ハリケーン「アイリーン」への対応で思うこと/日々雑感:よくわからないこと?!

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ハリケーン「アイリーン」への対応で思うこと

米国では、大西洋を北上しているハリケーン「アイリーン」が首都ワシントンなどの東海岸の大都市を直撃するおそれが出てきており、ニューヨーク、ニュージャージーなど7州の知事は非常事態宣言を出しました。ニューヨーク市では海岸沿いに住む25万人に避難指示を出すとともに、地下鉄やバスといったすべての公共交通機関を運休することを決めました。ニューヨークで強制的な避難命令が出るのは初めてとのことです。現時点では、ニューヨークはまだ天気は悪くないそうで、市民の中にはハリケーンに対する警戒意識がそれほど高くない人たちもいるようで、ブルンバーグ市長は何回か会見を行い、市民に避難を呼びかけているそうです。ハリケーンがニューヨーク市に近づくのは26年ぶりのことで、上陸すれば1893年以来、118年ぶりでとのことです。

米国では、ハリケーンによる被害は毎年相当数起きておりますので、それへの対策もしっかりなされているのでしょうが、ニューヨークのような大都市で、25万人にものぼる人たち(今後さらに増加する可能性もある)に、強制的な避難命令が出されています。そこでは市長が先頭に立って避難を呼びかけています。何か米国と日本の危機対応への違いを見せつけられているような気がします。まさにここで行われているのは、「最悪の事態を想定して行動する」ことです。ハリケーンの威力は強大ですので、もし上陸などしたら大変な被害が出るでしょう。しかし、その軌道が逸れてしまうこともあるでしょう。そうした場合に、避難した人たちはブルンバーグ市長を非難するでしょうか? 

 日本の政治家、例えば菅首相(ようやく退陣表明しましたが)の場合にはどのような対応をしたでしょうか?ニューヨーク市の人口は現在800万人で、周辺地域も含めるとその人口は2200万人にも上ります。パニックが起こったら大変だとして、強制的な避難命令など出せなかったのではないでしょうか?事例は違いますが、福島第一原発の場合は今回とは全く反対の対応がとられました。パニックになる恐れがあったからとよく言われますが、情報を隠蔽し、防衛的なメッセージを出すばかりで、対応は結果的にすべて後手後手に回りました。原発の周辺住民(例えば半径50㎞)はすべて強制避難というようなことが最初に行われていれば、多くの人が放射性物質にさらされることもなかったでしょう(残念ながら、まだ終わったわけではないですが…)。もし何もなければ、避難命令を順次解除していけばよかったはずです。また、もし考えられる最悪のケースが起きていたら、いわゆる「周辺住民」だけでは済まなかったはずです。

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