菅首相とケビン・メア氏:『決断できない日本』/日々雑感:よくわからないこと?!

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菅首相とケビン・メア氏:『決断できない日本』

注文していたケビン・メア氏の「決断できない日本」が届きました。この本の著者であるメア氏は「沖縄はゆすりの名人」と発言したと報道され更迭された人物です。しかし、その後すぐにアメリカ国家安全保障会議アジア部上級部長に就任と伝えられたことで、それはとても更迭というようなポジションではなく、この事件の裏には何かあると噂されたのですが、その後、辞任。しかし、311が起こり、「トモダチ作戦」の国務省タスクフォースのコーディネーターをしばらく務めた人物です。

この本では、①「ゆすりの名人」報道②トモダチ作戦の舞台裏③沖縄基地問題④日米同盟等について記載されています。

ここでは、菅首相が自画自賛の末ようやく退陣しましたが、まだ福島原発事故が収束していないことなどもあり、②の「トモダチ作戦の舞台裏」に関連して、「日本政府(菅内閣)」の原発事故への対応についての同氏のコメントをいくつか紹介したいと思います。この事については、菅内閣への批判が色々な形で報道されていますが、それらの内容を米国側からの発言で裏付けるものとなったと思います。

同氏の日本政府に対する印象を一言でいえば、「政治指導力の無能」ということでしょう。この由々しき危機に際して、「日本のリーダーには決断力や即効性のある対応をする能力がない」ことです。(厳しい言い方をするのは、これが改善されるのを願ってのことだそうです)

今回の東日本大震災の圧倒的な困難にもかかわらず日本人が見せた規律と我慢強さにたいしては、「もっと良い指導力、より良い政治に恵まれるべき」としてします。日本の「政治のレベルの引きさ」を批判し、「責任を取らず、自己保身を図ることが目的化してしまった今の政治から脱却」すべしとしています。


今回の原発事故では、菅首相が責任を取りたくないばかりに、「事故処理をあくまで東電の問題とした」のですが、しかし東電はもともとこのような過酷な事故をハンドルする能力はなく、荷が重すぎた。スリーマイルの教訓からも明らかなように、このような対応では、私企業に任せるのではなく、国家的な対応が本来必要、もっというならば世界的な対応(世界の知恵を終結させること)がなされるべきであった。


自己当初の対応でも、日本政府は東京電力を全くコントロールできていなかった。312日の午後になっても東京電力は米軍ヘリで真水を運べないかとの問い合わせを駐日米国大使館にしていたそうです。これは水素爆発の直前にも東電が海水注入を躊躇していたことを示しています。

米国では情報が何も日本政府から来ないので、フラストレーションが高まりました。米軍は当然ながらグローバルホークなどを使って独自の情報収集をしていたので、原子炉の温度が異常に高まっていることを知っていました。最悪のケースとして、福島ばかりでなく、日本あるいは東アジア・太平洋の広範囲に汚染が広がることを警戒していたのです。

海外メディアで称賛された「フクシマ・フィフティ」についても、働いている人たちは称賛するにしても、この危機に当たって実際に作業をしているのがそれだけしかいないという事実に、米国は気が気ではなかったといっています。また、自衛隊ヘリによる散水について、「自衛隊の英雄的な放水作戦を見て、オバマ大統領が「日本政府は事故封じ込めに必死になっている。米国は全力を挙げて支援する」との決心を固めた」と日本では報道されましたが、事実は全く逆で、日本政府が出来ることがそれだけであったことに米国政府は絶望的になった、とのこと。

つまり、「菅首相の政治的パフォーマンス」であって、「政治的なスタンドプレー」のために自衛隊員は命がけの作戦に赴いた、と。

これはある意味「日本が平和ボケ」が治っていないためで、米国政府が911以降、テロ対策の為に日本の原発にも武装した警備員を置いたほうが良いと助言した際に「必要ない。なぜなら、銃の所持は法律違反になるから」と日本政府当局者が答えたというエピソードを紹介しています。(ちなみに、それを聞いたホワイトハウス当局者はジョークと間違えたそうです。)


また、今回の原発事故では「想定外」という言葉が使われますが、米国では「全電源喪失」を想定した対策が取られ、シミュレーション訓練も定期的に実施されているそうです。これは、地震・津波ではなくテロを想定してのものだそうですが、日本に対してもそれらについて説明を行っていたそうです。日本側でももっと研究がなされてしかるべきだったでしょう。


27日、菅首相は福島を訪問し、佐藤県知事との会見で、「中間貯蔵施設を県内に整備することをお願いせざるを得ない」との認識を伝えました。佐藤知事は「突然の話だ」としましたが、まさか、正式に退陣を表明した人から、退陣表明の翌日にそのようなことを伝えられるとは想像もしていなかったでしょう。しかも、菅首相は、胡錦濤国家主席との会見のように、メモを読み上げるようなもので(まるで自分はその決定に関係ないかのように)、最後の最後まで菅らしさを発揮しました。

しかし、これもそもそもは、初期対応において情報を隠蔽して、正しい情報を伝えなかったということが、強く影響しており、全てのことは悪循環をして、ただただ時間が遅れています。「帰宅に20年以上の試算」などということはもっと早く伝えられるべきで、期待を持たせておいて、6か月近くもたってから、何の将来に向けての対策や方針も出さずに、そのようなことを伝えるのは、非常に残酷な仕打ちです。


尚、この著書の日米安保や沖縄関係の事柄も参考にはなります。このメア氏はある意味米国の「田舎のおじさん」というタイプの人かもしれません。沖縄での報道では彼のことを悪く言う人も多いようですが、ある意味素直に米国の考え方を代弁している人かもしれません。同氏は、沖縄問題を「ナイーブ」と表現しますが、今回の「沖縄はゆすりの名人」事件もそのような「ナイーブ」な関係の中で基地反対派にねつ造された記事だ、としています。以前紹介したことのある「幻想の島・沖縄」(大久保潤著)で、200311月に当時のラムズフェルト米国防長官が沖縄を訪問した際に、普天間が「世界一危険な飛行場」と報道されたことが、政治的に利用するためにねつ造されたものである可能性が高いとされているのですが、今回の「沖縄はゆすりの名人」報道も、目的な違うにしても、同氏が言うように事実ではない可能性が高いかもしれませでん。

 

 

 

 

 

 

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