野田新総理の高位スタッフ職とは?:公務員制度改革は人事制度改革から/日々雑感:よくわからないこと?!

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野田新総理の高位スタッフ職とは?:公務員制度改革は人事制度改革から

野田新総理の政権構想の中におかしな箇所があるということで話題になっている。

あまりよく見ていなかったため、改めてチェックしてみると、確かにあった。4ページ目の「(5)政治の信頼回復に全力を注ぐ③公務員制度改革の実現(天下り根絶)」の部分だ。

そこでは、「「呼び寄せ型」天下りの厳格なチェック、再就職先の公益法人等への補助金等の削減を前提に高位スタッフ職を整備する等国家公務員の再就職先の一層の適正化を図る。」とある。要は、「再就職斡旋禁止の徹底」や、従来言われたような「天下り」は厳格にチェックするが、「再就職先」は(斡旋はしないが)適正に用意する、と言っているようなものだ。これが新総理の言う「公務員改革」なのだろうか?要は、外に再就職のポストが少なくしまうので、省内に新たなポストを作ろうということだ。

前から、違和感を覚えていたのは、公務員(ここではいわゆる「上級」あるいは「キャリア」と言われる人たちを指すものとする)は、何故、入省年次でポストを決めていくのだろうか?ということだ。民間であれば、入社年次の早いものでも、遅い者の下で働くことなど当たり前だ。あくまで「基本」は能力主義だ。しかし、公務員はそうではない。年次が早い遅いどころか、同期入省者とのポジションに上下が生じないようにするために、今までは外部にポジションを用意するということで天下りが行われてきた。

また、人事異動についても、高度成長期の制度がそのまま残っており、基本は、2年程度で異動が行われる。新しいポジションに就くとなれるまで半年程度かかる。また、異動が近づくと半年程度はそわそわして落ち着いて仕事にならない。つまり2年の任期のうち1年程度しか落ち着いて仕事ができない。世の中の変化が激しくなっているし、高い専門性を求められることも従来以上に必要になっている。1人の人がもっと長期間にわたって同じ仕事をすることが求められるだろう。

給与が民間に比べて低いとよく言われるが、一般職は別だが、上級職に限って言えば本当にそんなに低いのだろうか?もし、低いのであれば、必要な金額はいくらでも払えばよい。ただし、それを正当化できるだけの仕事はしてもらわなければならない。民間と同じとは言わないが能力と実績に応じて給与を決めればよい(当然、ポジションについても差がつくことになる)。

民間でも高給を正当化するために、「良い人材を確保するためには給与を高くする必要がある」ということが言われる(特に「金融」)が、それはどの業界でも同じではないでしょうか?「ものづくり日本」であるならば製造業に良い人材がいなければならないでしょう・・・

公務員制度改革というとすぐに「天下り根絶」ということになりますが、そうではなくて「人事制度改革」を行うことがまず必要でしょう。人材が官と民の間で行き来することはある程度は構わないと思いますが、むしろ行き来するということを前提として、その場合に、官民の癒着が起こらないような仕組み(「ガバナンス」)であったり、倫理観をいかに醸成していくかの議論が必要かと思います。

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