サブプライム・ローン問題で米銀を提訴:貸し手責任を問う?/日々雑感:よくわからないこと?!

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サブプライム・ローン問題で米銀を提訴:貸し手責任を問う?

米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、政府系住宅金融機関であるファニー・メイとフレディー・マックの監督機関である連邦住宅金融庁(FHFA)が、大手金融機関17行を提訴したとしている。訴えた理由は、サブプライム・ローンのリスクを正しく開示しないまま、ファニー・メイとフレディー・マックに販売した、というものだ。賠償請求額は合計で1960億ドル(約15兆円)だ。

訴えられた大手金融機関側は、訴えられた方は、ファニー・メイとフレディー・マックは、住宅ローンの専門金融機関であり、リスクについては理解していたはず、といっている。

http://online.wsj.com/article/SB10001424053111903648204576553011839747054.html?mod=WSJ_WSJ_US_News_5

しかし、ここで問題なのは、“言った言わないの問題”ではなく、そもそもファニー・メイとフレディー・マックに販売されたサブプライム・ローンが、本来貸してはいけない人たち(返済能力ない人)に対して行われたものであったということだ。サブプライム・ローン問題では、とかく、「証券化」が問題とされ、投資銀行の責任が問題となってきたが、証券化はあくまでも単なる「器」に過ぎず、中に入っているものが腐っていたらどうしようもない(これは単純化しているので、投資銀行に責任がないと言っているわけではない)。80年代後半の日本のバブル形成もそうだったが、銀行がマッチポンプのようにバブル形成に深くかかわっていたことは否定できない。米国のサブプライム・ローン問題も、そもそもの原因は銀行の「貸し手責任」にある。

2007年の問題発生以降、「Too big to fail(大きすぎてつぶせない)ということで、大手金融機関には多額の税金が投入された。ここにきて、米国の政府機関が、資金を投入して救済したはずの大手金融機関を提訴するのはおかしい、という議論もあるようだ。しかし、本来、問題発生の原因となった金融機関の責任はもっと追及されるべきだったし、これからでも遅くはない。救済されてからまだそれほど立っていないのに、経営者や従業員の報酬は他の業界と比べれば依然として相当高い。「人のふんどしで相撲を取る」ことで、天文学的な報酬を受け取っていたのに、失敗して損失をだすと、そのつけはすべて国民に押し付けて、なおかつ依然として高い報酬を得ているというのはどういうことだろうか?

ちなみに、最近、米国や日本の国債の格付けを引き下げたことで話題となった格付け機関であるが、サブプライム・ローンの証券化でも、内容をほとんどチェックすることなく、かなり高い報酬を得ていたことが以前より問題として指摘されている。しかし、格付け機関の責任や、その在り方についての議論は確かにあるが、議論はなかなか進んでいない。

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