米、ドル安基調を黙認 FRB元幹部「景気刺激策の一部」:ドル安は米国の戦略/日々雑感:よくわからないこと?!

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米、ドル安基調を黙認 FRB元幹部「景気刺激策の一部」:ドル安は米国の戦略

FRBの元幹部が「ドル安は政策手段の一部」であることを認めました。つまり、ドルがパニック的に売られたりしない限り、米政府はドル安基調を放置する公算が大きいということだ。残念ながら円高圧力は当面続きそうだ。http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE0EAE2E3918DE2E3E3E2E0E2E3E39494EAE2E2E2;at=ALL

今まで米国は公にはドル安政策をとっていることを認めることはありませんでした。しかし、事実上、ドル安政策をとってきていました。オバマ政権で財務長官を務めているガイトナー氏は、就任時に議会で、経常収支の改善策を聞かれ、為替政策を行うことを否定せずに、むしろ肯定する発言をしています。

ドル安の米国への影響ですが、オバマ大統領が政策として掲げているように、輸出を増やして貿易収支(ひいては経常収支)を改善することが期待出来ます。今年2011年の13月期に輸出は前年比で14.9%増とほぼオバマ大統領の輸出振興計画(5年で倍増)に沿ったペースで増加しています。

また、米国の債務(ここでは資本収支における海外から流入資金のこと)はドル建てなので、実はドル安が進んでも総額は変化しません。しかし、米国が海外に持つ債権(米国の場合は主として直接投資を行った結果としての資産)はドル以外の資産なので、資産は大きく増加することになります。この結果、米国の国際収支が大きく改善することが期待できます。

更に、ドル安による輸入物価上昇によって輸入が減少すれば同様の効果が期待できます。

時として米政府の高官から「強いドル」という言葉が出ることがありますが、これはあまりに急激なドル安は、米国からの資金流出が起こる恐れがあるので、スピードを調節するためにブレーキを踏んでいる、と考えたほうが良いでしょう。現大統領のオバマ氏も輸出振興策(5年で倍増)を打ち出していますが、その中心となるのはドル安であることは疑いようがありません。今回のFRB元幹部の話はそれを認めるものです。

日本政府は、為替の市場介入のための手当ても行っているようだが、今まで市場介入で効果は全くあがっていない。それどころか、その結果として外為特会は40兆円の評価損を抱えるという状況となっている。その上、米国が「ドル安は米国の戦略」と認めたのであれば、日本の市場介入など意味のないものとなってしまう。

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