日中韓ASEAN会議:外貨融通・BRICS銀行構想など日本はもっと積極的に対応すべきでは?/日々雑感:よくわからないこと?!

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日中韓ASEAN会議:外貨融通・BRICS銀行構想など日本はもっと積極的に対応すべきでは?

今日(54日)の日経新聞には、比較的大きな記事として「日中韓ASEAN会議」が取り上げられていた。http://www.nikkei.com/access/article/g=96959996889DE6E3E2E5E1EBEBE2E2E6E2E7E0E2E3E09797EAE2E2E2

3日の財務相・中央銀行総裁会議で、外貨融通網「チェンマイ・イニシアチブ」(CMI)の拡充を柱とする共同声明が採択され、独自の金融安全網を強化することで、欧州危機の波及回避に域内をあげて連携する姿勢を示した、とのこと。

その記事の内容で、少々驚いたのは、日本が独自枠の拡大に慎重姿勢を示しているということだ。その理由は、日本がIMFとの協調を重視し独自枠の急拡大には慎重姿勢をとっているという。つまり、米国の横顔を見ながら動いているということだ。

そもそも、この「チェンマイ・イニシアチブ」(CMI)は「宮沢構想」とも呼ばれ、1997年のアジア通貨危機を受けて当時の宮沢首相が提案したものだ(もともとのアイデアは当時の榊原財務官)。しかし、米国の強い反対で、当時は一旦つぶされてしまった。

しかし、日本は、米国に追随するばかりでなく、このような提案をもっと積極的に行っていくべきではないのか?

日本が、慎重であろうがなかろうが、このような動きはどんどん進んでいく。3月末にインドで行われたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会合では、新興国のインフラ整備などを支援する新銀行「BRICS銀行」を創設することが合意された。これはすでに昨年の会議で話し合われたことだが、今年になって踏み込んだ対応がなされることになった。

新興国や発展途上国の開発を支援する銀行は既にかなりある。例えば、世界銀行・国際復興開発銀行(IBRD)がそうだし、地域ごとにも米州開発銀行(IADB)、アジア開発銀行(ADB)、アフリカ開発銀行(ADB)や欧州向けにも欧州復興開発銀行(EBRD)がある。更に、それらの国の民間の投資を促進するために国際金融公社(IFC)や多数国間投資保証機関(MIGA)などもある。MIGAの初代長官は野村証券出身の寺澤義男氏だった。

しかし、それらの銀行・機関がしっかりと機能してこなかったことはよく話題として取り上げられる。スティグリッツ教授なども盛んに批判を繰り返している。

新興国サイドでも、IMFや世界銀行などの改革スピードが遅いという主張を行ってきている。IMFの前ストロスカーン専務理事がセクハラ事件で退任した後の専務理事選挙でも、新興国を代表するような人選が行われるべきという主張もなされた。

とはいっても中国は副専務理事(No2)のポジションを獲得するために現専務理事のラガルド氏を推すという取引をしたという。これで、中国は、次回のSDRの再計算で人民元を構成通貨として入れることを狙っているだろう。

BRICS5か国も一枚岩ではないので、事実、中国のプレゼンスが突出することに対する懸念は強い、簡単にBRICS銀行が出来るとは思わない。また、BRICS側もこれをうまく利用して、IMFや世銀などでの発言力を高めようという意図もあるに違いない。

しかし、チェンマイ・イニシアチブの構想が出された時は強く反対して米国が、今回は表立っては反対していない。

日本もそろそろ米国に追随するばかりでなく、新興国や開発途上国のためになるような提案をもっと積極的にしていくべきではないだろうか?

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