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人民元の国際化について中国が余裕の発言:日本政府は事態を全く理解していない

先日の民主・大久保政調副会長の発言(「外貨準備の運用先を新興国通貨などに広げるべき」というもの)に関連して、野田首相の以前の国会答弁が紹介されていた。それは「中国の外貨準備が日本国債を買えるのに、日本の外貨準備では中国国債を買えないことに不自然さを感じる」と述べ、規制見直しを求めたものだった。http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a85I0_PKTFcA

それに反応したのかもしれないが、人民網が「人民元の国際化 日本が警戒」という記事を掲載している。http://j.people.com.cn/94476/7613559.html

その記事では、「人民元は、すでに通貨の国際化を判断する「貿易決済、投資、外貨準備」という3つの要素を備えている」。それに対して、「日本は世界でもっとも多くの債務を抱えている。そのため、投資家はいつでも円資産を売れる準備をしている」。「人民元が上昇しドルやユーロに取って代わることはないが、円の影響力を弱め、円を「3大基軸通貨」から押し出す可能性がある」と、余裕の発言を行っている。

記事にあるような日本のメディアが「人民元の国際化に対して日本が警戒している」といった報道を行っているようには見えないし、それどころか、日本のメディアはそのような「事態」を全く理解していないだろう。野田首相や大久保政調副会長も同様だろう。そうでなければ先のようなのんきな発言はしないはずだ。この記事は、中国が自身の力(政治力・経済力そして人民元)に自信を強め、日本を揶揄するようなものだ。

民主党政権が誕生した時に、鳩山氏が「東アジア共同体」構想を発表した。その際に、中国は特段の反応をしなかった。当然、腹の中では嘲笑っていただろう。「何をバカなことを言っている・・・日本にはもうそんな力はない・・・東アジアの中心は日本ではなく、中国なのだ」と。中国は、米国からの圧力を巧みにかわして、急激な元高をさけながらも、着々と人民元の国際化を図っている。(関連情報は次のリンクをご覧ください→「元の国際化を着実に進める中国と、あえて円の国際化をしようとしなかった日本」)次回のSDRの見直しでは、まず間違いなく人民元がSDRの構成通貨となるだろう。また、IMFの副専務理事(事実上のNo.2)は既に中国人だ。

鳩山氏は、東アジア共同体構想のなかで、EUROのような共通通貨もあげていたが、EUROのような基準を設けるとすれば、日本のように巨額の債務を抱える国、また成長率がこれほど低い国、は構成国からはじき出されてしまうだろう。日本人の意識は20年前のままで、いまや世界の姿は大きく変わっている。日本を本来リードすべき政治家の理解は、残念ながら、さらにひどい。

ご参考までに、人民網の記事を以下添付します:

「人民元の国際化 日本が警戒」

日本メディアはこのほど、人民元の国際化の動きを次々と報じている。報道によると、人民元建て貿易決済は拡張し続け、ますます多くの周辺国が人民元で決済するようになっている。米ドルが低下し続けているため、人民元建て決済に対する安心感が高まった。また、イギリスは人民元のオフショア市場を創設し、シンガポールも創設を計画するなど、人民元のオフショア取引が活発に行われるようになっている。さらに、欧州債務危機と米国の量的緩和策により、多くの国が人民元を政府の外貨準備通貨の一つと見るようになった。人民元は、すでに通貨の国際化を判断する「貿易決済、投資、外貨準備」という3つの要素を備えている。

報道は、人民元が急速に国際化しているのは、中国に巨額の外貨準備があるためだと見ている。中国の外貨準備高は32000億ドルに達し、世界の外貨準備高の30%を占める。これが多くの人が人民元を買い増しする主な理由である。また、各主要通貨の動きはいまいちで、ドルの乱発と持続的な低下、ユーロ圏の債務危機も理由の一つだ。円は上がっているが、「上げられた」と言うべきで、日本は世界でもっとも多くの債務を抱えている。そのため、投資家はいつでも円資産を売れる準備をしている。

日本の政府関係者が人民元の急速な国際化について公の場で発言したことはないが、財務省のある幹部は個人的に「日本政府は人民元の国際化の動きとその円の地位に及ぼす影響に非常に注目している」と述べた。日本の学者と専門家は、人民元が上昇しドルやユーロに取って代わることはないが、円の影響力を弱め、円を「3大基軸通貨」から押し出す可能性があると見ている。世界では、ドル、ユーロ、元の協力メカニズムを構築し、国際通貨と金融体制を安定させるという構想も持ち上がっており、円の地位は徐々に低下している。さらに、ある学者の見方では、人民元が国際通貨になることは中国のソフトパワーとハードパワーが強まっていることを意味し、欧州が債務問題の解決で中国に助けを求めたことからも、中国の国際影響力が高まっていることがわかる。

(「中国網日本語版(チャイナネット)」20111011日)

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