2013年6月/日々雑感:よくわからないこと?!

2013年6月

【Crossroad誌:掲載記事】 『cakra #1』(木村佳代子)(2013年7月号)

 Crossroad誌:掲載記事】 『cakra 1』(木村佳代子)(20137月号) 

日本語と中国語のバイリンガル・マガジン『Crossroad誌』本年7月号に以下の記事が巻頭エッセーとして掲載されましたのでご紹介させていただきます。 

毎月このような形で同誌の『巻頭エッセー』として、日本の若手アーティストを紹介する記事を書かせていただいております。同誌は、中国の華南地方(主として 広東省と香港)を中心に、ビジネス情報を主体としてはいますが、文化や芸術等様々な情報を発信している雑誌です。編集部は、広東省・深圳市にあります。 

今回は、「木村佳代子」さんの『cakra 1』という作品です。 

作品タイトル:    cakra 1』(mixed media91x91cm

Kimura2013-01.jpg

 コメント 

アインシュタインといえば多分知らない人はいないでしょう。その彼が生涯を通じて追い求めたものは、自然界の多様性に潜む統一的な理論です。彼の試みによって、1905年の特殊相対性理論、1916年の一般相対性理論が考案されましたが、彼はその後の後半生を「統一場の理論」に注ぐことになりました。 

彼は、自然界には、全ての力を生み出す根源となっているただ一つの場が存在すると考えました。最終的には自然界の4つの力をすべて統一しようと、理論的に試みたのですが、存命中には解明することができませんでした。しかし、それは、現在、「万物の理論」として研究が続けられています。 

彼を駆り立てていたものは何だったのでしょうか?彼は言います:「人間にはその宿命である限界や無力から解放されているのを感じる瞬間があるのです。そのような瞬間に人間が思い浮かべるのは、自分自身が小さな惑星のある場所に立っていて、永遠なるもの、不可思議なものが放つ、冷厳ではあるが心からの感動を呼び起こす美しさを、茫然として見つめている光景です。その時生と死が一つに流れ込み、そしてそこには進化も運命もなく、ただ存在だけがあるのです。」。

さらには、「私たちが計り知ることができないもの、それは実際に存在していて、それ自身を最高の叡智、最も輝かしい美として顕現させているのですが、私たちの能力の乏しいうちは、その形態だけしか理解できないということに気づき、そのような知識、そのような感情、それこそが信仰心の確信なのです。」と。 

彼の言う「信仰心」とは、おそらく宗教的なものとは異なるでしょうが、彼は、その「存在」を感じることで、「生命の根源」を垣間見たことでしょう。 

さて、この作品ですが、タイトルが『cakra』で、ミクロ・コスモスからマクロ・コスモスを知覚しようという試みのようにも思われます。作家は、ここで、あえて「切花」の「しゃくやく」を描くことでアインシュタインが「ただ存在だけ」と呼んだ、主体と客観、ミクロ・コスモスとマクロ・コスモス、生と死あるいは動物や植物といった概念を超越した「場」における生命の姿を描こうとしているのではないでしょうか? 

略歴 

1971年 東京都生まれ

1994年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業

1996年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程 修了

1999年 東京藝術大学大学院美術研究科博士課程 満期終了 

受賞歴

1994年 O氏記念賞 大和銀行蔵

1999年 野村賞 芸大美術館蔵 

個展

1995年 ギャラリー美遊

1996年 村松画廊

1997年 ギャラリー美遊

1999年 東京藝術大学陳列館

2000年 ギャラリーQ

2003年 ギャラリー覚

2007年、2009年、2011年 ギャラリークローゼット 

主なグループ展

1995年 [ Points Of View ] (ベリーニの丘ギャラリー/横浜)

1996年 [ Ljubliana Glaphic Art Biennial ] (リュブリアーナ/スロベニア)

1997年 [ 共鳴する記憶 ] (村松画廊/銀座)

1998年 [ PLIX WHANKI  SEOUL/BERLIN/TOKYO ] (WHANKI Museum/ソウル)

      [ 新世紀へ・平面PART1 ] (村松画廊/銀座)

1999年 [ ONE DAY ONE SHOW ] free soace 3/青山)

2013年 [ MATURE2013 ] (ギャラリーQ/銀座)

      [ 初夏のメカニズム ] (ライト商会/京都) 

個展予定 

201374日~16日 ギャラリークローゼット(西麻布・東京)

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