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年金、デフレの罠 「もらい過ぎ」6年で15兆円: 将来世代への負担の先送りはやめよう

年金のもらい過ぎが、6年間で15兆円にも上るという。http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0EAE2E0978DE0EAE3E2E0E2E3E39797EAE2E2E2

先にも物価スライドが行われていないことで、5兆円以上が過大に支払われているということが報じられていた。しかし、今回のニュースは、それよりもさらに制度の根本的な問題だ。

自公政権は04年改革で所得代替率を毎年度、小刻みに切り下げ、23年度以降は50.2%に固定すると決めた。それは、年金財政の長期安定性を高めるねらいがあり、2100年ごろまで50.2%を保つと厚生労働省は試算した。それが坂口力厚労相(当時)らが「百年安心」と名づけた経緯だった。しかし、問題は、実際の支給水準が本来水準を下回ってから、04年の改革で導入した所得代替率を下げる制度を発動すると決めている点にある。政治的な理由から、先の物価スライドは、特例法によって行われていない。そのため、所得代替率を引き下げるという制度自体が発動されずに来てしまったことだ。そのために、物価スライドと所得代替率の両方が引き下げられずに、6年間で15兆円も過大に支払われてしまっているのだ。

6年間で15兆円というのは、今回の10年間で10兆円という増税額よりも大きな金額だ。このままで行ったら、今後の増税と同じ期間に、いったいどれだけ過大な給付金額が支払われることになるのだろうか?今後10年間で30兆円くらいの金額に入ってしまいそうだ。

年金制度が出来てから、政治的な理由で、支給額ばかりはどんどん引き上げられてきた。しかし、現在の賦課制度では、もはやそのような水準を維持することが出来ないのは自明だ。

将来世代にツケを回さないようにしようとするならば、一時的な復興資金の為に増税を行うのではなく、賦課制度で運営される年金制度こそが給付と負担のバランスについて議論しなければならないのではないか?

関連する内容は、以下をご参照ください:

109             年金支給開始年齢 引き上げ検討へ:それよりもまずは給付額削減や物価スライドの厳格な適用をhttp://www.k2o.co.jp/blog/2011/10/post-38.php

102             年金減額見送り額5.1兆円:「次世代にツケを回すな」ではなかったのか?http://www.k2o.co.jp/blog/2011/10/51.php

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