元の国際化を着実に進める中国と、あえて円の国際化をしようとしなかった日本/日々雑感:よくわからないこと?!

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元の国際化を着実に進める中国と、あえて円の国際化をしようとしなかった日本

ロンドンで行われた第4回英中経済対話で、王岐山副首相は、ロンドンが人民元のオフショア市場として発展させることを支持すると述べた。

中国は、米国からの対米為替レートの執拗な切り上げ要請に、抵抗してきているが、その一方で、将来に向けての人民元の国際化に向けての施策を着々と図っている。米国からの切り上げ要請に簡単に応じないのは、日本の失敗事例を反面教師としてしっかりと研究しているからで、切り上げ要請があれば、外貨準備による米国国債への投資を盾にして、それをかわして時間稼ぎを行っている。http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=54182&type=2

時間かせぎをしながら、人民元の国際化、流通範囲の拡大に関しては、きわめて戦略的に、かつ、積極的に動き出している。また、それを行わなければならない理由も存在する。それは、為替市場で介入を行っているが、市場からの流動性を吸収するすべが限られているために、その回避策が必要になっていることだ。

具体的には、人民元による貿易決済の拡大、元建ての国債発行、元建ての金融商品の発行解禁あるいは近隣諸国とのスワップ協定の締結などだ。

また、非公式ながら、中国の国境周辺では、人民元の取引が急拡大している。

長期戦略としては、国際決済通貨として認識されるために、SDRに人民元を加えるよう圧力をかけている。この関連では、ストロスカーンIMF専務理事が辞任した際には、当初の予想に反して、フランスのラガルド氏を支持して、その代わりに初めて朱氏が副専務理事に就任することを認めさせた。これを足掛かりに、専務理事の椅子も狙っているのではないか?

また、直近では、ナイジェリアが、外貨準備高のうち510%を人民元とする方針を明らかにしている。http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=54160&type=2

5月に発表された「世界銀行の展望―多極化:世界経済の新たな構造」と題する報告書では、中国経済の規模と、その企業・銀行の急速なグローバリゼーションにより、人民元の役割が更に重要になるとされ、「2025年の国際通貨体制として最もありうるシナリオは、ドル、ユーロ、人民元を中心としたものだろう」とされた。

それに対して、日本円の影は薄い。円の国際化が真剣に叫ばれたのは、1985年のプラザ合意の頃だろう。ということは既に25年以上たっていることになる。それ以降、様々な案が出されたが、当局がそれらに真剣に取り組んできたようには思えない。GDPで世界第3位ということだが、国際世界の中では、もう日本はほとんど忘れ去られようとしているのではないか?

今年6月に開かれたビルダーバーグ会議では、中国が初めて招待された。日本は、この会議には招待されたことがなく、欧米諸国以外から招待されたのは中国が初めてとなった。このビルダーバーグの例が示すように、欧米のエリートたちからすると、日本は主権国家として認められておらず、日本と話をする意味がないと思われているのではないでしょうか?

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