陽光発電、野田総理の原発関連発言、と数えればきりがない。国際会議ではないが、米国との米軍基地移設問題や普天間問題をめぐるやり取りも同様だ。

しかも、国際会議での公約であるので、結果的に、それらがどれだけ日本の信用を貶めることになるのか、ということを考えないのだろうか?

ただ、単に、政権の閣僚が、国際会議で、その場をつくろったり、いいかっこをするがために、日本の信用を貶めることだけはもうやめてほしい。

安住財務相がG20で「不良債権の教訓」説明:日本の国民の前でもしっかりと説明と謝罪を

安住淳財務相が、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、不良債権処理に手間取った日本の「教訓」を踏まえ、欧州は「大きなスキーム」で金融機関の支援を進めるべきとの考えを表明することを明らかにした、という。http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-23625320111014

これは、日本で不良債権処理を行った際に「過少な見積りが解決を遅らせた苦い経験がある」というもので、かつて、麻生氏も国際会議で同様の発言をしたこともあるのだが、ある意味、日本の政府及び財務省・日本銀行の誤りを認めたものだ。

欧州の金融当局者に上から目線でもの申すようで、先方からすれば非常に不愉快な発言だろう。というのも、日本の金融問題がすべて解決しているわけではなく(既に失われた20年となっており、このままでは30年となってしまう)、個々の金融機関もさることながら、国の債務残高などを見れば、はるかに欧州の方が状況は良い。また、今回問題となっている銀行の厳格査定の問題も、日本の銀行が厳格に査定されているかどうか、今現在でも、疑わしい。

既に失われた20年という状況なのだが、この元凶となったのが、安住財務相が認めた「不良債権の教訓」であるとすれば、日本の国民にもしっかりと日本の金融当局者の誤りを説明及び謝罪をすべきだろう。

また、日本の銀行について言えば、かつてと中身はまるで変っていない。それは、この20年の間に「大きくて潰せない」という考えを、植え付けてしまったためだ。もうけはすべて自分たちのものにして、後始末は国民に押し付けるということが、続いている。日本の銀行は90年代中頃からほとんど税金を払っていない。2012年度から納税を開始するというニュースが今年に入ってから出ていたのだが、ここにきての金融危機の影響などで、また遅れるかもしれない。

通常、経営が厳しくなれば、従業員の削減や給与・賞与の削減、先のルネサスのように、などが行われるのだが、銀行員の給与が大きく減ったということなど聞いたことがない。

日本の金融当局者が、本当に、「不良債権の教訓」ということを認識しているのであれば、日本の金融機関をどのようにするのかということを本気になって考えてもらいたい。

中国温州で金融危機が急速に拡大:今度はそれを逆手に金融特区・規制緩和・撤廃を要求:日本と中国・・・どちらが社会主義の国か?

中国の温州で民間貸出の資金ショートが続発して、信用保証会社や銀行を巻き込んだ倒産の連鎖が深刻化している、という。http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=1011&f=business_1011_218.shtml

温州と言えば、最近は、温州人による中国国内各地での地上げが問題になってきた。

温州人のことを、中国人は、中国のユダヤ人といってきた。かつて、毛沢東は、温州人のことを、一番嫌いだった。どれだけ毛沢東が吹き込んでも、聞いたふりだけして、全く理解しようとしなかったからだ。実は、自分でものを作ればよいという考えをする人たちで、そのため自営業者が一番多かった。また、リスクをとるということが出来る人たちでもあった。その人たちが、最近は、中国全土の株や不動産の地上げのご指南役になってしまった。それでも、昔からのものづくりに励む人たちも多くいたのだが、それらの会社で資金ショートが続発し、企業の資金繰り悪化で社長の逃亡や自殺が相次ぎ、信用保証会社や銀行を巻き込んだ倒産の連鎖が深刻化している、というのだ。

中国国内では、金融引き締めが行われる中で、民間企業へ貸出が減少し、資金繰りの為に高利の闇金融に手を出す会社が多くなってきて問題となっている。全体の貸出額をそれほど大きく絞っているわけではないのだが、国有企業に優先的に資金を回すために、民間企業への資金が限られてしまうのだ。

しかし、毛沢東が嫌い、中国のユダヤ人と言われる温州人だけあって、ここへきて「転んでもただでは起きない」という動きが出てきた。「金融危機を逆手に金融特区構想」を国に申請するというのだ。規制を緩和・撤廃することで、サービス業への資金投資を促したり、民営中小金融機関の市場参入を大幅に認め、企業に多様な資金調達ルートを準備する、というものだ。http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=1013&f=business_1013_018.shtml

大震災が起こっても従来からの利権維持に汲々としている日本の政治家・官僚と比べて、なんと中国の動きの速いことか!!

明治維新と戦後の変革と成長を20年余りで達成してしまった中国ならではの動きと一言で片づけてしまうのは簡単だが、考え方がダイナミックで柔軟だ。日本と中国・・・どちらが社会主義の国だかわからないような状況になっている。

米国企業に中国撤退の動き:米国はいよいよ選挙の年に

米国企業に中国撤退の動きが出てきたという。http://j.people.com.cn/94476/7613532.html

これは、「メードインUSA」のコスト的優位性に対する認識が広がり、生産を中国から米国に移す動きが出てきたというものだ。

確かに、中国国内の人件費の高騰などで、以前のように、中国での生産が「とにかく安い」という状況ではなくなってきている。中国企業でも、かつての米国や日本のように、海外に生産拠点を移す動きが出てきている。隣のベトナムもそうだし、バングラデシュやミャンマーなどもその候補地となっている。もともと東南アジアなどでは華人がその経済の中枢を担っていることもあり、中国企業が進出するのは、日本企業などが進出するよりも容易だ。

最近は、フォードが12千人分の雇用をメキシコと中国から米国に移すことを発表した、という。グローバル化が進む中では当然の動きで、それぞれの企業が、その戦略に従って、どこで生産を行うべきかを決定していくので、グローバル化の中では、一律に、中国が良いとか、米国が良いとかと言った、二者択一の動きではない、はずだ。

米国では、オバマ大統領は5年間で輸出を倍増するという計画を発表している。それによって、200万の雇用を創出するとしてきた。また、成長戦略の一環として、再生可能エネルギーの育成が叫ばれたりもしてきた。しかし、これは、最近になって、うまくいっていないことが報じられている。

来年の大統領選挙に向かって、米国はいよいよ政治の年になる。今回のニュースはボストン・コンサルティングの調査に基づくものだが、この調査では、今回の動きによって、米国内で200万から300万の雇用が生まれる見込みだ、としている。オバマ大統領が掲げる200万の雇用創出の数字と図らず一致する。

最近、米議会で対中国為替制裁法案の審議が行われるなど、米国の中国に対する人民元切り上げ圧力が高まっている。法案は成立しないようだが、成立させることが目的ではなく、あくまでも中国に揺さぶりをかけることが目的で行われている可能性が高い。(尚、今回のニュースを人民網が発信していることからして、米国の人民元の切り上げへの圧力を緩和しようという中国政府の意図も考えられる。)

今回のボストン・コンサルティングの調査がそうだとは言わないが、選挙の年に向けて、政権に有利になるような情報を流そうという動きが活発化する可能性が高い。

「米国との関係を考えると(TPPに)参加しないという選択肢はあり得ない・・・」:これが日本のメディアの発想か?

それは1011日のテレビ東京のワールド・ビジネス・サテライトの最後の部分での、小谷キャスターと今週のゲストの日本総研の高橋氏との短い会話だった。

正確に一字一句記憶してはいるわけではないが、内容は「日本はTPPに参加しないという選択肢はあるのか?」ということに関して、「米国との関係を考えると参加しないという選択肢はあり得ない・・・」という会話が、2人の間で交わされた。高橋氏というよりも小谷キャスター主導でそのような会話がなされている。ここまであからさまな発言をテレビで今まで見たことはないと思う。

日本のメディアの報道が、対米従属的な発想を基準にしていることがわかるような会話だった。私個人としては、メディアというのは、常に反体制的なスタンスであるべきなのでは、と思っていることもあり、現在の政・官と一体となった報道姿勢には、非常にがっかりさせられる。

TPPであれば、日本の国益に照らしてどうなのか?ということを情報として発信してほしい。

眞子さまへの勲章授与、閣議で決定:「国家とは何か?」:叙勲制度も見直しが必要なのではないか?

眞子さまへの勲章授与が閣議で決定されたそうだ。http://sankei.jp.msn.com/life/news/111011/imp11101110130001-n1.htm

これは、今月成人されるためで、皇族については通常よりもかなり早く勲章は授与されることになっており、皇太子や皇太孫となれば、満7歳で、大勲位菊花大綬章が授与される。これは内閣総理大臣でもめったに授与されない高位のものだ。

勲章は、現在も、春夏に、文化勲章も含め多くの人々が授与されています。しかし、いつ、どういう目的で始まったのか?等々知らないことが多々あります。また、現在、この勲章制度には、運営する法律がなく、戦後、何度も法制化しようとしたのですが、出来ませんでした。その代わりに、明治時代に作られた「勅令」や「太政官布告」によって運営されているというのですが、なぜこのような事になったのでしょうか?

叙勲は、かつての天皇の臣下に対するごとく、政治家や官僚が高い階等を占め、黙々と働く我々一般の国民には低い階等しか与えられないことなどは、天皇の前に雛壇の格差を作ることだ、という批判があります。また、政治家や公務員はもともと公のために働くのが仕事であって、それで報酬を得ているので、膨大な税金を以て褒賞する必要はない、という主張もかねてからありました。また、職業による評価の差、性による格差もあからさまです。

かつて勲章が授与された人物の叙勲の妥当性が問われることも多々あります。例えば、米国のカーチス・ルメイです。彼は、東京大空襲の指揮官で、1945310日の東京大空襲では、一晩で10万人もの人が亡くなりました。そのルメイに1964年に勲一等旭日大綬章が贈られました。保坂正康氏は「東京大空襲は正しかったと日本政府が公認したと歴史的にはみなされる」と指摘しています。

また、外務事務次官を経験したことを根拠に勲一等瑞宝章を受章した、真珠湾奇襲の際にワシントンの大使館員だった井口貞夫と奥村勝蔵は、対米開戦に際しての不手際から、本来は、だまし討ちとの批判を招いたことに重大な責めを負うべきなのに、何故叙勲されたのか?と疑問が呈せられることも多いようです。

全ての人とは言わないが、多くの人が納得するような制度に変えるべき時が来ているのではないだろうか?

人民元の国際化について中国が余裕の発言:日本政府は事態を全く理解していない

先日の民主・大久保政調副会長の発言(「外貨準備の運用先を新興国通貨などに広げるべき」というもの)に関連して、野田首相の以前の国会答弁が紹介されていた。それは「中国の外貨準備が日本国債を買えるのに、日本の外貨準備では中国国債を買えないことに不自然さを感じる」と述べ、規制見直しを求めたものだった。http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a85I0_PKTFcA

それに反応したのかもしれないが、人民網が「人民元の国際化 日本が警戒」という記事を掲載している。http://j.people.com.cn/94476/7613559.html

その記事では、「人民元は、すでに通貨の国際化を判断する「貿易決済、投資、外貨準備」という3つの要素を備えている」。それに対して、「日本は世界でもっとも多くの債務を抱えている。そのため、投資家はいつでも円資産を売れる準備をしている」。「人民元が上昇しドルやユーロに取って代わることはないが、円の影響力を弱め、円を「3大基軸通貨」から押し出す可能性がある」と、余裕の発言を行っている。

記事にあるような日本のメディアが「人民元の国際化に対して日本が警戒している」といった報道を行っているようには見えないし、それどころか、日本のメディアはそのような「事態」を全く理解していないだろう。野田首相や大久保政調副会長も同様だろう。そうでなければ先のようなのんきな発言はしないはずだ。この記事は、中国が自身の力(政治力・経済力そして人民元)に自信を強め、日本を揶揄するようなものだ。

民主党政権が誕生した時に、鳩山氏が「東アジア共同体」構想を発表した。その際に、中国は特段の反応をしなかった。当然、腹の中では嘲笑っていただろう。「何をバカなことを言っている・・・日本にはもうそんな力はない・・・東アジアの中心は日本ではなく、中国なのだ」と。中国は、米国からの圧力を巧みにかわして、急激な元高をさけながらも、着々と人民元の国際化を図っている。(関連情報は次のリンクをご覧ください→「元の国際化を着実に進める中国と、あえて円の国際化をしようとしなかった日本」)次回のSDRの見直しでは、まず間違いなく人民元がSDRの構成通貨となるだろう。また、IMFの副専務理事(事実上のNo.2)は既に中国人だ。

鳩山氏は、東アジア共同体構想のなかで、EUROのような共通通貨もあげていたが、EUROのような基準を設けるとすれば、日本のように巨額の債務を抱える国、また成長率がこれほど低い国、は構成国からはじき出されてしまうだろう。日本人の意識は20年前のままで、いまや世界の姿は大きく変わっている。日本を本来リードすべき政治家の理解は、残念ながら、さらにひどい。

ご参考までに、人民網の記事を以下添付します:

「人民元の国際化 日本が警戒」

日本メディアはこのほど、人民元の国際化の動きを次々と報じている。報道によると、人民元建て貿易決済は拡張し続け、ますます多くの周辺国が人民元で決済するようになっている。米ドルが低下し続けているため、人民元建て決済に対する安心感が高まった。また、イギリスは人民元のオフショア市場を創設し、シンガポールも創設を計画するなど、人民元のオフショア取引が活発に行われるようになっている。さらに、欧州債務危機と米国の量的緩和策により、多くの国が人民元を政府の外貨準備通貨の一つと見るようになった。人民元は、すでに通貨の国際化を判断する「貿易決済、投資、外貨準備」という3つの要素を備えている。

報道は、人民元が急速に国際化しているのは、中国に巨額の外貨準備があるためだと見ている。中国の外貨準備高は32000億ドルに達し、世界の外貨準備高の30%を占める。これが多くの人が人民元を買い増しする主な理由である。また、各主要通貨の動きはいまいちで、ドルの乱発と持続的な低下、ユーロ圏の債務危機も理由の一つだ。円は上がっているが、「上げられた」と言うべきで、日本は世界でもっとも多くの債務を抱えている。そのため、投資家はいつでも円資産を売れる準備をしている。

日本の政府関係者が人民元の急速な国際化について公の場で発言したことはないが、財務省のある幹部は個人的に「日本政府は人民元の国際化の動きとその円の地位に及ぼす影響に非常に注目している」と述べた。日本の学者と専門家は、人民元が上昇しドルやユーロに取って代わることはないが、円の影響力を弱め、円を「3大基軸通貨」から押し出す可能性があると見ている。世界では、ドル、ユーロ、元の協力メカニズムを構築し、国際通貨と金融体制を安定させるという構想も持ち上がっており、円の地位は徐々に低下している。さらに、ある学者の見方では、人民元が国際通貨になることは中国のソフトパワーとハードパワーが強まっていることを意味し、欧州が債務問題の解決で中国に助けを求めたことからも、中国の国際影響力が高まっていることがわかる。

(「中国網日本語版(チャイナネット)」20111011日)

民主・大久保政調副会長:外貨準備では人民元など新興国通貨でも運用を:米国との関係は大丈夫か?

民主党の大久保勉政調副会長が、日本の外貨準備の運用先について、中国・人民元や韓国ウォンなど新興国通貨にも拡大すべきだとの考えを示した、とのこと。「外貨準備の運用先をドルやユーロだけでなく、日本の貿易相手国である中国や韓国、タイなどの国債で運用すべきで・・・貿易の実態に応じてアジア通貨を持つのは自然だ」と語った、という。http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a85I0_PKTFcA

大久保氏といえば、京大経済学部卒で、東京銀行、モルガン・スタンレー証券で勤務しており、一般的には経済の専門家のはずだ。言っていることは、一見、さもさもらしい内容だが、多少、気になるところがある。

貿易実態に応じてというのだが、新興国通貨は、決済通貨としては一般的には認めれらていない、ましてや中国元はまだ管理通貨だ。

理想論ではなく、現実的な対応についての発言と思われるが、本来であれば、外貨準備の在り方そのものについても考えてほしい。現状、日本の外貨準備はそのほとんどが米ドルで、ユーロもあってないに等しい。それは、日本の為替政策は、対米ドルを中心に行われてきたからで、その結果として、日本は長きにわたって米国国債の最大の購入者だった。

橋本元総理が、「米国国債を売りたいという誘惑に駆られることがある」と発言して大問題になったことがあるが、いままでは外貨準備の運用そのものが、対米政策そのものであったはずだ。経済の教科書のように「貿易云々」というのであれば、これほど巨額の外貨準備など必要ない。

また、為替の市場介入は既に数十年行ってきているが、結果論でいえば、ほとんど効果がない。その結果として、外為特会は40%の含み損を抱えている。金額にすると40兆円を超えるような金額だ。日本の外貨準備は政府短期証券を発行して調達したもの、つまり借金をして調達したもの、であるが、それをただでさえリスクの高い為替の市場介入に使っている。その上、更に、リスクを取る必要があるのだろうか?

今回の発言が、単なるパフォーマンスでなく、本当の意味で、米国からの自立を考えていっているのであれば良いが・・・

年金支給開始年齢 引き上げ検討へ:それよりもまずは給付額削減や物価スライドの厳格な適用を

厚生労働省は、年金の支給開始年齢について、急速に進む少子高齢化に対応するには、将来的に68歳から70歳程度へ引き上げることを視野に検討を進める必要があるとして、格的な議論を始める方針、だという。

前回の年金制度の見直しでは、自民党時代だったが、それで100年安心と言われたものだ。それが数年で、受給開始年齢の引き上げという議論にまで発展している。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111009/t10013143701000.html

年金問題では、少し前に、本来行われるべきだった「物価スライド」が政治的な理由から行われなかったばかりに、5兆円超の金額が多く支払われていた、という報道がなされていた。(関連記事は次をご覧ください→年金減額見送り額5.1兆円:「次世代にツケを回すな」ではなかったのか?

そこでも書いたが、物価スライドは、その給付額問題の一部の問題でしかない。公的年金の給付額については、政治的な意味合いがあって、従来から、その支払額は大盤振る舞いがなされてきた。給付開始年齢云々の問題以前に、支払額についての議論を行うべきではないか?

物価スライドだけでも5兆円超の余分なお金が支払われている。更に大きな給付額の問題に切り込むことで、いったいどれだけの金額が節約できるのだろうか?

増税問題が大きな議論となっているが、年金問題もある意味税金と似た性格のものだ。そうであれば、歳入が構造的に減少してきているわけだし、これは近い将来劇的に増えることなど考えられないのであるから、政府予算と同様に姓出を削ることも考えなければならないのではないか?野田政権は、「次世代にツケを回さない」ということをよくいうが、この年金問題こそ「次世代つけ回し」の典型的な問題だ。

ルネサスが賃下げという英断:それに対して東電や政治家・公務員の対応はどうなのか?

半導体大手のルネサスエレクトロニクスが2012年1月から月例賃金を7.5%減額することで、労使間で合意した、という。ルネサスは東日本大震災で主力工場が被災したことや、急激な円高や半導体需要の落ち込みで収益が悪化し、これ以上の業績悪化を避けるための措置だという。その英断にエールを送りたい。株式市場でも、業績回復に向けた企業姿勢を評価する向きが多いようだ。http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819691E2E6E2E29B8DE2E6E3E2E0E2E3E39C9CEAE2E2E2

同社では今年の冬のボーナスもカットされることが既に決まっている。これらは、経営者にとっても、従業員にとっても大変つらい選択であることは間違いない。しかし、ある意味、「当たり前のこと」という考え方もできる。それは、会社が倒産してしまっては、元も子もないからだ。会社が倒産してしまえば、従業員は、最悪のケースでは、退職金も何もなく、そのまま路頭に放り出されてしまう。年金もなくなってしまうかもしれない。それよりも、少し我慢をして、会社の業績回復のために努力すれば、また元のような状態に戻る可能性もあるわけだ。

それに対して、東電や政治家・公務員の給与削減問題はどうなったのだろうか?東電は、ケンシロウに「お前はもう死んでいる」と言われたのと全く同じ状態だ。つまり、本来であれば、給料が多いとか少ないとか、年金が多いとか少ないとか、文句を言えるような状態ではないはずだ。極論してしまうと、先のように、倒産した企業の従業員であれば、何もなしに路頭に放り出されてもおかしくないわけだ。

ところが、普通の民間企業であれば、起こることが東京電力では怒らないのだ。倒産した日本航空でもそのようなことが起こらなかった。

また、これは政治家や公務員も同じだ。政治家や公務員は、彼らが先で、その次に国民が存在するのではないはずだ。国民がまずいて、その次に政治家や公務員という役割が発生するはずだ。ところが現在はその順序が逆になっている。国の財政が破たんすると言って騒ぐのであれば、ルネサスと同じように、まず自らの給与を引き下げたり、民間であれば当たり前の、従業員数の引き下げなどを真剣に考える、ということがあってよいのではないか?

中国高速鉄道事故と福島原発事故の報道に見る日本の悲劇

先の中国高速鉄道事故の対応をめぐっては国内外から批判が噴出した。中国メディアでも多くの批判が寄せられた。もとより中国は共産党の一党独裁だ。今までは、共産党の力で多くの情報を隠蔽し、国内はまだしも国外に情報が漏れないようにすることなど日常茶飯事だった。場合によっては声明に、危険が及んだり、政治的な制裁を受けることも当然あるだろう。

しかし、最近は中国のメディアの在り方に若干の変化がみられる。高速鉄道の事故でも、政府の圧力にもめげずに、多くのメディアが情報を流した。共産党や政府の方針を伝えることが多い国営テレビの中国中央テレビでは、女性アナウンサーが、声を詰まらせ涙ながらに異例の政府批判を行うということも起こった。

女性アナウンサーは事故について、「こんな危険なシステムがなぜ運行できるのか。発展の目的と意味を見直すことを期待したい」と話し始め、2歳の女児が救助活動を打ち切ったあとに発見されたことに触れ、「鉄道省は奇跡と言いましたけど、彼女にとって耐えられない災難です。政府の長期保障制度を期待したい」と涙を流しながら訴えた、という。

政府が、鉄道省に責任を押し付けるためのヤラセではないかという意見もあるが、中国のメディアの報道に変化があるのは間違いないだろう。

それに対して日本のメディアはどうだろう。福島原発事故では、政府の官製報道をただたれ流すばかりで、「安全・安心」を繰り返した。事故発生直後は、「政府寄りの報道を行う」といつもは批判されているNHKが、民放よりもより事実に近い報道を行うといったことが見られた。その中心となった水野解説委員には圧力がかけられていた、という。

最近は、原発事故から7か月を経過して、原発や汚染の状況に関する報道が減っているように思われるし、危険な状況は全く変わっていないにもかかわらず、その報道からは何故かっ危機意識はあまり感じられない。これでは、被災地から遠く離れた人々は「他人事」のように感じてしまっている人たちも多いのではないか?

一党独裁のもとで報道管制が引かれている中国と、原則、自由に報道が出来る日本とでは、メディアの在り方も大きく異なるのは当然だが、日本の方が報道管制が引かれている国のように思われるのは何故だろうか?

中国高速鉄道事故では、それ見たことかという報道も多かったが、この中国と日本のメディアの現状を見ると日本の方がはるかに悲劇的な状況ように思われてしまう。

米、ドル安基調を黙認 FRB元幹部「景気刺激策の一部」:ドル安は米国の戦略

FRBの元幹部が「ドル安は政策手段の一部」であることを認めました。つまり、ドルがパニック的に売られたりしない限り、米政府はドル安基調を放置する公算が大きいということだ。残念ながら円高圧力は当面続きそうだ。http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE0EAE2E3918DE2E3E3E2E0E2E3E39494EAE2E2E2;at=ALL

今まで米国は公にはドル安政策をとっていることを認めることはありませんでした。しかし、事実上、ドル安政策をとってきていました。オバマ政権で財務長官を務めているガイトナー氏は、就任時に議会で、経常収支の改善策を聞かれ、為替政策を行うことを否定せずに、むしろ肯定する発言をしています。

ドル安の米国への影響ですが、オバマ大統領が政策として掲げているように、輸出を増やして貿易収支(ひいては経常収支)を改善することが期待出来ます。今年2011年の13月期に輸出は前年比で14.9%増とほぼオバマ大統領の輸出振興計画(5年で倍増)に沿ったペースで増加しています。

また、米国の債務(ここでは資本収支における海外から流入資金のこと)はドル建てなので、実はドル安が進んでも総額は変化しません。しかし、米国が海外に持つ債権(米国の場合は主として直接投資を行った結果としての資産)はドル以外の資産なので、資産は大きく増加することになります。この結果、米国の国際収支が大きく改善することが期待できます。

更に、ドル安による輸入物価上昇によって輸入が減少すれば同様の効果が期待できます。

時として米政府の高官から「強いドル」という言葉が出ることがありますが、これはあまりに急激なドル安は、米国からの資金流出が起こる恐れがあるので、スピードを調節するためにブレーキを踏んでいる、と考えたほうが良いでしょう。現大統領のオバマ氏も輸出振興策(5年で倍増)を打ち出していますが、その中心となるのはドル安であることは疑いようがありません。今回のFRB元幹部の話はそれを認めるものです。

日本政府は、為替の市場介入のための手当ても行っているようだが、今まで市場介入で効果は全くあがっていない。それどころか、その結果として外為特会は40兆円の評価損を抱えるという状況となっている。その上、米国が「ドル安は米国の戦略」と認めたのであれば、日本の市場介入など意味のないものとなってしまう。

農水省が農地大規模化の方針:しかし政策は「ちぐはぐ」

農水省が、農家1戸当たり平均2ヘクタールの農地を、5年で約10倍に拡大する方針を打ち出した。http://www.nikkei.com/access/article/g=96959996889DE1E7E0E5EBE7E6E2E2E0E3E2E0E2E3E39797EAE2E2E2;bu=BFBD9496EABAB5E6B39EB596B7BABB979484E3E4A8B990AB8394B893F9E5B087BFE49BBC8A9D86E3A598B3A19AE3EB9DA4AB9A83B08397EAE3E79082A2B182A5E5E188E5889CE6F9BAB4A3B7E096E49BF9A09694B48190A3939BB1FDA886B39F8BBCE7B498949F88B9A8A599B899B7AAB7A1E3A3B5BDE5B5969DB398818B8695819A88E4E083B69FE1BAFDEB858AA2A5B4E6A79680A18499A5B381B99A82A5A195A4A2A09FA1888A8BBF8484809CFD9CBC82B8A2BB94E2E088E6E5B588BE959E999CE488B8938A95F983A288B99B9AB399BA9591849FE088A09D9683E59195B086ABB4E38BB9A595B594B6EB8285BB9891E6B490E0E48099A5B987808199B4A7E1EA9EA6E0B6A0B78191B1BC9CEB9BA3E09C86A4F9E1FD95B0A6E5FDE4A4BBBC95E095BE9DB89FE096A2828BA3A7A790F9A491B9AAA496B5A8B491959BBEF980A79C9BBFA79AEAA2A7E7AA97B0EA9BEA98B8B7E495A397ABA29FA1B0BCB8A2E5919A9886FDB7A4ABB59697EF

そうは言いながら、農家への戸別補償制度向けに来年度も8000億円の予算を組んでいる。

野田政権になって、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加について検討するということになった。農業の生産性向上はこのTPPなどのFTA対策として議論されることが多かったが、しかし、TPPに参加する・しないにかかわらず、このままでは日本の農業が「絶滅」しかねない。記事の中にもあるが、1人当たりの生産額は1600ドル(約120万円)にすぎず、専業農家は30%を下回り、兼業農家がほとんどという状態だ。つまり、極論すると、今や日本の農業が「家庭菜園の延長」ともいえる状況だ。また、そのような状況であるので、後継者もおらず、このままでは何もしなくても日本の農業は衰退する。

農地の大規模化を図るのであれば、現在の「バラマキ」戸別所得補償制度を改める必要がある。大泉宮城大学副学長が指摘するように、この制度は「ブレーキとアクセルを同時に踏んでいる」ようなものだ。

現在のこの制度は、民主党の小沢氏が最初に出した内容とは似て非なるものだ。小澤氏は戸別所得補償制度とTPPを結び付けて提案していた。つまり、TPPに参加して、関税をゼロにする。そして、また、減反政策も廃止する。また、減反政策も廃止する。それによって、影響を受ける農家は、効率化を進めざるを得なくなる。そして、本気で農業に取り組もうという農家に対しては、生産コストと販売額の差額を保障しようというものだった、はずだ。

しかし、民主とは票欲しさに、換骨奪胎して「バラマキ政策」に転換してしまった。

今回の農水省の方針も、おおもとの政策の抜本的な見直しがない限り、口先だけのものに終わるだろう。

年金減額見送り額5.1兆円:「次世代にツケを回すな」ではなかったのか?

野田政権が、大増税路線を突っ走っている。そのお題目は、次世代にツケを回すな、だ。

その為には、増税するばかりではなく、歳出を減らすことも同様に重要な事だ。また、官僚が自分たちの為に、ため込んでいる資金の復興という目的の為に、供出させることも重要だ。

そのような中で、野田政権が、増税以外の施策を行わないということを、示すようなニュースが流されていた。しかし、新聞の扱いは非常に小さいものだった。

101日の日経新聞に「年金減額見送り額5.1兆円」という記事が掲載されていた。

これは、公的年金で本来行われるべき「支給額のインフレ・スライド制」が、見送られてきたために、本来支払うべき金額よりも5.1兆円も多く支払われているというものだ。今後、このまま調整が行われないならば、単純計算すると今後10年で更に5兆円以上が余計に支出されることになる。http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819591E0EBE2E3E58DE0EBE2EBE0E2E3E39797E3E2E2E2

公的年金の給付額については、政治的な意味合いがあって、従来から、その支払額は大盤振る舞いがなされてきた。最近は、現在、現金を受給している高齢者と、それを負担している現役世代との間の世代間格差が問題となって、かねて議論が行われてきた。この年金問題は、野田政権が、まさに問題としている「次世代にツケを回すな」という問題の典型的な事例である。しかも、今回の「インフレ・スライド性」は、その給付額問題の一部の問題でしかない。しかし、その一部が積もり積もると5.1兆円という巨大な額となる。

これからの日本で、デフレが早急に収束してインフレが発生するとは考えにくいので、このままでは、これからの10年間で、少なくとも更に5兆円以上の支払い超過が発生することになる。それは、現在、増税の額について議論されているが、その額と比しても相当の比率になる。

野田政権が、本当に、「次世代にツケを回すな」ということであれば、今回のような問題については、もっと積極的に議論をして、メスを入れていかなければならないはずだ。そうでなければ、まさに嘘偽りの看板を掲げていることになるのだが・・・

テレビ局の法人税などが減税される?:電波料をほとんど払っていないのに、税金も払わないのか?

総務省が災害時放送手段の確保に向けて、テレビ局などの法人税等の減税を要望するとのこと。

一般の民間企業であれば、BCPをはじめ災害時の対応などはかなり早くから進めてきている。テレビ局等は今までそれをないがしろにしてきて、それを「災害時対応」という錦の御旗の元に、減税という手段で行おうというのだろうか?

テレビ局は、電力会社と同じ規制業種で、ある種の特権が認められている。その事業のベースとなっている政府に支払う電波料(製造業であれば原材料)は極端に安い。事業料収入の0.10.2%程度しかない。通常の事業であればあり得ないことだ。今回の大災害に当たっても、チャリティと称して、国民からはお金を集めるが、出演するタレントにはお金を払い、24時間放送などでは、多額の広告料をとっても、自らは寄付をするわけでもない。

本来、企業自らが、企業努力として行うべきものを、「災害対応」あるいは「公共の利益」などを盾に、税金の減額などを行うのは如何なものか?

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20110929-OYT8T00360.htm 

福島第1原発事故 緊急時避難準備区域、30日夕方に解除へ: 安全かどうかも全く確認できていない~まずは除染が先ではないか?

昨日、30日に福島第1原子力発電所の事故で設定された緊急時避難準備区域が解除された。

政府は、原子炉の安定的な冷却対策が達成されたこと、そして、対象となる5つの市町村が復旧計画を提出したなど、解除の要件がそろったとしているのだが、しかし、解除条件は、「住民の安全が確保される」ことではないか?

「原子炉の安定冷却」などメルトスルーしてしまっているので、ほとんど意味をなさない。

今頃になってやっと、地域の汚染状況が少しずつ出始めているが、予想通りに当初の政府発表よりは、その汚染状況はひどいし、広い地域に広がっている。除染をしないととても住めるような状況ではない(個人的にはかなりの地域を今後かなりの期間にわたって、立ち入り禁止にすべきだと思っている)。

自宅に戻ることの前提は、最低限、除染をして、線量が規制値以下になることだろう。しかし、その除染も、先に発表になっていたが、基準が5mSv/年であったので、1mSvという基準値をかなり上回ったもので、既に政府は住民の被ばくを前提として動いている。1mSvにすると処理費がかさむということで、住民のイノチよりお金を優先させたということで、菅政権から続く国民の命を大事にしないという方針が継続している。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20110930-00000614-fnn-soci

為替介入枠15兆円の拡大指示、「必要なら断固行動」:40兆円の含み損をどうするのか?

安住淳財務相は30日朝の閣議後会見で、2011年度第3次補正予算で、為替介入の原資となる政府短期証券(FB)の発行限度額を15兆円引き上げるよう指示した、とのこと。これによって、今後の、為替介入の原資は現在の31兆円から46兆円と過去最大規模に膨らむことになる。http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPJAPAN-23429020110930

既に日本の外為特会の残高は円ベースで100兆円余りに達しており、報道されているように、40%余りの評価損が発生している。つまり、日本の1年分の税収全てが失われているに等しい。1971年のニクソンショック以来40年が経過して、その間に、日本は円高を阻止するために市場介入を繰り返してきたが、効果はほとんどなかった。360円だったものが、現状75円に近く、これが72円になると、数字の上では5分の15倍?)になった計算だ。意味のない市場介入を繰り返すことで、さらに評価損を膨らませようというのだろうか?

日本の外為特会は政府短期証券の発行によって、資金を調達することで成り立っている。つまり借金をして、市場介入をしているので、中国のように外貨が積み上がっている国とは根本的に状況が異なる。

円高は最近になって始まったことではない。既に40年も前に始まっていたことだ。最近は、円高が進んでも大企業はあまり声をあげなくなった。経営が大変なことは否定できないが、市場介入が無意味なことは十分理解したうえで、海外進出や、資金管理の高度化など様々な対応を取ってきている。問題は取り残されてしまった中小企業だろう。しかし、グローバル化が進む世界経済において、円が極端に円高に振れることは残念ながら考えにくい。円安に大きく振れる時は、日本そのものが大きく世界経済の中で埋没していくときで、むしろその方が日本にとっての打撃は大きいはずだ。

意味のない介入を繰り返すのではなく、政府のやるべきことは、企業、特に中小企業、が世界の成長を取り込んで、一緒に成長できるように後押しすることだろう。

コメがなくなる?:マスコミ報道には注意を

910日付の東洋経済で「コメが足りない」という特集が組まれていた。サブタイトルは「放射能、大豪雨・・・実りの秋にコメ不足大パニックに迫る!?」というものだ。

中の記事を見ないで、中刷りだけで済ませてしまうと、ただ危機感だけが高まって、買いだめに走るということにもなりかねない。(原発事故以降に、一時、コメの買いだめをする人たちがいたのは事実だが、家庭でコメを長期保管するのはそう簡単ではないので、注意が必要)記載されているデータをよく見れば、それほど騒ぐ必要はないということがわかるのだが、しかし、全体としては危機を煽るような表現が目立つ。出版社は雑誌が売れればよいのだろうが、むやみに騒ぐことで、ただでさえ余剰の米の価格を引き上げることになって、一部の業者のみが利益を得るということにもなりかねない。

110910_東洋経済_バックナンバー.jpg

 

実際のところはどうなのだろうか?コメ消費は、長期的に減少傾向で、総需要は11年度は年間で約805万トンだ。それに対して、10年度の民間在庫が182万トンある、これに、11年産米が、795万トンくらいと見込まれている。これに、場合によっては、政府備蓄米88万トン、米穀安定供給確保支援機構が市場から買い上げた17万トンがある。これらを足しあげると1082万トンになる。(実は、これ以外に、ミニマムアクセス米77万トンもある)従って、味などにこだわらなければ供給量そのもには問題ない。

原発事故で放射線物質による汚染も懸念材料であることは事実だが、仮に、6県(宮城・福島・茨城・栃木・群馬・千葉)の生産量がゼロだとしても、これらの6県の生産量が175万トンであるので、問題は起きないはずだ。 

1993年に、コメが不作に陥り、大騒ぎをしたことがあった。あの時は、海外からコメを輸入しなければならないというので、海外で主として作られている長粒種がまずいということが繰り返し報道された。日本人が食べるジャポニカ米とは種類が異なり、調理の仕方も違うのだから、当たり前だったのだが・・・しかし、騒いだ結果がどうだったかと言えば、輸入したコメはもちろんだが、国産米も余ってしまったということがあった。マスコミなどから出される情報(事実関係はもちろんだがその報道の仕方)には注意が必要だ。

ついに出てきた石破発言:「核の潜在的抑止力」維持のため原発続けるべき

今までほとんどタブー視されてきた意見が出てきた。自民との石破氏が、「核の潜在的抑止力」維持のため原発続けるべき、との発言を行った。http://www.news-postseven.com/archives/20110921_31301.html

日本では「核の平和利用」ということで、原発誘致を進めてきましたが、原子力=核というのは海外では常識でしょう。北朝鮮でも、平和利用といって核開発を進めてきたわけです。「核の平和利用」と言い出したのはアイゼンハワーですが、これはアメリカが金儲けの為に言い出したことです。既によく知られたことですが、日本の政治家では中曽根康弘氏が最初に取り組んだのですが、これはCIAのエージェントだった正力松太郎の働き掛けによるものです。「核の抑止力」というのは政治家の間では当たり前のことでしたが、公にこれを発言する人はいませんでした。それが、ここへきて出てきているのです。

エネルギーだけの問題ならば、「トリウム原発」という選択肢もあるはずだ。これは1960年代にアメリカで開発されたものだが、トリウム→ウランという過程でプルトニウムが生成されない。そのため商用化されることはなかった。現在ではインドで1基あるだけだ。つまり、平和利用と言いながら、どの国でも核につながる「プルトニウム」が前提になっているわけだ。

今回の福島第一原発3号炉で秘密裏に核爆弾を作っていたので、それが破壊されたという話も出ている。資源がないと言われてきた日本にとってエネルギー政策は非常に重要だ。先の太平洋戦争も石油の確保がそのきっかけともなった。アメリカなどが断念した「高速増殖炉」を手掛けているのも「核燃料サイクル」のこともあるが、プルトニウムの問題が大きいだろうし、日本がエネルギー問題で主導権を握ることにもなる。

しかし、この「抑止力」の中身については議論が必要だろう。

公務員の人件費削減や国家議員の定数削減はどうなった?:みんなの党が改めて国会議員の給与カットを訴える

最近のニュースは、増税に関することばかりだが、「成長戦略」や「行政刷新」はどうなってしまったのか?メディアもこのあたりをしっかりと伝えてほしい(残念ながら、ほとんど期待できないが・・・)。そうした中で、みんなの党がそれはおかしいと反論している。http://www.j-cast.com/2011/09/22108049.html

野田首相は、いみじくも国会の冒頭演説で、無駄を削減して、どうしても足りない時に、増税を、という趣旨の発言をしていた。にもかかわらず増税の話ばかりが出てきており、「成長戦略」や「行政刷新」の話がどこかに飛んでしまった。朝霞の100億円公務員宿舎の建設などは野田首相自らがGOサインを出していたというものだ。

当初の民主党のマニフェストや自らが言った「言葉」のとおりに、やると言ったことは着実に実行してもらいたいものだ。鳩山さんや菅さんの発言が国際会議で無視されて様に、政治家の言葉がここまで信用できなくなってしまったのは悲しいことだ。本当に言ったことを実行しようと思っているのであれば、国会議員の給与カットくらいは無期限で続けてもらいたいものだ。金額はそれほど大きなものではないが、そのくらいの覚悟を見せないと、公務員の人件費削減などできるわけがない。また、国会議員の定数削減問題もある「のだ」。

最近、2010年の民主党のマニフェストを見てみたが、「実現したこと」の欄に55項目も記載してあった。ここまで嘘つきの政党も珍しい。よくも恥ずかしくもなくそこまで嘘を書けるものだ。まあ、菅さんの写真集だからしょうがないか・・・

除染の限界:そう簡単には自宅に戻れない:住民には早く現実を伝えるべき

政府は「緊急時避難準備区域」を930日に解除すると発表しました。その「解除の要件」は、各自治体の「除染方針」によって復旧計画ができた、ということだそうです。しかし、それについて、神戸大学の山内知也教授が、国際環境NGO FoE Japan、福島老朽原発を考える会の要請をうけて実施した渡利地区における除染の調査結果を発表し、「除染」のモデル地区でさえ高い線量が計測されており、『文字通りの「除染」は全く出来ていない』と報告しています。http://list.jca.apc.org/public/cml/2011-September/011959.html

http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/110921_2.pdf

原発事故発生以来、政府発表は、かつての大本営発表と同じで、「安全・安心」を垂れ流すだけです。確かな情報もなく、ただ「安全・安心」と言われても、かえって心配になるというのが現実でしょう。

上記の報告にもあるように、除染を行うと言ってもそう簡単ではありません。現状でも、まだまだ高い放射線量が計測されていますし、またその計測はガンマー線のみの計測です。原発からそう遠くないところであれば、ガンマー線だけでなく、アルファー線やベータ線を出す放射性物質もあるでしょう。そのようななかで、そう簡単に解除してしまったら、被ばくする人を増やすだけではないでしょうか?子供や女性への影響はさらに心配です。

また、正確な情報が流されていないことも問題です。避難している方々には大変お気の毒ですが、そう簡単には元の自宅には帰れないでしょう。にもかかわらず、政府は近い将来に自宅へ帰れるような印象を与えたままです。最近、菅さんが「首都圏の3000万人が避難するような事態も想定した」とお気楽に発言していますが、現実はそのくらい深刻なものだったし、今もそうなのだと思います。避難している方々が、新しい生活を始めるためにも、しっかりと現実を把握するということが必要です。政府には、正しい情報を公開することを望みます。

オバマ・野田会談の内容は如何に?:「普天間で結果出す時」オバマ発言を総理が否定

野田首相とオバマ大統領の首脳会談で、オバマ大統領が、普天間問題に「結果を出す時がきている」と強く迫ったとされることを、野田首相は否定したとのこと。野田総理は、オバマ大統領からは「進展を期待している」と言われただけだと強調した。しかし、実際はどうだったのか?http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210923012.html

政府発表は、かつての大本営発表ほどひどくはないが、海外での会見内容について、脚色して報道することが少なくない。昨年の尖閣諸島問題では、当時の前原外務大臣が、クリントン国務長官との会見内容を事実とは違う内容を伝え、中国側をかえって刺激することになった。その後の、前原氏の対応はみなさんご存知の通りで、非常にがっかりさせられた。

今回の首脳会談はどうだったのか?以下、White HousePress Briefing(首脳会談後のカーニー大統領補佐官によるもの)のリンクを張る。http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2011/09/22/press-briefing-press-secretary-jay-carney-and-deputy-nsa-strategic-commu

日米両首脳の会談については、一番最初の報告されている。しかし、非常に短い報告で、ここでは「様々な議題について議論した」くらいのことしかわからない。質疑応答が始まって、そのほとんど最後のところで、「沖縄については擬態的に何が話し合われたのか?」という質問があり、回答がなされている。以下、その内容を添付する:

On Okinawa, I think we just want to see a resolution to the issue that is in line with the interests of our alliance and the agreements that we have. So I think that it was very much in line with the position the U.S. has taken with successive prime ministers. And we believe that it’s important to the alliance going forward to implement those agreements and to move forward.(下線は筆者)

会談の内容はどのようなトーンで行われたかはわからないが、少なくとも野田首相が言っている「進展を期待している」というだけでなく、「resolution」(結果)であり、「alliance」(同盟)にとっては「implenment those agreements」(約束事項を履行する)ことが「important」(重要)だと言っている。

その後の報道では、「結果を出す時がきている」報道が野田政権には好ましくない内容だったからだろうが、オバマ大統領が、「彼とは一緒に仕事できる」と発言したという報道がなされている。http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110923-OYT1T00516.htm

しかし、何か勘違いしていないだろうか?この大統領の発言は、「しっかりと実行してくれ」あるいは「しっかりと実行してくれそうだ」ということだろう。普天間問題では、直近でも仲井間知事が反対意見を表明しており、解決の糸口は全く見えない。鳩山・菅と口先だけの首相が続いた後で、ここでまた何もできないと本当に米国の信頼を失うだろう。(もうすでに失っているかもしれない)

これは何も外交問題に限ったことではない、民主党政権が誕生してから、選挙を経ずに菅・野田と新しい首相が誕生した。民主党は当初のマニフェストは何も守ろうとせずに、変節を繰り返してきた。政治家が自らの口から出た言葉を守らないということに対して、国民はどのような対応を取るべきなのだろうか?我々自身も自らの頭でしっかりと考えなければならない。

野田首相の国連演説は何の為?:もう少ししっかりとした議論を・・・

野田首相の国連での演説は、「原子力安全及び核セキュリティーに関する国連ハイレベル会合」でのものだった。何のことはない、結局、「日本の原子力政策は変わりません」ということを言いに行っただけだった。http://mainichi.jp/photo/archive/news/2011/09/22/20110923k0000m010139000c.html

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110923ddm005010129000c.html

5月のドービル・サミットでは、前菅首相が、再生可能エネルギーの数値目標まで掲げたが、今回は、当面、現在の原発利用を継続しますというものだった。民主党が政権を取ってから、鳩山さん、菅さん、そして現野田首相と3人目だが、このエネルギー政策をめぐっても各人が言うことがばらばらだ。そもそも鳩山さんが国際会議でCO2削減目標を引き上げたために、日本の原子力に対するエネルギー依存度が52%まで高まるような計画になってしまった。それを菅さんが逆方向に変えたのだが、野田さんの演説などもう誰も聞いていないのではないか?

国としての政策は、必要があれば、どんどん変えてもらって構わないが、その前提はしっかりとした国としての議論がなされることだ。しかし、民主党になって(自民党時代が良かったということではないが・・・)、議論も何もなく鳩山さんや菅さんの場合には、ほとんど思いつきの発言だった。普通の会社であれば、社員であれば、言ったことあるいはやったこと、会社であれば事業計画とその結果としての業績は、厳しく問われる。政治家も本来はそのようなガバナンス機能が働かなければならないが、現状そのようなものは全くない。理想を言っても始まらないが、少なくとも、もう少し、しっかりとした議論をしてもらいたいものだ。

玄葉外相が中国に農産物の輸入規制緩和を要請:ただのパフォーマンスか?

玄葉外相が、中国の楊外相と会談し、福島第1原発事故に関し、地元の風評被害の実態を説明した上で、農作物輸入規制の緩和・撤廃を要請したという。玄葉外相が要請したのは、東日本10都県の農作物、食品、飼料が対象という。しかし、よくわからない・・・これでは、もともと、輸出していたものが、原発事故が起こって、中国が規制をかけて輸出できなくなったような印象を受ける。しかし、原発事故に関係なく、日本から中国への農産物の輸出には、中国側の規制があり、現状ではリンゴとナシ、それに少量の米しか輸出は認められていなかった。そのような状況に、原発事故が生じたわけだが、規制の緩和・撤廃とは具体的に何を要請したのだろうか?リンゴとナシをもっと輸入しろと迫ったのだろうか?http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2011092300056

そもそも、国内の市場が縮小する中で、農業関係者の中国市場に対する期待は非常に大きかったが、日本政府の対応は鈍かった。コメに関しても、全農などの介入で、中国への輸出の枠はあってもないに等しいものだった。加工品についても同様だが、政府が課す関税が高いために、製造コストが跳ね上がって、結局、輸出ということでは競争力が落ちて、加工品の輸入が増える中で、輸出は極端に少ないのが現状だ。

原発事故に関係なく、また東日本に限らず、日本の品質の良い農産物を輸出できるように、もっと積極的に中国はじめ海外の国々には働きかけてこなければいけなかった。中国からの観光客は、昨年と比べるとと激減している。その原因は、今までの日本政府の原発事故についての情報の信頼性が地に落ちていることにある。国民でさえ食の問題では不安を抱えているのに、ましてや事情の分からない海外の国に「安全・安心」と言ったところで信頼されるだろうか?しかし、日本の農産物の輸出については積極的に働きかけなければならないし、そのためには相互の関税撤廃なども検討すべきだ。

(補足)日本の農業は、構造的に存亡の危機にあり、TPPの問題が取りざたされるが、このままでは、TPPに入ろうが・入るまいが、それに関係なく日本の農業は絶滅する。

池田整治著『原発と陰謀』:自らの頭で考える

「原発と陰謀」という本を読みました。著者は、池田整治という方で、陸上自衛隊で作戦幕僚も務めた危機管理と危機突破の専門家です。

かつての大本営発表のように官製メディアの情報が氾濫して、池田さんが強調しているのは、「マインド・コントロール」と「自分の頭で考えること」です。福島原発事故発生以来、「直ちに健康に影響が現れるというものではない」というように「マインド・コントロール」が行われており、それに騙されてはいけない、というものです。重要なことは、「自分の頭で考えることこそが最高の危機管理」と説いています。

今回、福島原発事故という大惨事が起きてしまいましたが、このような事態が発生してなお、「マインド・コントロール」から抜け出せないとすると、日本人はいつ、「自ら考える」ようになるのでしょうか?

野田総理に利用された松下幸之助氏の言葉

13日に野田首相が月刊誌Voice10月号に寄稿した「わが政治哲学」という文章についての印象を記させていただいたが、どうもしっくりこないで何かもやもやしていた。詳細は以下のリンクをご参照ください。→『野田首相、「いま、この時期に東アジア共同体はいらない」論文:主権を放棄した国を、世界は相手にしてくれない』(11/09/13

もやもやしていた理由は、野田総理が文章の中で引用していた松下幸之助氏の「崩れゆく日本」という書物を読んでいなかったためだ。野田総理の文章で中心となる主張は、①増税と②対米従属だった。その「増税」の必要性を説くために松下幸之助氏の文章が使われていたのだ。しっくりこなかったのは、企業経営を神様のような人が、増税ありきのような発言を本当に行っていたかどうか確信が持てなかったためだ。そこでさっそく取り寄せて内容を確認してみた。

松下幸之助氏の危機感は、政治・経済・社会・教育などすべての分野に及ぶ。つまりタイトルのとおりに、まさに「日本崩壊」を心配していたのだ。当時(1974年)と現在では経済状況は全く異なるので、詳細はここでは記さないが、訴えていたのは「あらゆる分野において抜本的な改革がなされなければならない」ということで、その為に「国民共同の力によってこれをふせぐための道を考えていきたい」ということだった。ただ単に財政のことを心配していたわけではなかった、ということだ。

野田総理には、同書の最後にある「筆をおくにあたって」の中で松下幸之助氏が非常に疑問を感じていたという以下の3点を記させていただきたい。(中でも特に②及び③)①コンピュータの導入で非常に好ましい状況になるはずなのに、現実はむしろ悪化しているようだがなぜか?②日本の国家予算についての疑問だが、戦前に比べれば、文明の利器も発達し、交通でも通信でもずっと便利になってきている。それらを利用すれば、戦前よりはるかに効率的な政治、行政が出来ると思うが、何故、賃金や物価に比べて、国費だけが突出して増えたのか?③したがって、税金も国費が増えた分だけ、たくさんとっているのだが、本当にそれだけ税金がいるのか?戦前は、納税者もはるかに少なく、税率も低かった。国家の活動が以前に比べて必ずしも活発というわけではないのに、なぜ、そんなに国費や税金がいるのか?(下線は筆者)

松下幸之助氏は自身でも言っているが経済人だ。政府や政府関係機関などの効率化が十分でないと言って、民間の経営を公的分野にも導入すべきという発言も同様にしている。その経済人の目からすれば、前記の②及び③のように公的部門の非効率性が目につき、税金や国費の巨大さが気になっていたようだ。

野田総理は、松下幸之助氏の言葉を利用して、国民に増税を迫ったが、松下幸之助氏は、むしろ逆に、政治・行政の非効率性に疑問を感じていた「のだ」「のだ」!!

福島の汚染土、最大1億m3に・・・しかしこの前提は年間で約9mSv・・・1mSvだとどれだけの広さになる?

昨日、福島の汚染土が最大1億立方メートルになるというショッキングなニュースが報じられた。これは、全国の一般ごみの処分場の残容量をほぼ使い切る規模に当たるという。http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011091500409

しかし、中を見て更に驚いた。東大の森口教授(環境システム学)の試算というのだが、試算の前提が、空間線量が毎時1マイクロシーベルト(μSv)以上の地域を対象に除染を実施したケースを想定したという。しかし、この前提では、年間の空間線量は約9ミリシーベルト(mSv)(8.76Sv)に達する。いつから空間線量の基準を9Svにしたのだろうか?原発から近い地域であれば、体内被曝も当然考慮しなければならないはずで、単純に通常の1Svという数値を使うこと自体問題があると思われるが・・・

福島の学校の空間線量基準を年間20Svにして問題になり、最近それを従来の基準である1Svに変更したばかりだが、この試算の基準は9Svだ。いつからまた9Svになったのだろうか?出てくる数値の基準が様々で、非常にうがった見方をすれば、当初から目的があって、それに合わせて数値を出しているのではないか?と疑ってきたくなるのは私だけだろうか?

この基準でさえ、汚染された地域は福島県の7分の1に達するという。もし仮に、これを1Svで試算したらいったいどれだけの規模になるのだろうか?

 

SMAPの中国公演が本日やっと実現か!!:中国側のサインを見落とすな

SMAPの中国公演が今日やっと実現することになった。

SMAPの中国公演は、今までも計画されたが、図らずも中日間の外交問題で、中止されてきた。昨年は、尖閣諸島における中国漁船と日本の海上保安庁巡視船との衝突事故が起きたのをきっかけに、両国関係は悪化し、中国は昨年9月、SMAPの上海公演のチケット販売を中止した。さらに、その前、昨年6月に行うはずだった上海万博での公演も、警備上の問題を理由に中止されてしまった。

昨日は、唐家璇前国務委員とSMAPの会見が行われ、温家宝首相からのメッセージも伝えられた。会見は、北京の人民大会堂で行われるという、政治指導者なみの対応が行われた。温家宝首相は、本年5月に行われた日中韓の3カ国首脳会談のため来日した際に、SMAPと面談し、中国で歌を聞かせてくれるよう依頼し、両国の「調和」を訴えていた。

来年は、米国はじめ世界の多くの国で新たな政治指導者が選ばれる年だ。中国も例外ではない。このままいけば、胡錦濤国家主席の後任は習近平氏が、温家宝首相の後任には李克強氏が選ばれる可能性が高い。そのため共産党内部での権力闘争についての論評は盛んに行われている。一般的には、胡錦濤氏の出身母体である共産党青年団(共青団)と、前国家主席だった江沢民氏を中心とする上海閥(江沢民氏は本年死亡説が流されたりしている)、習近平氏の支持母体と言われる太子党(革命第一世代、第二世代の子息)の3つのグループがあげられる。

中国国内の問題をこれら3つのグループの権力闘争によって説明しようとする議論は非常に多い。また、それらの説明が非常に単純化されるので、ある意味わかりやすいのも事実だ。今回のSMAPの公演をめぐる話も、この議論で説明すれば、胡錦濤氏が進めてきた日中友好という流れにたいして、それ以前に日中の対立を煽ることで国内の支持を取り付けてきた上海閥との抗争が来年の人事をめぐって激しくなっているという見方もできる。太子党も最近は人民解放軍の内部での台頭が目立っている。また、それを陰で支えているのが上海閥だと言われている。

昨年の、尖閣諸島問題も胡錦濤氏などには事前に知らされずに、軍の一部の人間が主導したとも言われており、この3派の争いが激しくなっていうという。

今回のSMAPの公演及びそれを前にした指導部の対応は、日中関係がぎくしゃくする中で、なんとは「日中友好」を前面にだして、政治的なパフォーマンスを狙ったものだという見方もできる。日本も、民主党政権のこの2年間で、外交は地に落ちてしまった。日本にとっても、日中友好を訴えるには非常に良い材料だ。中国側のサインを見落とさないようにしたほうが良い。

しかし、残念ながら、中国の政治状況が、3派の争いだけですべてが説明できるような簡単で単純なものではないことも事実で、それを行うことは非常に危険な事でもある。これからは中国国内の政治状況からは目が離せない。

スイス・フランの賭け:資金供給額の1日平均額はGDPの55%

先に、スイス国立銀行が、1ユーロ=1.20スイス・フラン以下に抑えるために、スイス・フラン売り・ユーロ買い介入の無制限実施を発表している。通常、下落(売り)圧力にさらされる通貨の防衛には十分な外貨準備が必要になるが、問題が通貨の上昇(買い)圧力である場合、そうした制限はなく、無制限に紙幣を刷ることになる。

本日の日経新聞に掲載された記事によれば、当初の量的目標水準(2000億スイス・フラン)を大きく上回る資金を供給している。59日の1日平均額は2534億スイス・フラン(22兆円)で、目標より27%も多い。

スイスの経済規模を見ると、GDP2010年で、5224億ドル(約40兆円)で、国の予算(収入)が1840億ドル(約14兆円)となっており、非常におおざっぱに言ってしまえば、規模は日本の10分の1以下だ。()「予算」については各国ごとに基準が異なるが、スイスについてはCIAWorld Factbookを参照した。

規模的には日本よりかなり小さなスイスが、日量で22兆円を上回るような供給を行っている。これは、GDP55%にも上る。日本に当てはめてみると大雑把に言うと275兆円にもなる。発表では、市場に放出されるスイス・フランの不胎化は行わないそうなので、対ユーロでのペッグが続けば、将来的に、通貨供給量の増加の影響によってインフレや資産バブルが発生することにもつながりかねない。

今のところ、スイスに追随するような動きは見られないが、他国への影響が懸念される。極端なケースとしては、資本規制などが導入される可能性も否定できない。小国であれば、世界全体への影響は大きくはないが・・・

ご参考→スイス・フランのユーロ連動と投機資金~ジョージ・ソロスにみるヘッジ・ファンド資金の変容

 

 

フォーブスのアジア優良企業50社で日本企業はゼロ:東日本大震災の影響なのか?

フォーブスが911日に発表した「アジアの優良上場企業50社」の中に、日本企業は1社も選ばれなかった。http://j.people.com.cn/94476/7594386.html

今年は、中国大陸部の企業が23社が選ばれ、韓国が8社、インドからは7社が選ばれた。

日本企業は、6年前には13社が選ばれたが、今年はゼロ。東日本大震災の影響だというのだが、昨年も任天堂と楽天の2社しか選ばれていない。

つい先日発表された、「世界経済フォーラム」の「国際競争力ランキング11~12年版」でも日本は3位順位を下げて9位であった。このようン間調査が行われると、ここ暫くの間、日本は順位を少しずつ下げてきている。企業規模などで、中国などに比べて、劣後するのは仕方ない面もないわけではないが、このような調査で、順位を下げてきているのは、企業の在り方そのものが問われているのではないか?http://mainichi.jp/select/world/news/20110908k0000m030046000c.html

世界で最低の政治に足を引っ張られていることは否定しないが、そうとばかりも言っていられない。

野田首相、「いま、この時期に東アジア共同体はいらない」論文:主権を放棄した国を、世界は相手にしてくれない

今日はたまたまだが、野田総理の所信表明演説を見てしまった。鳩山氏や菅氏のように、思いつきと思われてもしょうがないような話は出なかった。逆に言えば、言葉の羅列で、頭に残ったことは何もなかった。

また、今日は、野田総理が月刊誌『Voice10月号に寄稿した「わが政治哲学」という文章も見てしまった。「「この国に生まれてよかった」と思える国にいかにつくるか」という副題がついている。

この寄稿文で頭に残ったメッセージは①「増税」と②「対米従属」だ。

「増税」については、これまでの政治の最大の問題は、「大事な問題を先送りばかりしてきたこと」とし、松下幸之助氏が日本の財政危機に強い問題意識を持っていたとして、松下政経塾を設立した問題がここにあったと言わんばかりの説明をしている。

「対米従属」については、「(外交の)『軸』は、間違いなく日米関係」と強調しています。その上で、「領土領海に絡む重大な事件が発生した場合に日本がいかなる姿勢を打ち出すべきか、あらためてシミュレーションをしておくべき」として、中国などから抗議を受けそうな意見を述べている。

さらに、ここで話題となっているのは、「東アジア共同体などといった大ビジョンを打ち出す必要はない」といっていることだ。この寄稿文では述べていないが、TPPに積極的に参加すると言っていることからすると、米国が強く要請しているものには積極的に参加するが、中国が絡むものは、検討する必要もない、と言っているようにも思われる。

09年に民主党が政権を奪った時には、鳩山由紀夫首相が「東アジア共同体」構想と「対等な日米同盟」を表明し、それまでの自民党とは違う方針を打ち出していました。結局、言葉だけ手終わってしまいましたが、何か変わるのではないかという期待が生まれました。しかし、今回の野田総理の主張は、前の民主党の主張を退け、それ以前の古い世界に逆戻りしてしまったかのようです。

世界は大きく変わっています。今、ここに至って、「対米従属」に逆戻りとはいったいどのような考えなのでしょうか?ここは、むしろ「東アジア共同体」構想を前面にして、日本が世界という場で、何をやりたいのかを積極的に打ち出すときでしょう。そうでないならば、主権を放棄したような国を、世界は相手にしてくれないでしょう。

PR:時事問題を扱う『皆神塾』を開催しています。今月の開催要領はこちらをご覧ください。→皆神塾のご案内(9月17日開催)

事業仕分けはしっかりと結果の検証を:単なるパフォーマンスで終わらせるな

蓮舫行政刷新担当相が事業仕分けの第4弾を検討しているという。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110913/plc11091310280015-n1.htm

しかし、先に、事業仕分けで凍結されたはずの、朝霞公務員宿舎建築計画がゾンビのように復活していたことが報じられている。これは象徴的な事例だが、今まで凍結や廃止されたはずの事業の多くが復活しているということはずいぶん前から報じられている。

事業仕分けが単なるパフォーマンスに終わらないように(残念ながら現状はそうなってしまっている)、第4弾を行う前に、今まで行った事業仕分けの結果をしっかりと検証してほしい。その上で、問題点を抽出して、これからどうしたらよいのかを、示してほしい。そうでなければ、何回、事業仕分けを行っても全く意味がない。むしろ、貴重な時間とお金をどぶに捨てているようなものだ。

また、事業仕分けの結果を、しっかりと実行に移せるような仕組みづくりも、当然必要だ。

中国では「汚職や収賄は悪徳ではない」?:海外逃亡した官僚が16000人超

中国監察部が97日に、伝えたところでは、海外に逃亡した汚職官僚は16000人に上り、逃亡防止制度を構築に着するとしている。

今年6月に発表された、人民銀行のレポートによると、1990年代なかばから海外逃亡した汚職官僚、国有企業幹部は16000人超。着服した金額は8000億元(約97400億円)に達するといいます。http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=54232

つい最近、中国の高速鉄道(新幹線)の事故がありましたが、今年2月には、汚職問題で劉志軍前鉄道相が更迭されたほか、昨年10月には同省ファミリー企業のトップも拘束されました。このほか高速鉄道建設にからむ汚職容疑で鉄道省幹部ら6人が党中央規律委の取り調べを受けていると報じられています。前運輸局長の張曙光氏は米国とスイスに28億ドル(約2160億円)を蓄財していた疑いがもたれている。

これらの汚職を受けて、中国高速鉄道の計画や運行も大きな影響を受けており、安全確保の為に、高速鉄道の最高速度も当初の予定よりも大きく引き下げられています。

作家の安能務さんの「権力とは何か」という本によると、中国では、官吏の汚職や収賄は、古くから現在に至るまで、必ずしも悪徳とはされていないといいます。当の本人にもその意識はないし、周囲も、収賄で財を成した官吏を羨望はしても、排斥をすることはなかった。むしろ、汚職による蓄財は半ば公認であったといいます。たまに摘発されることがあれば、それは運が悪かったということになり、本人も反省などしない。投獄されても、獄吏を買収すれば、獄中で贅沢もできる。この「蓄財」は汚職とは関係なく、「正当な自己防衛」と考えられていたといいます。 

いまや、誰もが(どの企業も)、何らかの形で海外と関係を持たざるを得なくなってきており、特に、中国との関係は避けて通ることは出来ないでしょう。しかし、「汚職や収賄は必ずしも悪徳ではない」と考えるような人たちとどう付き合っていくかは、かなり頭の痛い問題です。

PR:中国関係の業務で、お困りのことがございましたら、株式会社K2Oまでご相談ください。→ものづくり支援(コンサルティング)

原発事故以降、リンゴの輸出が落ち込んでいる:まずはしっかりとした情報開示を!!

先日、長野を訪問しました。ローカル線の窓からはリンゴ畑が広がっているのが見え、早いものはすでに赤く色づいているものもありました。そのリンゴですが、海外に輸出をしようということで、多くの自治体や農家が、長きにわたって大変な努力をしてきました。特に、中国で富裕層が急増する中で日本の高品質のリンゴが高額でも売れるということで、その巨大な市場に向けて、様々な試みがなされてきました。ところが、原発事故以来、海外での売れ行きが大きく落ち込んでしまいました。http://www.asahi.com/national/update/0813/TKY201108130160.html今年の初物については全く売れなかったそうです。

(注)日本のリンゴで海外に輸出されているものは、ほとんどが青森産です。市場としては、現在、中国が注目されていますが、今まではほとんどが台湾・香港などでした。余談ですが、中国が日本の農産物の輸出市場として注目されて久しいのですが、現在輸出できるのは、リンゴとナシだけです。お米は、ご存知のように、枠などの問題があります。詳細はまた別の機会に。

農産物に限らず、海外からの観光客なども大きく落ち込んだままです。観光庁が「嵐」を使ってPRビデオを作成して流しているようですが、効果が上がっているかどうかはよくわかりません。(関連情報としては、次をご参照ください。→「「嵐のPRビデオ」は「日本のイメージをおとしめる」ためのもの?:外国人記者が痛烈なコメント」

農家の方々には大変お気の毒と言わざるを得ないのですが、海外から見ればある意味止むを得ない面もあります。その理由は、何が正しい情報かわからないからです。日本政府からは、「安全・安心」というコメントばかりですが、海外では、その逆に、日本政府に危険性を訴えてもっとしっかりとした対応を迫るようなものまである状況です。情報が錯綜する中で、日本は知っていても、福島と東京の位置関係も全くわからないような人たちにとってみれば、心配になるのはやむを得ないでしょう。

大丈夫だということを理解してもらおうとすれば、(本当はまず最初に日本国民にそれを示してもらいたいのですが)、日本政府が、一体何か本当なのかを知らせることで、情報をしっかりと開示することです。また、そうでなければ、政府に対する信頼感は醸成されません。国内でガイガーカウンターが飛ぶように売れて、品切れになっているなどという状況が起こること自体がおかしいと思われます。国内ですらそうなのですから、海外で不信感が高まるのは仕方ありません。

日本政府は、わけのわからないPRビデオを作るのではなく、また、ただ「安全・安心」と連呼するのではなく、しっかりと情報を開示することです。情報があれば、あとはそれに基づいて理解が進むはずです。

PR:中国関係の業務につきまして、ご相談などございましたら、株式会社K2Oまでご連絡ください。→K2Oのものづくり支援(コンサルティング)

グローバルホークの福島原発情報はどこに?:情報を隠蔽する日本政府

羽田空港の主任管制官が、米大統領専用機「エアフォースワン」の飛行計画の画像をインターネット上に掲載したことが問題となっています。http://203.183.152.33/jc/c?g=soc_30&k=2011091000045&rel=y&g=int

公開された情報の中に、米空軍の無人偵察機「グローバルホーク」のものも含まれていた可能性が高まっているようです。

このグローバルホークですが、「瓊音レポート」でも報じましたが、福島原発事故発生以降、その状況を撮影していましたが、その映像が日本国内で公開されることはあまりありませんでした。それが、10日、米空軍の情報偵察当局者によって、運用状況が明らかにされました。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110910-00000078-jij-int

赤外線センサーで原子炉の温度の測定や、原発の画像などの情報を、ホワイトハウスに報告するとともに、要望があった30以上の米政府機関にも情報提供を行ったそうです。米国の危機感を強く感じるとともに、一次情報を重要視する米国の姿勢がわかるものです。

しかし、日本政府の姿勢は、それとは正反対です。ここでも報じられていましたが、「日本政府からは画像を公開しないよう要請された」とのこと。「安全・安心」を繰り返すばかりで、本当のことを伝えようという考え方が全くなかったということがここでも示されてしました。今回の前鉢呂経産大臣の「死のまち」発言にしても、実はある意味本当のことを言っただけです。しかし、本当のことを言ってはいけないという前提の下では不謹慎な発言ということになります。(菅前首相にしても「長期間にわたって住めなくなる」という発言をした・しないが問題になりました)

福島第一原発の現況については、「冷温停止」ということが使われるようになってきていますが、2号機、3号機にはいまだ人が立ち入ることが出来ない状況です。放射性物質による汚染状況についても情報が十分とは言い難い状況ではないでしょうか?何が正確な情報かがわからない中で、残念なことに、海外からの情報の方が、正確に現状を表しているのではないか?と、思ってしまうような状況です。福島第一原発及び放射性物質に関する情報は、国民のイノチにかかわる問題ですので、情報をしっかりと国民に開示していただきたいと思います。

元の国際化を着実に進める中国と、あえて円の国際化をしようとしなかった日本

ロンドンで行われた第4回英中経済対話で、王岐山副首相は、ロンドンが人民元のオフショア市場として発展させることを支持すると述べた。

中国は、米国からの対米為替レートの執拗な切り上げ要請に、抵抗してきているが、その一方で、将来に向けての人民元の国際化に向けての施策を着々と図っている。米国からの切り上げ要請に簡単に応じないのは、日本の失敗事例を反面教師としてしっかりと研究しているからで、切り上げ要請があれば、外貨準備による米国国債への投資を盾にして、それをかわして時間稼ぎを行っている。http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=54182&type=2

時間かせぎをしながら、人民元の国際化、流通範囲の拡大に関しては、きわめて戦略的に、かつ、積極的に動き出している。また、それを行わなければならない理由も存在する。それは、為替市場で介入を行っているが、市場からの流動性を吸収するすべが限られているために、その回避策が必要になっていることだ。

具体的には、人民元による貿易決済の拡大、元建ての国債発行、元建ての金融商品の発行解禁あるいは近隣諸国とのスワップ協定の締結などだ。

また、非公式ながら、中国の国境周辺では、人民元の取引が急拡大している。

長期戦略としては、国際決済通貨として認識されるために、SDRに人民元を加えるよう圧力をかけている。この関連では、ストロスカーンIMF専務理事が辞任した際には、当初の予想に反して、フランスのラガルド氏を支持して、その代わりに初めて朱氏が副専務理事に就任することを認めさせた。これを足掛かりに、専務理事の椅子も狙っているのではないか?

また、直近では、ナイジェリアが、外貨準備高のうち510%を人民元とする方針を明らかにしている。http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=54160&type=2

5月に発表された「世界銀行の展望―多極化:世界経済の新たな構造」と題する報告書では、中国経済の規模と、その企業・銀行の急速なグローバリゼーションにより、人民元の役割が更に重要になるとされ、「2025年の国際通貨体制として最もありうるシナリオは、ドル、ユーロ、人民元を中心としたものだろう」とされた。

それに対して、日本円の影は薄い。円の国際化が真剣に叫ばれたのは、1985年のプラザ合意の頃だろう。ということは既に25年以上たっていることになる。それ以降、様々な案が出されたが、当局がそれらに真剣に取り組んできたようには思えない。GDPで世界第3位ということだが、国際世界の中では、もう日本はほとんど忘れ去られようとしているのではないか?

今年6月に開かれたビルダーバーグ会議では、中国が初めて招待された。日本は、この会議には招待されたことがなく、欧米諸国以外から招待されたのは中国が初めてとなった。このビルダーバーグの例が示すように、欧米のエリートたちからすると、日本は主権国家として認められておらず、日本と話をする意味がないと思われているのではないでしょうか?

PR:中国ビジネスのことでご相談などございましたら、株式会社K2Oまでご連絡いただけたらと思います。→K2Oのものづくり支援(コンサルティング)

「放射能がうつった」発言:国会は福島に移転しろ

いつものことながら閣僚の不適切な発言が続いている。当初、「死の町」発言をした鉢呂経済産業相だが、その後、記者の体に触れるようなしぐさをしながら、「放射能がうつった」などと発言していたという。「死の町」発言を耳にしたときは、ある意味当たり前のことで、今まで情報を隠蔽してきたことの方が問題で、早く正しい状況を伝えてほしいと思ったが、放射能がうつったというような発言を聞くと、この大臣は(しかも原子力行政の担当大臣)被災者の気持ちも状況も全く理解しておらず、他人事としか考えていないという、大臣というよりも「人として問題」があると思わざるを得ない。

震災後、既に半年が経過しているが、現地での復興に向けた対応が適切に行われているようには見えない。永田町にいる国会議員の中には、いまだ他人事としかとらえていない議員も多いのではないか?しかも、原発事故については、いまだ現在進行形だ。対応次第では将来的に甚大な人的被害が拡大する恐れもあるのだから、しっかりとした対応をしてもらいたい。

その為に、国会議員の方々及び行政をつかさどる官僚の方々に、しっかりとした当事者意識を持ってもらうために、国会と官庁を福島に移すことを提案したい。今まで、「安全・安心」をくりかえしてきたのだから、問題ないだろう。また、除染なども本格的に行われるのではないか?

(しかし、除染をしても、放射性物質はなくならないので、本質的な問題解決にはならないが・・・)

過去に学ばない欧米先進国:ワシントン・コンセンサスの復活?

ギリシャに始まった欧州の債務問題は、依然として解決の糸口が見つからない。ギリシャについては、IMFも含めた形で救済策が策定されたが、結果的に、90年代以降の債務危機問題の解決策として米国中心に推し進められてきた「ワシントン・コンセンサス」と同様の政策が導入された。90年代以降の債務問題で明らかになったのは、ワシントン・コンセンサスの手法は解決策とはならないということだったはずだ。しかも、ギリシャをはじめとするEU加盟の欧州諸国についてはかつてのような自国の通貨を持たない国々だ。

かつては、成長戦略として、自国通貨安をてこにした輸出増加が期待されたが、現在欧州で問題になっている国々では、それは期待できない。

今春、ギリシャ問題が持ち上がった時、IMFのトップはストロスカーンだった。しかし、彼は、ニューヨークのホテルの女性従業員に性的暴行を加えてとして、逮捕され、失脚してしまった。ストロスカーンは、20081月のダボス会議において、(世界金融危機を乗り越えるために)「財政出動すべきだ」と発言して、従前の米国主導の「ワシントン・コンセンサス」とは異なる動きを見せ始めていました。当時、IMFは「Its mostly fiscal.(常に緊縮財政)というように言われるまでになっていました。そのIMFのトップであるストロスカーン氏から「財政出動」という言葉が出たわけですから、世界中が驚きました。しかし、ストロスカーンは失脚し(その後、彼の逮捕は冤罪であった可能性が高まっています)、ギリシャへの救済策はかつてのワシントン・コンセンサスと同様のものとなってしまいました。

本日(9日)から、G7がフランス・マルセイユで始まりますが、欧州債務問題には、どのような提案がなされるか注目です。しかし、残念ながら円高問題は真剣に議論されることはないでしょう。

前原氏の訪米は何の為?

新聞などの報道によると、民主党の前原政調会長がワシントンで講演し、国連平和維持活動(PKO)で自衛隊と一緒に活動する外国部隊が攻撃を受けた場合、自衛隊が反撃できるようPKO参加5原則を見直す考えを表明した。すべての武器輸出を禁じる武器輸出三原則の見直しにも言及した、そうだ。http://www.asahi.com/politics/update/0908/TKY201109080184.html

前原氏の訪米は、国連総会で一般討論演説を行う野田首相の「地ならし」の意味合いが強いとのことだが、内容からすると、米国の要求に従いますと言っているだけで、野田首相が国連で演説を行うのであれば、「対米」ではなくて「対世界」でメッセージを発信して、「日本が世界に向けて何をやりたいのか」ということをしっかりと発信してほしい。

その為に、前原氏には、これから何を行うのかを、党内でしっかりと議論をしてもらいたい。「ねじれ国会」が問題になって久しいですが、それ以前の問題として「党内のねじれ」が問題なのだから、何も急いで訪米して、米国に媚を売る必要はない。米国も、口約束だけの民主党には、もう辟易としているはずだ(当初の対決姿勢から、一転、米国に頼り切った状態になったので、あえてこの状態を壊そうとはしないだろうが)。今回の動きを見ていると、民主党は結局何も変わっておらず、各人各人がただパフォーマンスだけを行っているとしか見えないのだが・・・

菅前首相、枝野前官房長官は何の為にメディアに登場するのか?

このところ菅前首相と枝野前官房長官がよくメディアに登場する。新聞のインタビューに答える、あるいは昨日はテレビのインタビューも受けていた。まだ、「事故調査・検証委員会」の結果報告がなされていない段階で何のためにそのような行動に及ぶのだろうか?

テレビのインタビューで菅氏が言っていたのは「全電源喪失ということを想定していなかった」ことが問題とし、事故後のことについては、「情報が上がってこなかった」、(ベントについては)「指示したのに、行われなかった」という表現に終始した。

驚いたことに、「爆発だけじゃない、もうすでに漏れていたんです・・・メルトダウンが起きていたんです」と発言している。メルトダウンについては、原子力については自身が一番よく知っていると言っているだけに、「電源停止ということは、メルトダウンが起きる」ということなのです、と言い切っている。

仮に、事故前の全電源喪失への備えが出来ていなかったこと自体に菅氏の責任がなかったとしても、そこまで原子力のことを理解している人が行った事故後の対応はどう評価されるべきなのか?菅氏は今回の非常事態の責任者であって、今回の事故については傍観者ではないはずだ。「情報が上がってこない」とか、「言ったのにやらない」とか、全てに責任を負うものが言うべきことではない。日常でもそうだが、目的を達成するために、何をどうやるかが責任者のやるべきことだ。特に政治家が日常的に行うべき事とは、様々な利害や意見などを纏めて、実際に形にしていくことのはずだ。菅氏の発言を聞いていると幼児と親の会話のようだ。

また、その後の対応についても、メルトダウンが起こっていたと断言したにもかかわらず、国民に対して全く情報を開示せずに、逆に隠ぺいしたことはどう評価されるべきなのか?

事故調査・検証委員会の結果報告がなされていないというタイミングで、菅氏、枝野氏が様々な発言を行うのは如何なものだろうか?

そういえば「事故調査・検証委員会」は内閣府設けられているのだが、何かこれらの動きと関係あるのだろうか?本来、このような事故調査は独立した組織によって行われるべきものだと思うのだが・・・

サブプライム・ローン問題で米銀を提訴:貸し手責任を問う?

米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、政府系住宅金融機関であるファニー・メイとフレディー・マックの監督機関である連邦住宅金融庁(FHFA)が、大手金融機関17行を提訴したとしている。訴えた理由は、サブプライム・ローンのリスクを正しく開示しないまま、ファニー・メイとフレディー・マックに販売した、というものだ。賠償請求額は合計で1960億ドル(約15兆円)だ。

訴えられた大手金融機関側は、訴えられた方は、ファニー・メイとフレディー・マックは、住宅ローンの専門金融機関であり、リスクについては理解していたはず、といっている。

http://online.wsj.com/article/SB10001424053111903648204576553011839747054.html?mod=WSJ_WSJ_US_News_5

しかし、ここで問題なのは、“言った言わないの問題”ではなく、そもそもファニー・メイとフレディー・マックに販売されたサブプライム・ローンが、本来貸してはいけない人たち(返済能力ない人)に対して行われたものであったということだ。サブプライム・ローン問題では、とかく、「証券化」が問題とされ、投資銀行の責任が問題となってきたが、証券化はあくまでも単なる「器」に過ぎず、中に入っているものが腐っていたらどうしようもない(これは単純化しているので、投資銀行に責任がないと言っているわけではない)。80年代後半の日本のバブル形成もそうだったが、銀行がマッチポンプのようにバブル形成に深くかかわっていたことは否定できない。米国のサブプライム・ローン問題も、そもそもの原因は銀行の「貸し手責任」にある。

2007年の問題発生以降、「Too big to fail(大きすぎてつぶせない)ということで、大手金融機関には多額の税金が投入された。ここにきて、米国の政府機関が、資金を投入して救済したはずの大手金融機関を提訴するのはおかしい、という議論もあるようだ。しかし、本来、問題発生の原因となった金融機関の責任はもっと追及されるべきだったし、これからでも遅くはない。救済されてからまだそれほど立っていないのに、経営者や従業員の報酬は他の業界と比べれば依然として相当高い。「人のふんどしで相撲を取る」ことで、天文学的な報酬を受け取っていたのに、失敗して損失をだすと、そのつけはすべて国民に押し付けて、なおかつ依然として高い報酬を得ているというのはどういうことだろうか?

ちなみに、最近、米国や日本の国債の格付けを引き下げたことで話題となった格付け機関であるが、サブプライム・ローンの証券化でも、内容をほとんどチェックすることなく、かなり高い報酬を得ていたことが以前より問題として指摘されている。しかし、格付け機関の責任や、その在り方についての議論は確かにあるが、議論はなかなか進んでいない。

生産拠点の海外移転は止まらない:国内産業でもうまく海外を取り込め!!

ここ暫くの急激な円高で、国内の空洞化が一段とクローズアップされていますが、国内企業による生産拠点の海外移転は、90年代からの大きな長期的な流れで、今に始まったことではありません。

当初は中国が移転先として選好されましたが、日中間の政治情勢などによって、度々、勢いが鈍ることはありました。しかし、トレンドは全く変わっていません。最近は、中国国内の人件費の高騰などで、タイ、ベトナムさらにはバングラデシュなどにも進出するようになっています。

日本国内では、高齢化や人口減少などによって、市場としての成長性は期待できないなかで、新興国が新たな「市場」として期待は大きく膨らんでおり、また、そこには安い労働力が存在するのですから、需要のあるところに生産拠点を移していくことは、企業としては当たり前の行動ということなりますし、そのような行動をとってきています。国内の産業空洞化は何も今に始まったことではないのです。

 しかし、大企業は、海外に進出していけばよいでしょうが、大企業の下請け(あるいは孫請け)として仕事をしてきた中小企業はなかなかそうはいきません。中小企業でも、90年代以降、大手企業が海外に進出する中で、生産拠点を移したり、あるいは協力工場を持ったりということで、中小企業も様々な取り組みをしてきたのも事実ですが、(ここでは詳述しませんが)様々な問題があって、必ずしも成功したとは言い難い状況です。どちらかと言えば、ほとんどの企業が何らかの形でうまくゆかなかったという経験を持っているはずです。

ここにきて、受注がさらに減少し、利益率も低下し、後継者もいなくなり、経営が厳しくなり、倒産ではなくとも、その前に廃業する会社が増加しています。国内の製造業を底辺で支えてきた企業群が減少することで、ますます空洞化が加速するという悪循環も懸念されます。最近の新聞には、企業誘致を行うために、新たに補助金を出すというようなことも出ていましたが、今までも同様のことをずいぶん行ってきましたが、ほとんど効果はありませんでした。日本企業は6重苦を抱えているとも言われ、もはや国内企業の海外移転を止める手立てはないでしょう。

 これからやらなければならないことは、国内に新たな仕事を作り出すことです。新たな成長が見込まれる産業を作り出すことは言うまでもありませんが、製造業においても、製造工程が海外に移転したとしても、新しい技術や新しい製品をを作り出すという部隊、あるいは製造するための製造工程を担う部隊などは必要ですし、これらこそが、古くから言われていた日本に求められてきたことでしょう。

国内市場では、全体のパイが大きくはなりませんので、競争がますます熾烈になってきています。ここで生き残るためには、釈迦に説法になってしまいますが、それぞれの強みを生かしていかなければなりません。製造業であれば、本当に国内でしかできないものを除いては、海外をうまく使って、例えば、協力工場を使ったりOEMを行うということも必要でしょうし、自社の商品ラインの中に、海外企業の製品を厳選しながら入れてゆくということもあり得るかもしれません。奇しくも、国内企業の海外移転を促していたのは進行する円高ですが、この円高をうまく使えば、部材などの調達原価を引き下げることが可能になります。中小企業の場合には、いきなり海外に出て行って、自前で工場を持ったり、あるいは海外で販売を行ったりというのは、リスクが大きくそう簡単な事ではないでしょう。しかし、部材や一部の製品を海外で調達することから始め、海外とのつながりも持っていくことで、また新たな展開が開けるのではないでしょうか?このまま何もしないでいることでは、企業の存続さえ望めません。

弊社では、中小企業さんの為に、部材の海外からの調達OEMの紹介など様々なサービスをご提供しています。自社ではなかなか海外ビジネスのリスクはとりかねるということもあるでしょう。そのような会社さん向けに弊社が間に入ることで、海外を利用するメリットをご教授いただけたらと思います。ご興味ある方は以下ご覧頂けたらと思います。→K2Oの「ものづくり支援(コンサルティング)」


 

安住財務大臣が報道ステーションに出演:明日の株価が下がらなければよいが・・・

先日、安住氏が財務大臣に決定というニュースが流れた際に、東証では株価が下げた、と話題になった。

その安住大臣がTVの報道ステーションに生出演とあって、どのような話をするのか興味があった。

しかし、特別会計の説明など、あまりにひどすぎる。何もわかっていない人がわかったようなふりをして発言しないほうが良い。

ぼろを出さないようにテレビに出さないほうが良かったのではないか?なぜ誰も止めなかったのだろう。

これでは官僚の言いなりになってしまうのもやむを得ないか・・・

G7にも参加するそうだが、会議の内容を理解できるのだろうか?

ただ、要は「増税します」ということをTVで発言したかっただけのようだ。野田総理は、経済成長と財政健全化を両立させるというのだが、経済成長の政策などついぞ聞いたことがない。

そのような中で、突然、増税、増税のオンパレードになってしまった。復興に向けての財源はしょうがないが、いつどこでどれだけのお金が何故必要なのかといった当たり前のことが全く議論されなくなってしまった。自民党でもっもう少しかっこはつけたものだが、今は全くそれもなくなってしまった。

明日、また株価が下がらなければよいが・・・

細野大臣:がれきや土壌の最終処分場は福島県外で?

細野大臣が、4日の会見で、「がれきや土壌の最終処分場は福島県外で」と発言しています。

「福島の痛みを日本全体で分かち合うことが国としての配慮だ」と述べ、福島県以外に設けたいという考えを示したそうです。これは第二の「普天間問題」とならないでしょうか?現在の状況を考えれば、最終処分地として手をあげる自治体などは考えられません。また、放射性物質をわざわざ福島から運んで広く全国に拡大することが良いことなのかどうか疑問です。細野大臣は何か「腹案」でもあるのでしょうか?

あえて誤解を恐れずに言いますと、現地の方々には大変お気の毒ですが、原発周辺のかなりの地域にはもうしばらく居住することは出来ないでしょう。先の菅内閣は事故対策の初動で、情報の隠ぺいを行ったが為に、その後の情報開示も後手後手です。いまだに、近い将来自宅に帰れると思っている方々も多いと思いますが、あまり現実的な事とは思えません。大人はともかく、子供たちが影響を受けることは何としても避けるべきです。

ここしばらく(多分少なくとも数十年)人が居住できない土地があるとすれば、国がそこを買い上げて、処分地として集中的に管理保管を行った方が良いのではないでしょうか?もともと住んでおられた方々には大変お気の毒ですが、これは居住されていた方々の命の問題です。政府の情報開示も後手後手で(数か月たってから発表するとか、数か月たっても発表しないとか)、政府に対する信用も何もない状況ですので、最終処分場候補地に手をあげるような自治体はなかなか見つからないでしょう。第二の「普天間問題」になるのではないかと心配です。あるいは、中間処理場として、福島においておいて、永久に中間処理場のままで放置するのでしょうか?

郵政改革法案の現実:法案反対で一番儲けているのは米国企業?

郵政改革法案に反対する理由は、米国に日本の富を奪われないため、などとよく言われる。本当だろうか?改革法案が通ると200兆円が米国に持って行かれるといった議論が良く行われている。

しかし、現在、この郵政改革法案がたなざらしにされていることで、一番、利益を享受しているのは米国企業だ。具体的には、がん保険を取り扱う「アフラック」があげられる。かつては、郵政民営化に反対していたのは、日本の銀行と保険会社だった。郵貯と簡保に顧客を奪われるのが怖かったからだ。今も、日本の銀行と保険会社のスタンスは基本的には変わらないが、銀行では一部の地方銀行などの中で、郵貯と提携することで自行の事業を拡大しようという動きも出てきている。保険会社の中でも、例えば、再大手の日本生命が簡保と提携して新商品を出そうとしている。しかし、この動きは、改革法案がたなざらしとなる中で、全く動いていない。簡保にしても日本生命にしても、みずみず新規の事業機会を失っていることになる。

かつてアフラックは在日米国商工会議所(ACCJ)の会頭を務めたこともあり、積極的に自らの日本における事業を守るために活動してきている。現在でも、もし簡保と日本生命の提携が動き出せば、同社の事業は(程度はわからないが)影響を受けることになる。外資から日本国民の資金を守ると言っているのだが、逆に外資企業を守っているという、何とも皮肉な結果になっている。

ちなみに、郵貯や簡保の資金がどのように運用されているかだが、非常に簡単に言ってしまうと負債と資産の特性を考慮して運用先への配分比率が決定される。国内外の資産運用会社にしてみるともっとリスクをとる運用を行い、その資金を受託したいという思いが強いだろうが、全体の規模からすれば、まだまだ限定的のようだ。資金の性格からすれば、株式、海外投資などはALM上ではリスクが高く、配分比率はどうしても小さくなってしまう。米国債を200兆円購入することなどはALMの計算上は絶対に出てこない数字だ。現在はまだ政府の持ち株が多いが、政府が何らかの政治的判断をして、郵貯や簡保に米国債を無理やり買わせるようなことがありうるのだろうか?このような話が流される背景にある意図を理解できていないのではないだろうか?

宝島社の広告に思う:自ら変われない日本?

92日に宝島社から添付のような全面広告が新聞各紙に掲載されました。正直、びっくりしました。この時期に、このような写真とコピーが・・・

宝島社のHPによれば、この広告の意図は「敗戦や災害など、これまで幾度となく苦境に直面してきた日本。 日本人はそのつど、不屈の精神と協調性を武器に国を建て直してきた歴史があります。世界のどこを見ても、これほどしぶとく、強い生命力を秘めた国民は存在しないのではないか。そんな気さえするのです。「いい国つくろう、何度でも。」この投げかけを通じて、日本人が本来持っている力を呼び覚ましてみたいと考えました。」

 110902_宝島_マッカーサー.jpg

 このメッセージは良いのですが、新聞広告には何も記載せていませんでした。1945830日、愛機バターン号から厚木飛行場に降り立つ連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーの写真です。日本人は外からの圧力あるいは天変・地異のようなことが起こらないと変わらない、ということを言いたいのでしょうか?出版社からこのよう広告が出されること自体大変悲しい事態です。

 

福島原発事故:事故予測、発生当日に菅氏まで伝達?

「事故予測、発生当日に菅氏まで伝達」というニュースが、原発事故発生から半年余りもたってから報道されました。

詳細は、次のリンクから: http://news24.jp/articles/2011/09/03/07189922.html

実はこのニュースは事故発生直後にも伝えれれていましたが(そのため私たちもレポートにて発信)、大きく報じられず、この報告を受けてと思われる保安院の中村審議官の「炉心溶融発言」もその後訂正されました(中村審議官はこのため更迭され、西山審議官の登場)。

この事故予測によれば、炉心溶融は311日の夜にも起こるというもので、ベントのタイミング云々の話どころでなく、何が何でも(海水を注入する等)炉心を冷やさなければならない、ということだったはずです。また、時間的にも、12日の朝に原発を菅氏が訪問する余裕など全くなかったはずです。まさに、「天災ではなく人災」と言われるゆえんです。

5月には「事故調査・検証委員会」設置が決められ、その後、会議が開かれたようですが、どのような何様だったのでしょうか?しかし、委員会は内閣官房に設置されていますので、「政府に対する調査」を期待することには最初から無理があるかもしれません。

野田新総理の高位スタッフ職とは?:公務員制度改革は人事制度改革から

野田新総理の政権構想の中におかしな箇所があるということで話題になっている。

あまりよく見ていなかったため、改めてチェックしてみると、確かにあった。4ページ目の「(5)政治の信頼回復に全力を注ぐ③公務員制度改革の実現(天下り根絶)」の部分だ。

そこでは、「「呼び寄せ型」天下りの厳格なチェック、再就職先の公益法人等への補助金等の削減を前提に高位スタッフ職を整備する等国家公務員の再就職先の一層の適正化を図る。」とある。要は、「再就職斡旋禁止の徹底」や、従来言われたような「天下り」は厳格にチェックするが、「再就職先」は(斡旋はしないが)適正に用意する、と言っているようなものだ。これが新総理の言う「公務員改革」なのだろうか?要は、外に再就職のポストが少なくしまうので、省内に新たなポストを作ろうということだ。

前から、違和感を覚えていたのは、公務員(ここではいわゆる「上級」あるいは「キャリア」と言われる人たちを指すものとする)は、何故、入省年次でポストを決めていくのだろうか?ということだ。民間であれば、入社年次の早いものでも、遅い者の下で働くことなど当たり前だ。あくまで「基本」は能力主義だ。しかし、公務員はそうではない。年次が早い遅いどころか、同期入省者とのポジションに上下が生じないようにするために、今までは外部にポジションを用意するということで天下りが行われてきた。

また、人事異動についても、高度成長期の制度がそのまま残っており、基本は、2年程度で異動が行われる。新しいポジションに就くとなれるまで半年程度かかる。また、異動が近づくと半年程度はそわそわして落ち着いて仕事にならない。つまり2年の任期のうち1年程度しか落ち着いて仕事ができない。世の中の変化が激しくなっているし、高い専門性を求められることも従来以上に必要になっている。1人の人がもっと長期間にわたって同じ仕事をすることが求められるだろう。

給与が民間に比べて低いとよく言われるが、一般職は別だが、上級職に限って言えば本当にそんなに低いのだろうか?もし、低いのであれば、必要な金額はいくらでも払えばよい。ただし、それを正当化できるだけの仕事はしてもらわなければならない。民間と同じとは言わないが能力と実績に応じて給与を決めればよい(当然、ポジションについても差がつくことになる)。

民間でも高給を正当化するために、「良い人材を確保するためには給与を高くする必要がある」ということが言われる(特に「金融」)が、それはどの業界でも同じではないでしょうか?「ものづくり日本」であるならば製造業に良い人材がいなければならないでしょう・・・

公務員制度改革というとすぐに「天下り根絶」ということになりますが、そうではなくて「人事制度改革」を行うことがまず必要でしょう。人材が官と民の間で行き来することはある程度は構わないと思いますが、むしろ行き来するということを前提として、その場合に、官民の癒着が起こらないような仕組み(「ガバナンス」)であったり、倫理観をいかに醸成していくかの議論が必要かと思います。

バーグステン発言「ドル安は良いことだ」は米国の本音

91日の朝日新聞に「ドル安は良いことだ」というフレッド・バーグステン氏のインタビュー記事が掲載されていた。

書店に行けば「ドル基軸通貨体制崩壊」といったタイトルがたくさん並んでおり、「ざまみろ、いい気味だ」といったようなニュアンスを言外に感じることが多いが、しかし、現実は全く逆で、米国の本音はやはり「ドル安政策」です。しかし、米国の政府要人からは「ドル安」発言が出てくることは通常ありません。これは、急激なドル安が進んで、米国への資金流入が止まると困るからで、本音ではありません。

1971年のニクソン・ショック以来、50%を超える円高局面は、70年代、80年代、90年代と3回あった。為替が高くなったのは、日本だけでなくドイツも同様だで、ドイツも日本と同じように、米国に対して国際収支が大きく黒字になっていた。為替が米ドルに対して大きく上昇することで、国際収支がどのように変化したかといえば、米国の期待に反して、国際収支のポジションはほとんど変化がなかった。つまり、為替の調整では国際収支の調整は出来ないということを、私たちは学んだはずでした。

しかし、バーグステン氏は、このところ、米国が基軸通貨国として責任を負うのは荷が重いとして、ドル安への裕度委へ口先介入を図っている。かつての日本とドイツに対するのと同じように、ここ数年は中国に対しても、元を大きく切り上げるべきだと発言を行っています。

しかし、中国は日本の経験を非常によく研究しており、それを反面教師として、日本と同じような政策はとらないだろう。為替についても、方向としては、元を切り上げてゆくだろうが、非常に慎重に、ゆっくりと対応しており、その国際化についても戦略的に対応している。日本は口では国際化ということを言っていたが、積極的にそして戦略的に取り組もうとは決してしなかった。つまり、常に米国の陰に隠れていたし、その前を歩こうとはしなかった。ドル・ユーロ・円の3極体制ということも言われたが、ある意味ジョークで終わってしまった。バーグステン氏は、将来の通貨体制の姿として、ドル・ユーロ・元の3極体制あるいはドル・元の2極体制ということを言っています。

さて、米国ですが、問題は国際収支の赤字なのですが、為替では改善できないのは明らかで、米国はそれを無視して、改善しようともしてきませんでした。これを改善するには、「借金して良い暮らしをする」というような生活そのものを変えていかなければならないでしょう。リーマン・ショック以降、“マイナス”とも言われた貯蓄率が大きく改善していますが、最近は、このところ減少していたクレジット・カードの与信が増加する兆しが見えるなど、米国人がその生活様式を変えるのはかなり大変なようです。そうすると、しばらくは円高が続き、また米国のファイナンスに日本が協力しなけえればならないということになってしまいます。つまり、「お金を貸した方が悪い」という状態が今後も続くということのようです。

「金額のない請求書」

民主党の新代表が選出され、事実上、新しい総理大臣が決まりました。たまたまテレビで代表選の模様を見てしまったのですが、その候補者の演説などを聞いていて、何か現実とは遊離した別世界の話を聞いているようでした。代表に選ばれた野田さんの口からは「国民のため」という言葉が聞かれましたが、その言葉が国民に向けられているようには思えませんでした。

民主党政権が誕生してから3人目の総理大臣の誕生となりましたが、「国民の審判」を得ることなく、またそのポジションがたらい回しのされることになりました。更に、非常に残念なことは、当初国民に約束された事柄が全く守られず(というよりもそれを守ろうという姿勢さえ見えませんでした)、正反対の「増税路線」「官僚依存」の政治が行われるということになってしまったことです。(増税に全く反対というわけではないのですが…多くの国民がそうだと思いますが)

菅前首相が自画自賛した「社会保障と税の一体改革」などはその好例です。野田総理大臣の誕生で、この一体改革が進められることになるのでしょうが、ここでは国民への説明がほとんどなされずに(メディアでもほとんど具体的なことは報道されませんでした)、「所費税増税の道筋」が決められてしまいました。ここで行われたのは、国民に「金額の書かれていない請求書が送りつけられた」ようなもので、いくら引き落とされるかは国民に知らされていない、というものです。更に悪いことには、請求書の明細が何も書かれておらず、何に使われるのかはわからないし、それによってどうなるかもわからない、と言ってもよいようなものです。

ここでは、この「社会保障と税の一体改革」に若干コメントさせていただきます。

  • l今回の改革で問題だと思うのは、改革の目的や具体的な案についての議論が脇に置かれて、消費税引き上げの議論のみが行われてしまったことです。

「税」の改革というのであれば、消費税だけでなく、所得税、法人税なども含めた全体の議論があってしかるべきです。また、財政赤字を補てんするためだけでなく、長期的な観点から将来の税収を増やすための税制改革もあってしかるべきです。

  • 何故、増税すべきなのかが明確に示されていません。東日本大震災後の復興構想会議の最初の会議でいきなり増税の方針が示されたのと同じ構図です。ここでの年金改革の議論も非常に重要であったはずですが、内容についてしっかり議論されたようには思えません。

ただ増税するというだけで、何故必要なのか、いつ・どこに・どれだけ必要なのかといった議論が全くありません。

  • また、この「一体改革」の中には、支出を抑制できるようなものもかなりあるはずです。例えば、社会保障の医療費などがそうです。従前からジェネリックの使用などが言われていますが、全く進んでしません。また、支出抑制ということでは、年金における給付削減議論も行われるべきでした。つまり、ただ闇雲に、収入を増やすことばかりが、中身の議論も何もなく、行われているのです。しかも、それを負担する国民には、詳細な情報が提供されていません。

社会保障関連予算は、既に一般歳出の50%を占めるまでになっています。財源をねん出するためには、もはや増税ばかりでなく、如何に歳出を切り詰めるかも徹底的に議論しなければならないでしょう。

つい最近のことですが、米国では国債発行枠の引き上げ問題が進展せずに、デフォルトを引き起こすのではないかと心配されました。この議論でも、歳入をいかに増やすのか(富裕層に対する増税議論が中心でしたが)と、歳出をいかに削減するかが、議論されました。二者択一ではありませんでした。

尚、「年金」に関する議論ですが、今回の改正案で、基礎年金の財源が、事実上、すべて税となりそうです。以前は、基礎年金の保険料での負担を1/3から1/2に引き上げる際にもずいぶん問題になりましたが、今回は事実上、それが全額「税」という形になりそうです。

東日本大震災や福島第一原発事故などで、この問題がかすんでしまった感はありますが、このように重要な問題についての情報がしっかりと国民に伝えられないことは非常に残念に思います。結局は、財務省の思惑通りにすべてが進んでしまっているように思われます。

 

 

菅首相とケビン・メア氏:『決断できない日本』

注文していたケビン・メア氏の「決断できない日本」が届きました。この本の著者であるメア氏は「沖縄はゆすりの名人」と発言したと報道され更迭された人物です。しかし、その後すぐにアメリカ国家安全保障会議アジア部上級部長に就任と伝えられたことで、それはとても更迭というようなポジションではなく、この事件の裏には何かあると噂されたのですが、その後、辞任。しかし、311が起こり、「トモダチ作戦」の国務省タスクフォースのコーディネーターをしばらく務めた人物です。

この本では、①「ゆすりの名人」報道②トモダチ作戦の舞台裏③沖縄基地問題④日米同盟等について記載されています。

ここでは、菅首相が自画自賛の末ようやく退陣しましたが、まだ福島原発事故が収束していないことなどもあり、②の「トモダチ作戦の舞台裏」に関連して、「日本政府(菅内閣)」の原発事故への対応についての同氏のコメントをいくつか紹介したいと思います。この事については、菅内閣への批判が色々な形で報道されていますが、それらの内容を米国側からの発言で裏付けるものとなったと思います。

同氏の日本政府に対する印象を一言でいえば、「政治指導力の無能」ということでしょう。この由々しき危機に際して、「日本のリーダーには決断力や即効性のある対応をする能力がない」ことです。(厳しい言い方をするのは、これが改善されるのを願ってのことだそうです)

今回の東日本大震災の圧倒的な困難にもかかわらず日本人が見せた規律と我慢強さにたいしては、「もっと良い指導力、より良い政治に恵まれるべき」としてします。日本の「政治のレベルの引きさ」を批判し、「責任を取らず、自己保身を図ることが目的化してしまった今の政治から脱却」すべしとしています。


今回の原発事故では、菅首相が責任を取りたくないばかりに、「事故処理をあくまで東電の問題とした」のですが、しかし東電はもともとこのような過酷な事故をハンドルする能力はなく、荷が重すぎた。スリーマイルの教訓からも明らかなように、このような対応では、私企業に任せるのではなく、国家的な対応が本来必要、もっというならば世界的な対応(世界の知恵を終結させること)がなされるべきであった。


自己当初の対応でも、日本政府は東京電力を全くコントロールできていなかった。312日の午後になっても東京電力は米軍ヘリで真水を運べないかとの問い合わせを駐日米国大使館にしていたそうです。これは水素爆発の直前にも東電が海水注入を躊躇していたことを示しています。

米国では情報が何も日本政府から来ないので、フラストレーションが高まりました。米軍は当然ながらグローバルホークなどを使って独自の情報収集をしていたので、原子炉の温度が異常に高まっていることを知っていました。最悪のケースとして、福島ばかりでなく、日本あるいは東アジア・太平洋の広範囲に汚染が広がることを警戒していたのです。

海外メディアで称賛された「フクシマ・フィフティ」についても、働いている人たちは称賛するにしても、この危機に当たって実際に作業をしているのがそれだけしかいないという事実に、米国は気が気ではなかったといっています。また、自衛隊ヘリによる散水について、「自衛隊の英雄的な放水作戦を見て、オバマ大統領が「日本政府は事故封じ込めに必死になっている。米国は全力を挙げて支援する」との決心を固めた」と日本では報道されましたが、事実は全く逆で、日本政府が出来ることがそれだけであったことに米国政府は絶望的になった、とのこと。

つまり、「菅首相の政治的パフォーマンス」であって、「政治的なスタンドプレー」のために自衛隊員は命がけの作戦に赴いた、と。

これはある意味「日本が平和ボケ」が治っていないためで、米国政府が911以降、テロ対策の為に日本の原発にも武装した警備員を置いたほうが良いと助言した際に「必要ない。なぜなら、銃の所持は法律違反になるから」と日本政府当局者が答えたというエピソードを紹介しています。(ちなみに、それを聞いたホワイトハウス当局者はジョークと間違えたそうです。)


また、今回の原発事故では「想定外」という言葉が使われますが、米国では「全電源喪失」を想定した対策が取られ、シミュレーション訓練も定期的に実施されているそうです。これは、地震・津波ではなくテロを想定してのものだそうですが、日本に対してもそれらについて説明を行っていたそうです。日本側でももっと研究がなされてしかるべきだったでしょう。


27日、菅首相は福島を訪問し、佐藤県知事との会見で、「中間貯蔵施設を県内に整備することをお願いせざるを得ない」との認識を伝えました。佐藤知事は「突然の話だ」としましたが、まさか、正式に退陣を表明した人から、退陣表明の翌日にそのようなことを伝えられるとは想像もしていなかったでしょう。しかも、菅首相は、胡錦濤国家主席との会見のように、メモを読み上げるようなもので(まるで自分はその決定に関係ないかのように)、最後の最後まで菅らしさを発揮しました。

しかし、これもそもそもは、初期対応において情報を隠蔽して、正しい情報を伝えなかったということが、強く影響しており、全てのことは悪循環をして、ただただ時間が遅れています。「帰宅に20年以上の試算」などということはもっと早く伝えられるべきで、期待を持たせておいて、6か月近くもたってから、何の将来に向けての対策や方針も出さずに、そのようなことを伝えるのは、非常に残酷な仕打ちです。


尚、この著書の日米安保や沖縄関係の事柄も参考にはなります。このメア氏はある意味米国の「田舎のおじさん」というタイプの人かもしれません。沖縄での報道では彼のことを悪く言う人も多いようですが、ある意味素直に米国の考え方を代弁している人かもしれません。同氏は、沖縄問題を「ナイーブ」と表現しますが、今回の「沖縄はゆすりの名人」事件もそのような「ナイーブ」な関係の中で基地反対派にねつ造された記事だ、としています。以前紹介したことのある「幻想の島・沖縄」(大久保潤著)で、200311月に当時のラムズフェルト米国防長官が沖縄を訪問した際に、普天間が「世界一危険な飛行場」と報道されたことが、政治的に利用するためにねつ造されたものである可能性が高いとされているのですが、今回の「沖縄はゆすりの名人」報道も、目的な違うにしても、同氏が言うように事実ではない可能性が高いかもしれませでん。

 

 

 

 

 

 

ハリケーン「アイリーン」への対応で思うこと

米国では、大西洋を北上しているハリケーン「アイリーン」が首都ワシントンなどの東海岸の大都市を直撃するおそれが出てきており、ニューヨーク、ニュージャージーなど7州の知事は非常事態宣言を出しました。ニューヨーク市では海岸沿いに住む25万人に避難指示を出すとともに、地下鉄やバスといったすべての公共交通機関を運休することを決めました。ニューヨークで強制的な避難命令が出るのは初めてとのことです。現時点では、ニューヨークはまだ天気は悪くないそうで、市民の中にはハリケーンに対する警戒意識がそれほど高くない人たちもいるようで、ブルンバーグ市長は何回か会見を行い、市民に避難を呼びかけているそうです。ハリケーンがニューヨーク市に近づくのは26年ぶりのことで、上陸すれば1893年以来、118年ぶりでとのことです。

米国では、ハリケーンによる被害は毎年相当数起きておりますので、それへの対策もしっかりなされているのでしょうが、ニューヨークのような大都市で、25万人にものぼる人たち(今後さらに増加する可能性もある)に、強制的な避難命令が出されています。そこでは市長が先頭に立って避難を呼びかけています。何か米国と日本の危機対応への違いを見せつけられているような気がします。まさにここで行われているのは、「最悪の事態を想定して行動する」ことです。ハリケーンの威力は強大ですので、もし上陸などしたら大変な被害が出るでしょう。しかし、その軌道が逸れてしまうこともあるでしょう。そうした場合に、避難した人たちはブルンバーグ市長を非難するでしょうか? 

 日本の政治家、例えば菅首相(ようやく退陣表明しましたが)の場合にはどのような対応をしたでしょうか?ニューヨーク市の人口は現在800万人で、周辺地域も含めるとその人口は2200万人にも上ります。パニックが起こったら大変だとして、強制的な避難命令など出せなかったのではないでしょうか?事例は違いますが、福島第一原発の場合は今回とは全く反対の対応がとられました。パニックになる恐れがあったからとよく言われますが、情報を隠蔽し、防衛的なメッセージを出すばかりで、対応は結果的にすべて後手後手に回りました。原発の周辺住民(例えば半径50㎞)はすべて強制避難というようなことが最初に行われていれば、多くの人が放射性物質にさらされることもなかったでしょう(残念ながら、まだ終わったわけではないですが…)。もし何もなければ、避難命令を順次解除していけばよかったはずです。また、もし考えられる最悪のケースが起きていたら、いわゆる「周辺住民」だけでは済まなかったはずです。

« 中国 | メインページ | アーカイブ | 書籍 »

このページのトップへ